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【第67話 ここから先は】
「松本さん……良かったですね」
弁護士が穏やかに言う。
「二件とも示談が成立しました」
「執行猶予も付きました」
健は、ゆっくりと息を吐いた。肩の力が、ようやく抜ける。
だが——
「ただし」
弁護士の声が少しだけ引き締まる。
「五年、何もなければ……という話です」
視線をまっすぐ向ける。
「くれぐれも、気を付けて下さい。月に一度は顔を出してもらいます」
健は深く頷いた。
「……分かりました」
静かな声。
「本当に、お世話になりました」
頭を下げる。
そして——少しだけ間を置いて、顔を上げる。
「あと……」
言葉を選ぶ。
「慎二のこと、よろしくお願いいたします」
弁護士は一瞬だけ目を細める。
「分かりました」
静かに答える。
「本人次第ですが——」
わずかに息をつく。
「少しでも軽く済むよう、尽力します」
健はもう一度、頭を下げた。
外に出る。
光が、少し眩しい。
すべてが終わったわけではない。
だが——ここから先は、自分で歩くしかなかった。




