「鳥の城」
「虎次郎」
「はい」
「中の国の城が落ちたそうじゃ」
「はい」
「どこの城じゃ?」
「鳥の城でございます」
「……」
「どうされました?」
「中の国の前線はもっと東のほうじゃろ?」
「はい」
「鳥の城は、前線よりかなり西じゃなかったか?」
「そのはずです」
「では、なぜ落ちる?」
「私にもよく分かりません」
「関所よりも西じゃったな?」
「そうなります」
「東の国がそこまで回った?」
「それなら大変なことですが……」
「違うのか?」
「報告だけでは何とも」
「陸の国が攻めた?」
「そのようです」
「陸の国は東側じゃろ?」
「はい」
「では、どうしてそこまで?」
「分かりません」
「虎次郎でも?」
「分かりません」
「珍しいな」
「珍しいことでございます」
「中の国の兵は何をしておった?」
「それも分かりません」
「……」
「姫様?」
「分からぬことばかりじゃな」
「はい」
「でも、城は落ちた」
「はい」
「それは分かる」
「そこだけは確かです」
「鳥の城が落ちた」
「はい」
「前線はまだ東」
「はい」
「陸の国が落とした」
「はい」
「……」
「どうされました?」
「なんだか、地図が間違っておるような気がする」
「地図は間違っていないと思います」
「では、戦のほうが間違っておるのか?」
「それも分かりません」
「戦って不思議じゃな」
「はい」
「でも」
「はい?」
「城が一つ落ちたのなら、中の国は困っておるじゃろ」
「おそらく」
「では、援軍の話が来るな」
「……」
「来ると思うか?」
「かなり高い確率で」
「またか」
「またでございます」
「では、まず飯を食べよう」
「なぜでございます?」
「援軍の話をする前に、私たちも腹が減っておる」
「それは確かに」
「虎次郎」
「はい」
「鳥の城って、鳥が住んでおるのか?」
「地名でございます」
「そうか」
「はい」
「では、鳥は大丈夫じゃな」
「そこを心配されますか」
「鳥は戦に関係ないからのう」
「……そうでございますね」
「よかった」
「はい」
「では飯じゃ」
「承知いたしました」




