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「それじゃあ確認するぞ。まず午前中にこなす依頼が二つ。一つは西自治区のモンスター駆除、並びに原因調査。これをターナ、フルト、ルッカの三人に任せる」
「任せてずら!」
「僕も一応元軍人だ。これくらいな出来なきゃしょうがないからね」
「が、頑張るね」
「んで、俺とフランの二人で森の中のゴブリン拠点の殲滅」
「ラジャー!」
「ナズとヴィオラは留守番を頼む」
「納得いきませんわー!」
今回は班を三つに分ける事にした。
下級モンスターなら問題なく対処出来るA班。主力となるB班。そして、ここを守るC班だ。
約一名、納得してない者も居るが。
「なぜ私が主力班じゃありませんの?」
「まあ落ち着け。依頼はもう一つあるんだ。お前には午後にやる予定の農園の依頼を一緒にやって貰うつもりだ」
「それはもちろん。でも、何で午前中は留守番ですのー?!」
「俺らん所に来ても今度は過剰戦力過ぎる。逆に、ここはナズ一人になっちまうから、万が一モンスターが来たり、あるいは盗人が来たりしたら困るんでな。お前が居ればどっちが来ようと問題無いだろ?」
「なるほど。貴方にしては無い知恵を絞っての采配なのね。分かりましたわ。今回は納得したので引き下がりましょう」
こうしてめでたく(?)班決めが纏まった。
フランが提案したのは、『人数も増えた事だし、二手に別れて依頼をこなさないか?』というものだった。
これは良い案だ。
ここに集まったのは特技や専門知識を持った者が多いが、一つの共通点がある。
それは、全員が元軍属であるという事。
もちろん、実力にはバラつきがあるし、ほぼ非戦闘員な者も居る。
だが、それでもバランス調整さえすれば二組くらいになら分けられるはずだ。
そこで、依頼の内容などを検討して組分けした。
この分け方は今後も活用する事になるだろう。今日は初テストみたいなもんだ。
「それじゃあフルト。そっちは任せるぞ。ターナ、この三人の中ではお前が一番強い。だが、作戦の組み立て方や状況判断はフルトの方が的確だ。フルトの指示に従うように」
「分かっただよ。フルトさん、よろしくお願いするだ」
「こちらこそ、頼りにしてるよ」
「ルッカにも現場に出て貰うのは原因の調査のためだ。モンスター生態のスペシャリストのお前ならクライアントの期待に応えられるはずだ」
「で、出来るかな······」
「大丈夫だ。自信持ってやっていい」
「う、うんっ」
こうして、フルトチームは西自治区の依頼へと向かった。
「さ、ナズ。ここの留守番は任せるぞ。特に、お前の頼もしきナイトはすぐに腕力で問題を解決したがるクセがある。先輩らしく、お前が堂々とコントロールしてやれ」
「は、はい。でも、ヴィオラさんの方が私より年上ですし、強いし······」
「気にしなくていい。常識や冷静さならお前の方が上だ」
「おっほっほっほ! ほんとに失礼な人ですわ~!」
ナズ、ヴィオラの二人には留守を任せ、俺とフランも出発した。
「よし。フラン、今回は二人だけの仕事だ。俺らは言わば精鋭だ。気合い入れてくぞ」
「うふふ~っ! おっけー!」
「? な、なんかやけにテンション高いな?」
「いつもこんな感じじゃーん! ふっふ~ん、れっつらご~!」
気味悪くなるくらい上機嫌なフラン。何か変な物食ったのだろうか。
今回は二人っきりだから油断しない方がいいんだが······。
まあ、フランの実力なら心配要らないか。
俺らが担当する依頼は北側の伐採地に巣くうゴブリン達だ。
北門へと向かう。
「目撃者によると規模は大体20程だそうだ。そして、オーガも三体か四体居るらしい」
「油断は出来ないね。まずは正確な数を把握したいとこだね」
歩きながら依頼内容を確認し、おおよその位置や敵の戦力を把握しておく。
門から出て、街道を北へ進む。
「しかし、一度に三件か。西自治区の依頼達成報酬が200ゴールド。俺らのが400ゴールド。そこに討伐したモンスター達の討伐料を上乗せすれば合わせて数千ゴールドは行くな。んで、午後はドンボアだ。依頼達成が200ゴールドで、一体につき100ゴールド契約だから、これも1,000ゴールド以上は堅いな」
「もーう、またお金の計算してる~。トレイルはお金好きだねえ」
「そりゃ金は大事だからな」
そろそろ余裕も出てきたからな。
ぐふふ、ここらで数倍ビッグアップチャンスに投資しても良い頃か。
「でも、お金が貯まってもギャンブルはダメだからね」
「何故わかったし」
「トレイルの考えなんてお見通しだもん! せっかく勤勉な真人間になってきてるんだから、このままギャンブルは封印しなきゃ!」
「そ、そんな。殺生だっ。フラン、俺の楽しみを奪って楽しいか?」
「トレイルの将来のためなの! お金を貯めたら家買ったり、子供のために使ったりとか色々かかるでしょ?」
「将来かあ」
そういや、俺は天涯孤独だったな。このまま一生をテキトーに費やすだけかと思っていたが、ある程度金が貯まったら──
「良いかもな。家庭を持つのも」
「え?」
「いや。俺って家族と過ごした想い出少ないからよ。結婚して、子供も出来て、ワイワイ暮らすのも良いかもなーって」
「そ、そう? うん、そうだよっ。きっと楽しいよ!」
「はぁ。でも、相手がなあ」
「······」
俺みたいなのでも結婚してくれる女性が居てくれりゃあいいんだがな。
「ま、いずれにせよまだ先の話だな。今は仕事に集中だ。フラン、準備はいいか?」
「家庭······子供······トレイルの······」
「おーい、フランー?」
「ひゃ、ひゃい! じゅ、準備!? し、式の日程かな?!」
「?」
何を言ってるんだ?
まあ、たまに訳分からん事を口走るのも俺の幼馴染みのチャーミングなとこだ。
お疲れ様です。次話に続きます。




