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男の娘魔王様の如何ともし難い日常 〜異世界化した未来の地球に転移した魔王は姫になる〜  作者: 和三盆光吉


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15話



「カンナちゃん! あんた何してんのよ!」


 美和が血相変えて黒髪ショートの美少女とDQN大学生に突撃をかます。


「平日でしょうが! 学校サボって彼氏とデートかい! 許されざるよ、おっ!」

「げっ、美和さんじゃん!」

「あ、誰? カンナの知り合い?」


 魔王は慌てて美和の後を追う。

 カンナと呼ばれた美少女とDQN大学生をスルーして、幼子を抱っこして救助。そのまま3人から距離を開けた。


「そっちのお前! カンナちゃんは中学生だべ! 学校をサボらせて連れ回して犯罪だっぺ! 警察に通報すんぞ!」


 凄い剣幕でDQN大学生に詰め寄る美和。

 あまりの迫力に、とうとう幼子が泣き出してしまった。


「わぁぁ〜ん! あぁ〜ん! ママ〜〜〜!!!」


 美和の怒声と幼子の鳴き声と、周囲には野次馬の人だかりが作られる。


「大丈夫。大丈夫だ。ママはもうすぐ迎えに来るぞ。ほら、大丈夫になるおまじない。チュ、チュ、チュ」

「……グスン」


 魔王は幼子のほっぺにキスをして慰める。すると安心したのだろう、幼子は泣き止んで魔王にしがみつき、胸に顔を埋めた。そう、ブラとパットで偽装された偽物のおっぱいに。


「良し良し。強い子だ。男は強くあらねばならぬぞ。我のようにな」


 頭をナデナデ、背中をポンポン。

 そうしていると、騒ぎを聞いて駆け付けた幼子の母親が魔王と我が子を見つけて駆け寄る。


「マー君良かった! お母さん心配したのよ!」

「ママ!」


 魔王は母親に幼子を返す。


「ありがとうございます。ちょっと目を離したらいなくなって、探していたんです」

「おね〜ちゃん、ありあと〜」


 感謝して頭を下げる母親。その腕に抱かれてニコニコと魔王に手を伸ばす幼子。


 人の多い場所ではよくある事だ。魔王は母親に笑顔で問題ないと告げ、それから事の経緯を話して聞かせる。


「この子が迷子になっているのを見つけたあの少女が優しく声を掛けていた所、そこの男が少女を拐かそうとしつこく迫ったのだ。我がお姉ちゃんが止めようと割って入り口論となって、我はこの子を守っていた次第」

「まぁ! 警備員さんは何をしているのかしら! それとも警察に通報した方が良いかしらね!」


 状況からでっち上げた作り話。

 DQN大学生を一方的に悪者に仕立て上げるものだが、当たらずしも遠からず。

 実際、DQN大学生は悪なのだ。


「お前! さっきホテルとか言ったべな! 中学生とホテルなんて淫行だべ! 犯罪だべ! 女の敵だっぺ!」


 美和は増々ヒートアップする。カンナはどうして良いか分からず狼狽え、DQN大学生は怒りで顔を赤く染めた。


「うるせぇデブ女! テメェには関係ないだろうが! 突然出て来て説教しやがって、ウゼェんだよ!」


 DQN大学生は腕を伸ばして美和の肩を突き飛ばす。


「あぅっ!」


 よろめく美和。その瞬間、魔王の中でDQN大学生が排除対象、敵へと変わった。


「おい、下郎」


 声を低く(つもり)、覇気を纏って(つもり)、DQN大学生に歩み寄る。

 実際にはお姫様が上品に、ちょこちょこ歩いているのだが。

 

