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「ウインドカッター!」

「だりゃー!」


 ──ズバッ、バコオッ──


 最後のアーミアント達がターナとフルトの手によって倒され、周囲からモンスターの気配は消えた。


「はふ~っ。やっただ! 10体は倒しただ!」

「おう、お疲れさん。いい戦いぶりだったぞ」

「トレイルも。お疲れ様」


 一応辺りは警戒しつつ、三人で健闘を讃え合う。


「フルト、デスクに詰めてたって聞いたから心配だったけど、腕は落ちてなさそうだな」

「はは、元から大したものではないけどね。それより、ターナ君が想像以上に強くてビックリしたよ」

「いや~、ドワーフは力だけはあるで」


 照れ臭そうに言うターナだが、実際なかなかの腕だ。多分だが、ドワーフの中でもかなりの剛力の持ち主だろう。

 こんな古びたハンマーじゃなくて、戦闘用の大槌とかあれば上級モンスターとだって渡り合えるかもしれんな。


「さて。合計で何体倒したかな。あー、途中でブラットとスライムも居たな」


 ブラットは2体。スライムは4体。そしてアーミアントが大体40体くらいってとこか。


「けど、ちゃんと数えてないんだよなあ。大体の40って事にしとくか」

「その事なんだけどトレイル。少し提案があるんだ」

「ん?」


 仮定40で計算しようと考えていたら、フルトが何か案を出してきた。


「モンスターにはそれぞれ特徴的な部位が備わっている事が多い。それを利用した計算方法が無いかと思ってね」

「利用した計算方法? どんなだ?」

「つまり、討伐したモンスターを解体して、証拠となる体の一部を確保するんだ。そうすれば証拠にもなる」

「体の一部か」


 確かに。全て有用って訳じゃないが、倒したモンスターは基本的には解体する事が多そうだし、今回のような複数の討伐依頼は証拠品を回収した方が後腐れやトラブルを回避出来そうだ。


「うん。そうだな。この商売はまだ始めてから日が浅い。言わば、やる事成す事全部が試行錯誤の段階だ。色々やってみよう」

「解体するかや?」

「おう、ターナ頼むぞ。正直、売れる物じゃねえけどな」

「あ、でも。僕やルッカなら上手く活かせるかもしれない。無駄にはならないはずさ」


 たしかに、フルト達はモンスターの素材の研究をしていたんだ。

 今は無用で不要なモンスターの素材も、将来的に使える物にしてくれるかもしれない。


「ターナ。今すぐの稼ぎにはならないかもしれんが、将来の投資になるかもしれん。解体を頼む」

「んだ。任せてだよ」


 倒したアーミアントからは顎の牙、スライムはコアと呼ばれる球状の内臓器官。ブラットは尻尾を採取していった。


 ついでに倒した数を計算すると、アーミアントだけでも48匹倒していた。


「一体30ゴールドだから、えーっと」

「1,440ゴールドだね。他のも合わせれば、1,620ゴールドかな」

「おお、なかなかだな。三割を共益費に入れても、一人300ゴールド近くの稼ぎだ」

「僕はそんなに倒してないから、少なくていいよ」

「何言ってんだ。見栄張れるほどの財布事情じゃないだろ?」

「うっ······そ、それはそうだけど······」

「フルトさん、遠慮する事ねえわ。オラ、店長から教わっただ。仕事ってのはきっちりやってきっちり分け合うから自覚が出てくるって」


 俺からの受け売りを早速使うターナ。むんっと胸を張る姿がおかしかった。


「後はモンスターが出なくなれば追加報酬で200ゴールド貰えるんだがな」


 それは後日になるだろう。


「とりあえず、一旦クライアントの所へ行って報告しよう」



 他にもモンスターが居ないかどうか見回りながら、俺らは林から出て自治会長の自宅へと向かった。


 ちょうど在宅中だったので、林の中の様子と、討伐したモンスターの報告をすると驚いた。


「そんなに居たのか。多いとは思っていたが······」

「用水路の周りに居たからな。そこから入ってきたんだろう。依頼達成報酬は数日様子を見てモンスターが明らかに出なくなってから受け取る。とりあえず、討伐数に応じた報酬金だけ貰いたい」

「ああ、分かったよ」



 こうして。

 俺らは1,600ゴールド以上の報酬を得て帰路に着いたのだった。


「店長っ、たんまりずらね!」

「おう、やったなターナ。これでまた夢へ一歩前進だぞ」

「んだ!」

「フルトも。散財しないでちゃんと貯めろよ~?」

「はは、どの口が言うんだか」


 拠点へ戻ると、フラン達三人が庭に出ていた。いつも飯の時に使ってる焚き火に鍋を掛けて、それを囲んで座っている。


「おーい、帰ったぞー」

「ただいまずら~!」


 俺らが帰還の声を上げると、三人とも安心したように顔を上げた。


「お帰りーっ。どうだった?」

「おう、上々だぞ」


 共益費分の金を見せると、フランがわあっと目を大きくした。


「結構稼いだね?」

「まあまあの数を倒したからな。お前らは何やってたんだ?」


 ふと見ると、鍋は何時もの食事用ではない。ナズが木の棒でグツグツと掻き回している。


「ああ、ポーションか。午前に採ってきたのを早速?」


 そうルッカに尋ねると、コクっと頷いた。


「沢山あったから。それに、私もこの目でナズちゃんのスキルを見てみたかったし。ほんと凄いよね」

「いえ、そんな大したものでは······」


 とか言いつつも、掻き回す速度が上がるナズ。嬉しそうだ。


 どうやら既に複数種類のポーションを作ったようで、足下には中身が満ちた沢山の小ビンが置かれている。


「ナ、ナズさ、これ全部でいくらになるだ?」

「わ、分かんない。けど、多分800ゴールド以上にはなるんじゃないかな」

「すげーだ! やっぱナズさは天才だ!」

「そ、そんな事ないよー」


 ──グルグルグルルル、ポチャッ──


「あっつ?!」


 回転がさらに加速し、溢れたポーションが足に飛び散ってナズは飛び上がった。


「トレイル、午後はどうする?」

「そうだな。ポーションの作成手伝ったり、フルトやルッカからモンスター講座を開いて貰うか。今後のためにな」


 金はかなり余裕が出てきたし、予定もそこまでキツキツにしなくてよさそうだ。


お疲れ様です。次話に続きます。

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