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男の娘魔王様の如何ともし難い日常 〜異世界化した未来の地球に転移した魔王は姫になる〜  作者: 和三盆光吉


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12話



 魔王が目覚めたのは柔らかいベッドの中。

 元宇宙巡洋艦『筑波』現ハンター協会筑波支部。

 その乗組員用個室(ハンター協会職員独身寮)の一つである。


(ベッドの中から出たくない。でもおトイレに行きたい。そろそろ限界だ)


 部屋にはベッド、机、テーブル、ソファー、壁掛けテレビ、冷蔵庫、クローゼット、バスルーム、トイレ、洗面台と一通り揃っている。しかも艦内全体が空調によって適温に保たれるという至れり尽くせりの状態。

 魔王は習慣で一旦目覚めたが、ベッドという魔物に囚われて膀胱の危機を向かえていた。


「もうらめぇ〜! えい!」


 心を鬼にしてベッドへ別れを告げ、急ぎ足でトイレに駆け込む。


 バタン。脱ぎ脱ぎ。座りんこ。

 ショショショ〜。チョロチョロ〜。ピッピッ。


 膀胱に溜まった水分を残らず放出。若い魔王はキレもバツグン。トイレットペーパーで先っちょを拭いて、ジャーと水を流して終了。スッキリしてトイレを出る。洗面台で手を洗いながら、備え付けの鏡を覗き込んだ。


「あぁ、何度見ても少年時代の我だ。思い出したくない黒歴史。ここからまた鍛えるのかと思うと気が滅入る」


 鏡の中には安定の美少女(男)がいる。魔王は自らの姿にゲンナリしながら歯磨きと洗顔を済ませた。


(さて、時計を信じるなら朝の6時。日本国と魔王国は一日24時間で同じ、時計の読み方も同じと)


 魔王国の暦は一年365日、一日は24時間。

 地球が全く同じなのは、偶然というには奇妙過ぎる。だが考えても魔王には分からないし、たぶん今後の人生に関係ないのでスルーする。


(お腹が空いた)


 昨夜、魔王をこの部屋に案内してくれた伊藤美和。

 彼女は朝になったら迎えに来ると言った。それまで勝手に出歩かない様にと釘を刺された。用事がある時は艦内通信という魔法具を使うよう説明を受けた。


(大人しく待つか)


 そう決めた途端、部屋のインターホンが鳴った。

 こういう場合、ドアホンモニターで相手を確認するものだが、文明度が近代未満の魔王国から転移した魔王には分からない。

 なので「美和殿か、今開ける」と、不用意に扉を開けた。


「あ、ユート。……ではなくユーリ殿」


 扉の前には巨乳デカ美女。

 荷物の詰まったバックを小脇に抱えて魔王を見下ろす。


「おはようリム。早起きなんだね」

「おはよう、習慣なものでな」

「そうかい。入っても?」

「む、レディーに気が利かず失礼した。どうぞ」


 ユーリを招き入れ、ソファーを勧める。

 デカ巨乳が座ると、ダブルデカでソファーが大きく沈む。

 (おっぱいは二房なので、体と合わせてトリプルデカかもしれない)

 ユーリの隣に魔王が座るのだが、既に十分沈んだソファーはそれ以上変化せず、代わりに魔王の体は傾斜に任せ、ユーリに向かって傾いた。つまり、寄りかかる形だ。


「はぅっ! リ、リム?」

「む。これは失礼をした。レディーに対して配慮に欠けた行い、許して欲しい」


 魔王は慌てて離れようとする。ユーリの隣から立って、ソファーの端へ移動しようとする。


「初めからこうするべきだった。つい、いつもの感覚で隣に座ってしまった。すまぬ」

「ま、待て!」

「んぉ?」


 魔王の柔肌と温もりがユーリから離れてしまう。

 (離れたくない)

 その時、ユーリは咄嗟に魔王の手を握った。


「私がデカいのがいけないんだ。リムが気を使う必要はない、このまま隣に座っていな」

「そうか。ユーリ殿が許すのなら、そうしよう」


 何度も言うが魔王は女の子が好きだ。

 魔族という種族柄、巨人族への忌避感も皆無。

 相手が巨乳美女で、実年齢が近いなら、むしろウハウハウェルカムである。

 魔王は心の中でほくそ笑みながら、ユーリの隣を満喫した。


「お客に茶の一つも出さねばならぬ所だが、ここは間借りした部屋。勝手が分からぬのだ、許して欲しい」

「子供が気にする事ではないよ。それよりね、着替えを持って来たんだ。取り敢えず職員用の制服と、購買で買った下着。サイズは亀吉から報告を受けているからジャストフィットするはずだ」


 パンパンに膨れたバックの中身は着替え。

 今はエミリオのロリコン臭が染み付いたTシャツと、亀吉お手製の女性用パンツを使っているので本当に助かる。


「早速着替えて」

「うむ、失礼する」


 魔王はバックを受け取りバスルームの脱衣所へ向かう、その後をユーリが続く。


「ん? なぜついてくるのだユーリ殿」


 脱衣所まで侵入するデカ巨乳。


「着替えを手伝わないとだし、確認したい事もあるからね。身元引受人として当然の責任だ」


 極自然な態度のデカいおっぱい。魔王は美女に見られて困る事もないし、そういう事もあるかと納得すると、バックから服を取り出し広げて確認する。


「あれ? んん〜?」

「どうした。職員の制服は気に入らないか? 悪いが今はそれしか用意できないぞ」


 ハンター協会職員の制服は生地も仕立ても良く、デザインも無難で外出にも使える。そもそも世話になっている身である。着る物を無償でもらえるだけありがたい。だが。


「いや、これって女性用じゃね。スカートだよね。日本国では男もスカート履くの?」


 完全なる女性用制服。その時、魔王の脳裏につい最近の記憶がフラッシュバックした。


「はっ! まさか!」


 バックをまさぐり下着を取り出す。

 梱包ビニールを破り捨てて中身を確かめる。

 そこには魔王が案ずる「まさか」がまさかしていた。


「これって女性用パンツじゃね。普通、男物って正面にドアがあるよね。ゾウさんがこんにちわする用の窓が」


 魔王はキレそうになった。

 短い時間だが、服装に関して日本国も魔王国も共通点が多い事を魔王は確認している。

 エミリオはズボンだし、亀吉はヒラヒラスカートのメイド服。伊藤美和もスカートの制服だったし、いま目の前にいるユーリは、巨乳を強調した扇情的なスカートタイプのスーツだ。


