第十一話 完全にほっとした
リングの上では、安藤レイナと秋岡いずみの姿が交錯し、ぶつかり合っていた。
リングの外では、また奇妙な光景が広がっていた。
マリハはベンチに座り、両手を膝の上に置き、うつむいて、どこか現実感がないような表情だった。乃亜と舞子は彼女の前に立ち、二人とも肩をすぼめ、まるで悪いことをした子どものように、繰り返し謝罪の言葉を口にしていた。
マリハは何度も何度も手を振って、何度も何度も「大丈夫です」と言った。
彼女がようやく落ち着いて考えを巡らせ始めると、頭の中ではさっきの光景がリプレイされていた――自分が本当にあの動作をやってのけたのだ。これまではただのイメージトレーニングに過ぎなかった、何もない場所で一人、動きを真似するだけだった、全く自信がなかった。オーディションの時も同じで、目の前には何もなく、全て想像に頼っていた。しかし、まさにそういう実感のない練習のおかげで、彼女はリングの上でその動作をしっかりと形にすることができた。しかも姿勢は意外にも様になっていて、本人さえも信じられなかった。
スマホ……
スマホの画面が点灯していたが、新しいメッセージはなく、葵はおそらくまだ忙しいのだろう。
マリハがスマホをポケットにしまおうとした時、横から二本の腕が伸びてきて、それぞれスマホを差し出した。画面にはQRコードが表示されていた。
乃亜と舞子は彼女の前にしゃがみ込み、目を輝かせて、まるで「友達追加してよ」と言わんばかりだった。
LINEを交換した後、空気は一気に和み、三人は楽屋のベンチに並んで座った。乃亜が先に口を開いた。
「ここにはインターンとして来ているんです。着いたばかりで、こんなこと初めてで……」
マリハはうなずき、自分も新人で、役者だと言った。
「役者?」舞子が一気に背筋を伸ばした。「何に出てるの?」
マリハは少し迷って、最近放送されたあの『境界・事件記録簿』のエピソードに自分が出ていると言った。
舞子の目はその場で輝き、スマホを素早く操作した。
「あのドラマ、毎週見てるんです!」
そして顔を上げてマリハの容貌を見つめ、スマホの再生バーを動かし、あるフレームで一時停止した。
画面では、主人公の三島央一(神崎広樹演)がカメラに横向きで話している。その後ろに、警察の制服を着て背筋をピンと伸ばした女の子が立ち、何かをメモしている。それがマリハだった。
乃亜が近づいて見た:「ああ、昨夜あんたと一緒に見たやつだ。」そしてマリハを見て、「俺は追ってないけど、この回は確かに見たよ。」
マリハは頭をかき、また顔が少し赤くなった。
その後、画面がマリハに切り替わった。
「三島警部、私は管轄派出所の巡査、菅原めぐです。第一通報者として現場に到着し、既に初步的な封鎖を完了しています。」
三島央一が手にした書類から視線を上げ、彼女に視線を移し、微かにうなずいた:「ご苦労さま、菅原。」
自分の台詞を聞いて、顔がますます赤くなり、目を覆ってしまった。
神崎広樹のようなハッキリとした顔立ちの人物と間近で対峙するだけで、彼の前に立つだけで頭がクラクラしてくるのに、それで真面目に二言も台詞を言うなんて。
彼女がようやく我に返ると、乃亜と舞子はすでに左右から彼女にぴったりとくっついていて、三人は楽屋のベンチの前に並び、スマホのカメラに向かって手を振った。フラッシュが一瞬光った。
マリハはまださっきの恥ずかしさから完全には立ち直っておらず、頬の赤みもまだ引いていなかったが、二人に挟まれて、口元が自然と緩んでいた。
試合が終了……
秋岡いずみと安藤レイナが一緒にリングを降り、楽屋に来ると、三人がドアのところに立って拍手していた。二人はマリハが急遽代役を務めてくれたことに本当に感謝しており、感謝の気持ちは言葉に表れていた。
数人は連絡先を交換し、楽屋でしばらく話し込んだ。最後に五人で楽屋に押し合いへし合いしながら、スマホのカメラに向かって、永遠に大切にしたい一枚の集合写真を残した。
「SNSに……上げてもいいですか?」乃亜が尋ねたが、すぐに気づいた。「あ、違う、事務所の許可がいるんでしたっけ!」
「清優さん! これ、あなたの写真です! 神がかった一枚!」舞子がSNSでさっきの試合の時に誰かに撮られた写真と動画を見つけて、マリハに手渡した。
「やばい!」




