【第24話 闇バイトか】
同じ朝、吹田署でも捜査会議が開かれていた。
部屋の空気はどこか重い。資料が配られ、椅子の軋む音が小さく重なる。
前に立った男が、ゆっくりと口を開いた。
「……北区でも、同じような事件があった」
視線が一斉に上がる。
「状況は、ほぼ一致しとる」
短く言い切る。
「それぞれ報告を」
「防犯カメラですが――当日、雨で画像がはっきりしません。車はトヨタのヴィッツ、色は黒。ナンバー照合しましたが別車両がヒットしています」
一瞬の間。
「……恐らく、偽造です」
別の席から続く。
「キャバクラへの聞き込みですが、現在は箝口令が引かれている状態です。営業再開後、客として入り、聞き出す予定です」
淡々と報告が重なる。
前に立つ男は腕を組んだまま聞いている。
やがて、低く言った。
「犯人は二人組か……」
誰かが応じる。
「複数で、組織的の可能性もあります」
短い沈黙。
「闇バイトも視野に入れて動いてくれ」
その一言で、空気がわずかに重くなる。
「……闇バイやと、面倒ですね」
小さく漏れた声。誰も否定しない。
前の男が続ける。
「それと――容疑は強盗傷害に切り替える。殺人未遂は取り消しや」
資料を持つ手が止まる。
「捜査員は半分に絞る」
ざわめきが一瞬広がり、すぐに消える。
「北区と同じとなれば、合同が立つ」
視線が一度、全体をなぞる。
「それまでに、拾えるもんは拾っとけ」
短く言い切る。
部屋の空気が、ゆっくりと動き出した。




