「同盟」
「虎次郎」
「はい」
「そもそも、なぜ中の国と四の国は同盟を組んでおるのじゃ?」
「東の国に対抗するためでございます」
「それだけ?」
「それだけではありません」
「ほう」
「昔からの約束や、婚姻、交易なども絡んでおります」
「ずいぶん色々あるのう」
「国同士ですから」
「では、仲が良いのか?」
「……」
「虎次郎?」
「仲が良いというより、離れにくいのでございます」
「どういうことじゃ?」
「例えば、四の国が中の国に米を送る」
「うむ」
「中の国は四の国へ武器を送る」
「持ちつ持たれつじゃな」
「はい」
「では、仲良しじゃ」
「そう簡単ではありません」
「なぜじゃ?」
「四の国は中の国に頼りすぎております」
「中の国は?」
「四の国を守っているつもりでおります」
「……」
「四の国は『もっと助けてくれ』と言い、中の国は『もっと働け』と言う」
「仲が良いとは言いにくいな」
「ですが、どちらも同盟を切るわけにはいきません」
「なぜ?」
「切れば、東の国に対して一国ずつ戦うことになります」
「なるほど」
「それに、長年の約束もあります」
「昔の約束を今も守っておるのか」
「国同士の約束ですから」
「人間同士なら、喧嘩して終わりじゃがな」
「国はそうもいきません」
「面倒じゃな」
「はい」
「では、四の国が困っていても、中の国は助けるのか?」
「同盟ですから」
「中の国が困っていたら、四の国も?」
「はい」
「九の国も?」
「我々も同盟国ですから」
「……」
「どうされました?」
「同盟って、大変じゃな」
「大変でございます」
「助けたくない時も助ける?」
「あります」
「助けてほしくない時も助けられる?」
「あります」
「では、断ることもできぬのか?」
「簡単には」
「だから、あんなに書状が来るのか」
「そういうことです」
「なるほど」
「ご理解いただけましたか?」
「うむ」
「では、どうお考えに?」
「同盟というのは」
「はい」
「友達とは違うのじゃな」
「……」
「何か変なことを言ったか?」
「いえ」
「では何じゃ?」
「かなり本質を突いておられると思いまして」
「そうか?」
「はい」
「なら、よい」
「はい」
「でも、助ける相手なら」
「はい」
「もう少し仲良くしたほうがよいと思うぞ」
「それは……」
「何じゃ?」
「中の国と四の国に言っていただけますか?」
「私が?」
「はい」
「嫌じゃ」
「でしょうね」
「だって、二人とも面倒そうじゃ」
「……それも本質かもしれません」




