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「モンスター討伐専門業者······。なるほど。ありそうで無いような仕事だね」
「うん。有料でのモンスター討伐なんて盲点だと思う。ハンターが似た事をするけど、売れない素材のモンスターは討伐しないし。すごいよ、斬新なアイデアだと思う」
フルトとルッカの二人に詳しく話すと、思いの外感心してくれた。
「トレイルとフラン君のコンビなら敵無しだろうね。なんなら二人でワイバーンでも倒せるんじゃないかい?」
「そ、そんな物騒な話は怖いよフルト君」
「はは、冗談だよ。いくらなんでもたった二人で装備もなく倒すのは危険だからね」
「あー。実はだな。もう実積あるんだ」
「「え?」」
物置から、ワイバーンの角を持ってきて二人に見せる。
「て訳で。この大仕事のお陰でかなり潤ってな。だから二人とも遠慮なく泊まってってくれ」
「······は、はは。本当に君らは規格外だね······」
「す、凄すぎる······」
二人は遠い目をして、目の前の角を見つめていた。
さらに、ワイバーン討伐の話や、その前のいくつかの実積を詳しく話すと、二人はもはや呆れたような顔をして聞いていた。
「正直言って二人で始めた商売でそんな事出来るのはこの世界で君ら二人か、勇者一行の人間くらいだろう」
「なんだか別世界の話聞いてるみたい······」
「まあ、俺らはそれくらいしか取り柄ねえしな」
「くらいって······」
フランはともかく、俺はマジでモンスター倒す事くらいしかやれる事がない。
ナズは有用なスキル持ちだし、ターナは優れた技術を持っている。
フランは言わずもがな、万能魔法使い。
なら、俺もせめて戦闘力だけは高くないとな。
「そうだ、二人とも······」
『一緒に俺の商売の仲間にならないか?』
と言いかけて、俺は口をつぐんでしまった。
二人は友人だし、嫌でないなら一緒にこの仕事をやらないかと誘いたい。
が、二人はお世辞にも戦闘能力が高いとは言い難い。一般魔法や、通常攻撃魔法ならそこそこ使えるはずだが、中級モンスター以上になると厳しい。
かと言って、二人に特別なスキルがあるとは聞いた事がない。つまり、ナズのように特技がある訳でもない。
ターナのような解体技術も無いだろうし、ここで活躍出来る技能は備わってないだろう。
今やここは俺一人のコミュニティーではないのだ。俺の私情で二人を無条件に加えるのは出来ない。フラン達なら反対はしないとは思うが······。
けど、仮に誘って、二人が了承したとして。どんな仕事をしてもらうか。まだ俺の店は色々と確立してない事が多いし······。
「それにしても凄いね。ワイバーンの角······軍以外で本物を見れるなんて」
「本当だね。ふーむ、これはかなり硬質化してるようだね。この付け根の部分の筋はこうなっていたのか。鮮度が高いとまた違った発見が······」
そんな俺の勝手な悩みなんて知る由もない二人は、はしゃぐようにワイバーンの角をひっくり返したりして観察していた。
「うーん、なんて魅力的な素材なんだ! ああ、つくづく軍を追い出されたのが残念だよ。こんな素材を使って僕の理論を実践したかったのになあ」
「そうだね。私も実験してみたかった」
二人は寂しそうに笑っていた。どうやら軍に居た頃の研究についてのようだが。
「そういや、二人はどんな研究をしていたんだ? なんか前に聞いた時は、モンスターと魔力の結合どうのこうのって話だったが」
なんとなく気になったので尋ねてみる。
前にもチラっと聞いた事があったが、難しくて軽く聞き流していた。
改めて聞いてみたい。
「僕とルッカの研究は少し違うね。僕はモンスターの生体組織と、その内臓器官と魔力の相関関係の研究」
「私はモンスターの生態系、生体行動、環境下における行動原理の変遷とその因果関係の研究」
「なーるほどー」
さっぱり分からん。
「つまり──」
俺が理解していないと言うのをいち早く察したのだろう。フルトが語り出す。
「僕らはモンスターの生態について主に調べていたんだ。元々、軍が求めていたのは弱点とか討伐方法の理論の確立だったんだけど、僕らは少し違う形からアプローチしていってね。つまり、倒すとか倒さないとかじゃなくて、そもそもの種族としての性質とか生態系を紐解く事によって、モンスターその物の理解を深めようと思ったんだ。で、僕は彼らの魔力によって機能する内臓器官や、体組織の生成や循環の相互関係から起こる魔法の現象を──」
「フルト、俺に専門的な話はナシだ」
「あ、そうだったね。ごめんごめん、つい。つまり、僕が導き出したい結論は『モンスターの素材等を使って新しい技術を作れないか』というものだったんだ」
新しい技術?
ルッカの方を見ると、彼女も説明し始めた。
「私も少し似てるけど、私はモンスターの生態系を理解する事で、各地の被害を食い止められるんじゃないかと研究してたの。えっと、分かりやすく言うと······『モンスターの性格や体質を理解して、環境と照らし合わせて制御しよう』っていう感じかな」
「なるほど、二人ともモンスターに関連した······」
待てよ?
「なあ、例えばなんだが、二人は具体的にはどんな開発とかしてたんだ?」
前に愚痴ってた。なかなか実験のための素材や材料が貰えない、と。
「僕はモンスターの素材を使って作る道具とか武器とかかな」
「私はモンスター専用忌避剤とか、逆に誘引剤とか、有効な毒とかかな」
「············」
俺の頭の中で何かがカチッと繋がるような音がした。
「······これは、もしかしたら······!」
「どうしたんだい?」
「?」
今、自分がやっているビジネスと、自分の所に居る人材、そして目の前に居る二人。その研究内容。
それらのバラバラな情報が頭の中で順番を変え、組合わさり、新しい一つの形になっていく。
「······なあ、二人とも。よかったらその研究内容を詳しく説明してくれないか?」
「え? ああ、それは別に大丈夫だけど······」
「わ、私も大丈夫」
これはもしかしたら、またもやトントン拍子になるかもしれない。
お疲れ様です。次話に続きます。




