表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/22

【第7話 もう戻られへん】

店を出る。ネオンが背中に残る。外の空気は少しだけ軽い。

慎二はポケットから携帯を取り出す。短く鳴らす。すぐに出る。

「……どうや」

向こうで風の音がする。

「さっき、こっち戻ってきた」


「どっか行こか」

慎二は短く考える。

「塚本の、いつものとこ行っとくわ。ほな、そこで」

通話が切れる。

店に着くと、慎二はもう一人で始めていた。テーブルの上には、空のジョッキが一つ。健はそれを一瞬見る。

「ごめん、遅なって」

慎二は軽く手を上げる。

「俺もさっきや。何飲む?」

「生もらお」

店員を呼ぶ。慎二は串をつまむ。

「串は適当に言うといたで」

健は軽く頷く。ジョッキが運ばれてくる。泡が少しこぼれる。健は一口飲む。グラスを置く。


「……かなり厳しそうやわ」

慎二は何も言わん。串を一本取る。

「マンションの入口、エレベーター、自転車置き場に駐車場まで。カメラ入っとる」

慎二はゆっくり噛む。

「各階のフロアは……ない」


「エレベーター降りたとこにあるわ」

慎二の手が一瞬止まる。すぐにまた動く。

慎二は串を置く。


「顔やな」

健が顔を上げる。

「覆面か……グラサンとマスクか」

「目立つやろ」

「せやな」


「……車はどうする」

慎二はすぐには答えへん。串を一本取る。ゆっくり噛む。

「いるな。車検間際のやつ、あったやろ」

健が小さく頷く。

「どうせもう切るやつや。ちょうどええな」


慎二はグラスを持つ。

「終わったら」


「すぐ流すわ。アイツらんとこ回しとく。そのまま潰れるやろ」

健は何も言わん。グラスを持つ。ゆっくり飲む。

もう戻られへん。

それだけは分かっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