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「鉄砲」

「虎次郎」


「はい」


「鉄砲は強いのか?」


「強い武器でございます」


「なら、増やそう」


「はい」


「たくさん?」


「できれば」


「では、鉄砲を買えばよいのじゃな」


「それだけではありません」


「他にもあるのか?」


「火薬が必要です」


「鉄砲だけでは撃てぬ?」


「撃てません」


「なるほど」


「それから玉も必要です」


「玉?」


「弾でございます」


「鉄砲が一丁あれば、何度でも撃てるのではないのか?」


「玉がなければ撃てません」


「……」


「火薬もなくなります」


「……」


「ですから、鉄砲だけ増やしても」


「撃てぬ鉄砲が増えるだけか」


「その通りでございます」


「では、鉄砲より玉を増やしたほうがよい?」


「どちらも必要です」


「火薬も?」


「はい」


「鉄砲、火薬、玉」


「はい」


「三つ揃って初めて役に立つ」


「左様でございます」


「では、玉を作る者も必要じゃな」


「はい」


「火薬を作る者も?」


「はい」


「鉄砲を扱える者も?」


「もちろんです」


「……」


「どうされました?」


「鉄砲一丁の話だったのに、人がたくさん必要になった」


「武器とはそういうものでございます」


「なら、鉄砲だけ買って満足してはいかんな」


「はい」


「玉はいくつ必要じゃ?」


「かなりの数が必要になります」


「かなり?」


「撃てばなくなりますから」


「当たり前じゃな」


「はい」


「なら、撃つ前に作っておけばよい」


「その通りです」


「火薬も切らさぬようにする」


「はい」


「鉄砲も整備する」


「はい」


「扱える兵も増やす」


「はい」


「……」


「姫様?」


「鉄砲は大変じゃな」


「はい」


「強いから買えばよいと思っておった」


「最初は皆そう考えます」


「でも、鉄砲そのものより」


「はい」


「鉄砲を使い続けられるようにするほうが大事なのじゃな」


「よくお分かりになりました」


「私も少しは国主らしくなったじゃろ?」


「はい」


「では、鉄砲を増やそう」


「はい」


「ただし」


「はい?」


「火薬と玉も忘れずに」


「左様でございますが問題が」


「なんじゃ?」


「仕入れようにも扱う商人が限られております」


「なんと?あてはあるのか?」


「……」


「そうか…」


「全力は尽くしております」


「既に動いておる辺りがさすが虎次郎じゃな」


「ありがとうございます」

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