「我は男ぞ! 男子に女性用の服とは失礼であろう! その辺、どうなってんの!」


 なったではなくキレた。


「お待ちリム。良く聞きな」

「ぬっ?」

「これからリムの今後に関する重要な話をするよ」

「なんとだ?」


 ユーリは真剣な眼差しで語った。


 大前提として、魔王は男の子としては綺麗過ぎて可愛い過ぎる。

 馬鹿正直に「男の子です♡」と周囲に吹聴しても、まず誰も信用しない。そして嘘つきの痛い美少女だとレッテルを貼られるだろう。

 よしんば男の子だと信じる者がいたとして、果してその人物は信用に値するのか。特殊な性癖の持ち主ではないのか。男の子だと主張するのは要らぬトラブルを呼び込むだけではないのか。


「そ、そんな事言われても、我は男の子だもん!」


 拗ねた姿が可愛さしかない。説得力ゼロ。


「だから、当面は女の子として生活するんだ。私はトラブルなんて御免だし、私は女、部下も女が多いから、女同士なら守ってやれる」


 もっともらしい言葉である。魔王も一理あると思ってしまう。


(ここは見知らぬ異世界日本国。1人で生きていくのは困難だ。世話になる相手に迷惑をかけるのは魔王の行いとは言えぬし、従うしかないのか)


 致し方無し。魔王は女性服を受け入れる覚悟を決めた。


「さて、リム」

「なんぞ?」

「私はリムが正真正銘120%の男の子だと確認していない。証拠を見せてくれるかい?」

「証拠とな?」


 男子の男子たる証拠と言えば、ゾウさんを見せるのが手っ取り早い。ユーリはそれを見せろと言う。


(エミリオなら顎に頭突きを食らわせる所だが、ユーリなら見せても良いだろう。むしろご褒美だ)


 再三いうが、魔王は女性が好きだ。大人の男として、エロい想像をする事も少しはある。魅力的な美女にゾウさんを見せる。これは一つのプレイである。


「我が男子たる証、しかと見よユーリ殿!」


 魔王は女の子っぽくパンツを下げた。


「うほっ♡」

「うほっ?」


 こんにちは小象さん。あなたは可愛い小象さん。

 ユーリの瞳に♡が映る。そして涎も垂らす。


「どうしたユーリ殿? これで満足か?」

「あ、あぁ。確認した。ごちそうさま」

「ごちそうさま?」


 ユーリは涎を拭い、そして納得した。

 魔王は疑いようのない男の娘であると。

 自分が子供を産むならこんな子を産みたいと。

 否。魔王を自分の子供にしたいと。

 今、ユーリの中では今世紀最大規模で母性が芽生えていた。


「ユーリ殿?」

「うん、リム♡」

「いつまでもレディーの前でフル・モンティは恥ずかしい。そろそろ服を着て良いか」

「そ、そうだね。手伝うよ」


 ユーリはドキドキと高鳴る鼓動を悟られぬよう、大人の態度で着替えを手伝う。


「ユーリ殿、これはブラジャーでは?」

「AAAカップのパット入り。女の子なら胸がないと不自然だろ?」

「そんなモノか?」

「そんなモノさね」

「女の子のパンツだと、窓が無いから不安だな」

「リムは普段、どうやってトイレを?」

「うむ。便座に座ってする。終ったらトイレットペーパーで綺麗に拭き取るぞ」

「へぇ、上品だね」

「幼い時からの習慣だ。品性は日常の何気ない所作で身に付くからな」

「良い考え方だね。親御さんの教育の賜物かい?」

「まぁ、そうかもな」

「色々思い出した?」

「いや、黙秘する」


 ユーリの誘導尋問に乗せられる魔王ではない。

 淡々とブラを着け、パンツを履き、キャミソールを着て、ストッキングとスカートとワイシャツと上着。


「似合ってるじゃないか。これなら今すぐにでもハンター協会の全事務所を制覇して、アイドルな伝説を作れるよ」


 オフィスロリ。そんな言葉があっても良い。


「うむ。ストッキングのお陰でお股は寒くない」

「うんうん。少しスカートを捲って見せておくれな」

「スカートを捲くるのか? こうか?」


 魔王はスカートに手を掛ける。相手はたった今、全裸を見せたユーリである。おパンツを見せるのに、恥じらいなどあろうものか。むしろご褒美だ。


 ピンポ〜ン。ピンポン、ピンポン、ピンポ〜ン。


 だが、すんでの所でインターホンが鳴った。


「む、来客だ。今度こそ美和殿だな」


 魔王はスカート捲りを途中で止め、ドアを開けて美和を部屋へ招き入れる。


「ちっ! 美和の奴、夏のボーナス査定で減点してやる」


 心の中の悪態は、想いが強過ぎて声に出ていた。




 応援よろしくお願いします!

 変態ランキング総合1位になりたいです。

 なろう変態界隈で話題の変態になるのを目指しています。



 まあ、変態ランキングがあればですけど。




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