カラクレナイ#92 これからについて
蛇足が終わった。
明るい感じで終わらせて有耶無耶にしようとしてるがかなり無茶苦茶なことをやってるな…控えめに言って狂ってる、と言うか……
「……なんと言うか、最後の方は自暴自棄にも程があるんじゃ……」
「ハハッ、言うてくれるやないか。安心せい、今の俺にはちゃんと信念がある。まぁ言ってしまえば大魔連合の結成の時にできたんやが……この話はええわ。」
「そんなふうに言われたら逆に気になってくるんですけど……」
「ふっ、お前に俺の信念伝えんのはまだ早いねん。」
そういうとちょうど最後のリンゴを食べ終え、燈魔さんは立ち去った。結構気になる過去と空っぽの皿を残して。
と思うと燈魔さんと入れ違いで医務室にナイトメアが入ってくる。ナイトメアはドア近くで燈魔さんと軽く挨拶をしてこちらに向かって軽く手を振って近づいてくると、さっきまで燈魔さんが座っていた椅子に座って話しかけられる。
「目が覚めたようで何よりじゃ。燈魔と何か話しておったようじゃが何について話してたんじゃ?」
「燈魔さんの過去の話についてだよ。大魔連合結成のところは教えてくれなかったけどな。師匠はなんか知らないのか?」
「あぁ……」
俺が聞くとナイトメアは気まずそうに目を泳がせる。え?そんな答えずらいのかこの質問?
「実を言うと燈魔がわしの元で学んでいた期間はそんな長くないんじゃ。5年ほどで出ていってしまったからのう……じゃから、30年ぐらい前に燈魔が大魔連合を結成するまでどこにいるかも知らんかったんや。」
そうだったのか?いつも姉貴って言ってるからてっきり10年ぐらいの仲なのかと……そんなあっさりした関係だったのか。よく燈魔さんは離れるって言う判断ができたな。こんな条件のいい場所なかなかないと思うのだが。
「あいつは元々並の吸血鬼程度の身体能力があったからの。飲み込みも早かったから基本的な魔力操作やらなんやらを教えていち早く魔式を教えようとしたら…「それは自分で作るからええ」なんて言って拒否しおったんじゃ。それでわしの元を離れ、結局全部独学で強くなり今や四聖の一人…そうじゃのう、あいつはわしの弟子の中でも5本の指には入るのう。」
「その5本の中に俺は入ってるのか?」
「さぁな。お前はまだ1年目じゃから…3本ぐらいかの……?」
「一応入ってるんだな……」
そんな褒められるほど俺って強いのか?よくわからないが…そうなると燈魔さんは1か2本のうちに入るのか……やっぱりすごいなぁ。後もう一人は誰だ……?
「……ま、燈魔の話は置いといて、これからどうするつもりじゃ?」
「これから?あ」
そうだった…あのタコ野郎と戦うために音速出せるぐらいには強くなんないといけないんだった。えーっと、確かカラクレナイ、だったか?今俺が使ってる魔式クレナイの上位互換。そんなものを教えてくれるって言ってたような気がする。
「そりゃ、師匠が言ってたカラクレナイ?の習得だろ。それ以外になんかやるべきことあるのか?」
「……それについてなんじゃが……今のお前じゃ100%習得は無理じゃ。」
うん?なんだって?100%無理だと?だったらどうやってあのタコ野郎と戦えと?そもそもあの時点でめっちゃ切り札っぽく言ってたじゃん。それともなんだ?条件でも必要なのか?
「どう言うことだよ?」
「簡単に言おうか。今のお前は弱すぎる。はっきり言ってこの魔式とは釣り合わん。強い力だけ持ってそれに依存してちゃあいつには勝てんからの。じゃから音速を超えれるようになったら教えてやる。」
「???」
ど、どう言うことだ?音速を超えるためにその魔式が必要なんじゃないのか?いや、言い分はわかる。今回の戦いでも魔式が使えなくなって俺はすごい苦労したからな。魔式に頼り切ってちゃいざという時に戦えないと言うことは十二分にわかる。けど…それとこれとは話が別だ。今の俺に音速を超えられるポテンシャルがあるのか?
「何か勘違いをしてないか?音速などお前なら十分超えられるぞ?例えば、お前は吸血鬼になってまだ1年程度というのもあるが魔力操作が雑だったり、素の身体能力がまだまだだったりというところを鍛えれば…余裕でヘッジホッグになれる。」
「……」
ヘッジホッグ言うな。ま、まぁただのハリネズミのことだ。気にすることではない。つまり…基礎固め、ってことか?この貴重な一年を使って基礎を固めろと?そんな悠長なこと言ってて大丈夫なんじゃろか……案外一年なんてものは一瞬で過ぎていくぞ?
「安心せい。わしの見立てじゃお前ならカラクレナイを半月で習得できる。そこでじゃ!どうじゃ、他の四聖の元へ行って教えを乞うのは?」
「他の四聖?」
それって…王様や燈魔さん、ライノたちのことか?王様や燈魔さんならまだしもライノにも?急に嫌になってきた。別にナイトメア一人でもなんとかなりそうだが……
「そうじゃ、わし一人で教えるにはちと多くての。それに…それぞれの四聖には得意分野というものがある。スケアなら血術、燈魔なら魔力操作、ライノは…あの肉体かのう?どうせならその道のトップに教えてもらったほうがいいじゃろ?」
なるほど、各々得意分野、まぁ専門があるからその道のトップに教えてもらえと。なんだか学校じみてきたが…まぁいい。でもそうなると最初は誰から行こうか。ライノは最後だとして…燈魔さん、いや、ここはあえて王様からだ。あのホーミング熱線と言い、血術には興味が湧いてるんだ。まずは血術から行こう。
「そうだな。じゃ、今日は疲れたから明日から……」
「え、おいおい待たんか!お主すでに1日は寝てたんじゃぞ!ここでまた寝たら2日も無駄にすることに……って!おい!聞こえとるか!?」
うーん、少しうるさいが今日は燈魔さんの話や師匠の話を聞いてもう疲れた。大人しくこの睡魔に従おう。そう思い、うるさい世界から逃れるため体を揺さぶられながらも目を閉じた。
ヘッジホッグになることになった主人公




