表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
47/63

「亡命」

「虎次郎」


「はい」


「四の国の武将が、陸の国へ行ったそうじゃな」


「はい。亡命したとのことです」


「なぜじゃ?」


「四の国の当主に、伊の関所が落とされる前に意見を申し上げたそうです」


「それで?」


「むやみに攻めるべきではないと進言していたそうです」


「まともじゃな」


「はい」


「当主は何と?」


「『今攻めずしていつ攻めるのじゃ』と」


「……」


「武将が『敵に攻め込まれます』と申し上げると」


「うむ」


「『攻め込まれるのは、お前の采配が悪いからだ』と」


「それは困るのう」


「さらに、守りを固めるべきだと申し上げたところ」


「何と?」


「『お前は臆病者と呼ぶ』と」


「臆病者と?」


「そのように」


「……」


「結果は?」


「伊の関所は東の国が占領する結果に」


「その後の当主は何と?」


「伊の関所が敵の手に落ちた責任をその武将のせいに…」


「それで陸の国へ?」


「はい」


「意見を聞き入れられず、責任だけ取らされたという事か」


「そういうことになります」


「変な話じゃな」


「はい」


「虎次郎なら、そんな当主に何と言う?」


「私ですか?」


「うむ」


「……まず、話を最後まで聞いていただきたいと」


「それでも聞かなかったら?」


「困ります」


「それでも家臣を続ける?」


「姫様なら、少しは話を聞いてくださいますので」


「少し?」


「かなり、でございます」


「そうか」


「はい」


「私はちゃんと聞いておるぞ」


「はい」


「たまに忘れるが」


「そこが少々問題でございます」


「でも、意見を言うことは大事じゃろ?」


「もちろんです」


「なら、言える国のほうがよいな」


「……そう思います」


「その武将も、そう思ったのじゃろうな」


「はい」


「陸の国で、ちゃんと話を聞いてもらえるとよいのう」


「そうですね」


「でも」


「はい?」


「四の国は、また一人減ったのじゃな」


「はい」


「人が減る国と、人が増える国か」


「……」


「なんだか、国の勢いというのは、そういうところにも出るのかもしれんな」


「姫様」


「何じゃ?」


「たまに、妙に鋭いことをおっしゃいますね」


「たまにとは何じゃ」


「失礼いたしました」


「まったく」


「はい」


「ところで、その武将は強いのか?」


「かなりの人物だそうです」


「では、もったいないな」


「何がでございます?」


「そんな人まで手放してしまうのは」


「……左様でございますね」


「人は大事にせんとな」


「はい」


「私も気をつけよう」


「それはありがたいお言葉です」


「虎次郎」


「はい」


「お主も、何かあったら遠慮なく言うのじゃぞ」


「……」


「どうした?」


「いえ」


「何じゃ?」


「今の言葉だけで、私は十分仕えていけそうでございます」


「そうか」


「はい」


「では、何かあったら言うのじゃ」


「承知いたしました」


「ただし」


「はい?」


「団子を食べたいとかは駄目じゃぞ」


「……それは意見ではなく願望でございます」


「同じではないのか?」


「違います」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