「誰の味方」
城の庭。
縁側に座り、きらりは庭を眺めながら、隣に座る虎次郎へ何気なく尋ねた。
「虎次郎」
「はい、姫様」
「ちょっと聞きたいことがある」
「何でございましょう?」
「虎次郎は、中の国と四の国、どちらが好きじゃ?」
「どちらも好きではございません」
「即答じゃな」
「どちらも同盟国ではございますが、好き嫌いとは別でございます」
「では、東の国は?」
「敵でございます」
「でも、強いぞ」
「強いです」
「正々堂々としておる」
「そうですね」
「では、少し好きか?」
「敵です」
「そうか」
「はい」
「では、九の国は?」
「もちろんでございます」
「ほう」
「私は九の国の家臣ですから」
「私がいるからではないのか?」
「……」
「どうした?」
「もちろん、それもございます」
「それも?」
「九の国が好きで、姫様も……」
「も?」
「……大切な方でございます」
「そうか」
きらりは少し嬉しそうに笑う。
「では、虎次郎は私の味方じゃな」
「はい」
「何があっても?」
「できる限りは」
「できる限り?」
「人間ですので、できないこともございます」
「では、私が城を売ろうとしたら?」
「止めます」
「国を売ろうとしたら?」
「止めます」
「東の国と仲良くしようとしたら?」
「……止めます」
「四の国と仲良くしようとしたら?」
「それも止めます」
「では、中の国は?」
「もちろんです」
「全部駄目ではないか」
「姫様が無茶をなさらなければ、何も止めません」
「むう」
「それに――」
「なんじゃ?」
「姫様が何をお考えになっても、私は姫様の味方でございます」
「そうか」
「はい」
「では、今日のおやつを半分やろう」
「ありがとうございます」
「虎次郎は甘いものが好きじゃったな」
「はい」
「よかった」
「姫様は?」
「私は全部食べる」
「……味方とは何でございましょうね」
「知らん」
「そうでございますか」




