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カラクレナイ#88 長い1日の終わり

超かぐや姫を見ました

待ってくれ、俺にしか倒せないー?悪い冗談にも程があるだろ!?一体どこをどう切り取ったらあんなバカ固いタコ人間を俺が調理できるって勘違いできんだ?第一俺は手を抜いた状態のセロに勝てないどころか逃げ回ることもできなかった身だぞ?その親というか元であるヴィータを倒せるわけねぇだろ?物事の順序が違うわ順序が!ったくうちのナイトメアさんは何を考えてんだか……


「そんな顔で見んでも、ちゃんと理由はあるわい。まずさっきまでの戦いを見ても分かる通り、わしの攻撃は悉く奴に適応されて効かんのじゃ。じゃからお主に任せるほかないってこと、わかった?」


「いやわかった?じゃねぇよ!それだったら他の…王様か燈魔さんあたりに戦ってもらえばいいだろ!」


間違ったことは言ってない。俺みたいなペーペーが出るよりもっと強い人がいるだろ?って話だ。王様のビームとか凄かったし…燈魔さんだってあのドスがあったらなんでもできそうだしな。


「スケアや燈魔じゃ攻撃が単純すぎてすぐに適応される。なんならスケアは以前に一度戦っておるから適応が進んでおるしの。わしと同じクレナイという魔式を持ったお主だけがあいつの安定して攻撃ができるのじゃよ。」


「……さっきから言ってるが適応ってなんだ?あいつに備わった能力かなんかなのか?」


こいつが言ってることからするとあいつがその攻撃に適応するともうその攻撃が通じなくなるみたいだが…一体どういう流れで?


「適応は…城で言ったじゃろ?あやつは肉魔法の化身じゃ。どうも肉魔法にはあらゆる事象に対してそれに合わせて自らを進化させる能力があるらしくてな。そのせいで何回も同じ攻撃をしているとそれに合わせて体の構造が変わるらしいのじゃ。」


「じゃが…それは自然界に存在するものに限られる。わしのクレナイはこの世界からしたらイレギュラー、言ってしまえばバグを利用したものじゃ。あいつはこれに関してはどう足掻いても適応できん。」


「?だったら師匠が出ればいいじゃないか。俺よりも強いだろ?」


いや当然のことではある。そうなったらあんたでいいだろ。亀の甲よりウンタラカンタラ、吸血鬼としては齢1ちゃいの俺よりも魔法無しの師匠の方が強いに決まってる。いや何言ってんだ。当たり前すぎ。


「話を聞いとらんかったのか?わしの攻撃は適応されておると言ったじゃろう。」


「クレナイは適応されないじゃなかったのかよ……?」


わからなくなってきた…魔式は適応されないのにその攻撃は適応されるのか?えぇ?


「ふっ、わし自体は…適応されるからの。」


「んぁ?ドユコト?」


「……安心しろ!お主は適応されん。とにかく!お主じゃなきゃダメなんじゃよ!」


んー?師匠自体は適応される?だけど俺は大丈夫なのか?なんかの謎々か?文字通りに捉えるなら人間…というか吸血鬼は自然のものだから適応されるってことか?あぁ?そしたら俺も適応されるような?なんで俺は大丈夫なんだ?あぁっ!もう訳わかんねぇーっ!!


「……まぁよい。どちらにせよ、お前には倒せる…かも?というだけで、今のお前じゃ一瞬でミチミチのミンチで木っ端微塵じゃ。お前にはこの一年でせめて音速は出せるようになってもらわないと話にならん。」


「音速って…マジかぁ……?」


確かにそのぐらいはないと話にならないだろうが……具体的にどうやって?今の俺じゃ出せてチーターぐらいの速度だぞ?


「まぁそう言うな、いくらなんでもクレナイじゃ…いやお主の出力じゃそんな速度は出ん。……じゃからお主にクレナイの更に上、わしが使っていた方の…魔式「カラクレナイ」を教えてやろう。」


「カラ、クレナイ?」


なんじゃそれ、クレナイの上位互換…ってことだよな。そう言えばナイトメアが使ってたような気もする……なるほどクレナイはまだまだ序の口だったのか。


「あぁ……まぁ今話すことでもない。さっさと帰ってあいつらを安心させてやる方が先じゃ。」


「……!」


師匠が一瞬目を細める。そして口角を上げたかと思うとすぐに満面の笑みを浮かべ、明るくこちらに呼びかける。


「さぁ、帰ろう!」


そう言うと師匠はこちらに手を伸ばしてくる。……そうか。そういえば俺ってば今誘拐されてたんだった。師匠が助けに来てくれなかったら…そうか…そう思ったら急に緊張が解けて…あれ、おかしいな前が…見えなく、なって……っ!くっ……!おっかしいなぁ、涙なんて、久しぶりに流した……っような、うっ、腰が抜けて……っはぁ……


「よ、よかったぁ……っ!うっ、生きてて……っ!!ほんとにっ、ぐすっ、よかったぁっ!!」


さっきも言ったが吸血鬼としては一歳程度の新生児、怖いものは怖い。と言うかそもそも一般人だ。あんな暴力の塊に連れ去られ、殺されかけ…今までに我慢してきた涙が溢れ出す。思えば今日殺されかけたのはさっきので2回目だ。全く散々だ……怖かった、痛かった、もう二度と……っ!!あんな思いはしたくないっ!


「……ふっ、まだまだお子ちゃまじゃのう。さてと……」


ナイトメアは腰を抜かして地面倒れ込んでる俺に背を向け黙り込む。うぅ……ど、どうしたんだぁ?


「っひっく、ど、どうしたんだ?帰るんじゃないのか……?」


「ふっ、裂け目が開かんから歩いて帰るぞ!立てるか?」


「おっ、おう……」


そういうとフラフラと立ち上がった俺を引っ張り上げてナイトメアは屈む。これは…乗れってこと…だよな。おんぶしてくれるのか?いやぁ…そんなことしてもらわなくても……


「ほれ!さっさと乗れ!お主がそんなふうにメソメソしとったら帰るのが遅れるじゃろ?ほーら、わかったならさっさとおんぶされるんじゃ。」


そんなこんなでおんぶされ、お家に帰るところだ。ナイトメアは帰るのが遅れる、とか言っておきながら急いで走らずにとぼとぼと、ゆっくりと歩いている。言葉と行動が一致していないが…俺が泣いてるからかな?なんだかんだ優しいところがあるんだよな、ナイトメアって。でも、だからか知らないが…なんだか安心感が……と思った頃には自然と目が閉じていた。こうして長い1日は…俺の王城襲撃の物語は深い眠りについたことで終わったのだった。


ようやく終わった……次から新章

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