「少女を手籠めにしようとしただけでも大罪。加えて我がお姉ちゃんに暴力を振るうなど万死に値する。恥を知れ」


 魔王は腰に手を当てて凄んだ。

 あまりにも愛らしいその姿に、周囲は度肝を抜かれて「えっ?」となる。


「リムちゃん、危ないから下がって!」

「な、なに、この娘?」

「うはっ! 天使登場! もしかしてアイドル?」


 この状況でも魔王へ向けるイヤらしい視線。

 DQN大学生の理性のない性欲にウンザリする。

 日本人の中にも、やはりこういった手合いは居るのだと呆れる。


 だから魔王は、自らが禁止した恐ろしい悪魔の魔法を、DQN大学生に向かって紡ぐのだ。


下痢便ゲリラ


 この魔法はかつて、聖女ピーターが独自に開発した非人道的な対人攻撃魔法。


 転移前の魔王は聖属性魔法が不得意だったので使えなかった。けれど今なら十全に使える。


 人を癒すべき聖属性魔法を悪用して編み出されたこの魔法は、人体の内部、胃腸に直接作用するのだ。


「おっ? うぐっ! は、腹が急に!」


 グギュ〜。ギュルギュルギュルギュル〜。


 本来、聖属性魔法は癒しの魔法。喜んで受け入れる事は多々あれど、拒絶する者はいない。従ってその性質上、防御手段の存在しない究極の攻撃。


「は、腹が痛ぇ〜! も、漏れる〜!」


 ロリ美少女メイドピーターはこの魔法を使い、気に入らない男共を恐怖のドン底に突き落とした。


 考えて欲しい。公衆の面前、特に重要な場面で突然、強烈で抗えない便意に襲われる。

 

 舞踏会で格好つけてイキっている最中、彼女の前でドヤっている瞬間、或いは魔王との謁見のその時、ウンコを漏らすのだ。


「ゆ、ユウスケ、どうしたのよ!」

「ト、トイレ! 漏れちまう〜!」


 抵抗は無意味。人の尊厳を破壊する悪魔的魔法『下痢便ゲリラ』の前に、人間の括約筋は活躍しない


 ギュュュュルルル〜〜〜!


「ど、どけ! 道をあけろ! 俺をトイレに! いや、トイレに行かせて下さい〜!」


 その場から逃れようと足掻くDQN大学生。

 折り悪く、騒ぎを知った警備員が駆け付ける。


「騒ぎを起こしたのは君か! ちょっと事務所まで来てもらおうか!」

 

 DQN大学生の肩に手を置いた。

 それは彼にとって、終わりと地獄の始まりであった。


 ブビッ。


「……あっはぁ〜〜」

「えっ? 君、なんて声をだし、」


 刹那。


 ドッパーン! ブリブリブリブリブリブリ〜!


 轟音と共に溢れ出す濁流が、ズボンの隙間からコンニチワ。


「「「きゃあぁぁぁぁぁ〜〜〜!!!」」」


 ショッピングモールに悲鳴が木霊する。

 それから強いウンコ臭も漂う。

 一帯は一瞬で阿鼻叫喚の地獄と化した。


「こいつ漏らしたぞ!」

「臭い! 臭い! 臭い!」

「誰か! 警察に通報しろよ!」

「ママ〜! ウンコ、ウンコ!」

「見ちゃ駄目! 目と鼻と口を塞ぎなさい!」

「こいつ知ってるぞ! 〇〇大学の〇〇だ!」

「やっぱり〇〇大学か! 昼間っからショッピングモールで脱糞するのは〇〇大学生くらいだぜ!」


 野次馬達は口々にDQN大学生の脱糞を非難した。


 そう、『下痢便ゲリラ』の魔法の恐ろしい所は2次被害にある。


 ウンコは臭い。個人差はあるが、腸内環境が悪くなった時の下痢便はとても臭い。スメルテロと言っても過言ではない。


 それから人前で脱糞すれば心の傷となる。大人なら尚更深く傷つく。イキったDQN大学生なら倍増しだろう。

 噂は千里を走り、長きにわたって筑波ハンター都市には居られなくなる。


 最後は掃除の問題。放出された下痢便を誰が掃除するのか。自分か、他人か。どの道、恥ずかしい。


「うあぁあぁぁ〜〜〜! 止まらねぇ〜〜〜!!!」


 ブッピィ! ブッピィ! ブリリィ〜!


「くっさ! ユウスケ、臭っさい! おぇ〜!」

「見るなカンナ〜! 見ないでくれ〜! いや、お願いしますから見ないで下さい〜! 腹が痛い〜!」


 ブリブリ、ブリブリ、ブリリィ、プピー!


 床に転がり、お尻を押さえながら脱糞が止まらないDQN大学生である。脱糞が収まらない限り警備員も手が出せない。


(本当に恐ろしい魔法だ。まさに悪魔的発想。正常な人間の生み出せる魔法ではない。やはりピーターは聖女などではない、異常者だ!)


 魔王は『下痢便ゲリラ』の恐ろしさを再認識すると共に、法律で禁止した自分の判断の正しさを評価した。


(さて、今のうちに)


 魔王は混乱に乗じて美和の手を取る。


「美和お姉ちゃん。逃げるぞ」

「リムちゃん?」


 それから美和の知り合いらしい、黒髪ショートの美少女の手も取る。


「そなたも一緒に来い。話を聞かせてもらおう」

「え? ちょっ? あんた誰なのよ?」

「いいから、カンナちゃんも来るっペ!」


 こうして3人は、悪臭漂うショッピングモールから脱出した。



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