表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
視える転生令嬢は悲劇のヒロイン(!?)なお父様を救う為に魔女様に弟子入りします!!  作者: 彩紋銅
四部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/128

98 アーロンとショーン

 ◇


 アーロン・ルビア。

 その名を聞いて、原作の記憶が久しぶりに蘇った。


『リザンテラ〜土の中に咲く花〜』は、私が前世の世界で読んでいたウェブ漫画だ。

 その作品の主人公は、私の異母姉であるポーラ・ルビア。

 シンシア(わたし)は、物語前半の敵役。悪役令嬢のポジションだ。


 そして、原作では私が七歳のときに実父であるショーンは、実母のヘザーとその愛人によって殺されてしまう。


 その愛人が、このアーロンなのだ。


 原作では、何故かヘザーとアーロンはシンシアの味方になっており、主人公のポーラを虐める役回りだった。

 現実では、私とお父様は悲劇が起きる前に離縁し、ルビア伯爵家を脱出しているため、彼との接点はまったくないはずなのだが……


 それでも警戒心が湧いてしまう。


「ショーン・カプセラと申します。こちらは娘のシンシア。──ルビア、ということはヘザー女伯爵の旦那様ですか?」


 と、お父様が私をさりげなく後ろに庇いながら、アーロンと会話をする。

 そういえば昔、お父様に私の前世のことを話した気がする。


「ええ。ショーン殿とは一度、お話をしたいと思っていたのですよ」


「そうですか?」


 お父様はにこやかに笑っているが、内心は私同様、かなり警戒しているようだ。


「ええ。同じ父親同士、としてね」


「お、お父様……」


「シンシアは先に行っていなさい」


「しかし……」


 お父様とアーロンを二人きりに? 流石にダメでは!?


「大丈夫。さあ、行って」


 お父様にそう言われてしまうと、そうするしかないのだが……


「わ、分かりました……」


 私はお父様から離れる。

 でも気になるので、少し離れた場所で様子を見ることにした。


 私の分析の魔法では、二人の姿は見えても会話の内容までは分からないからな〜。


 そうだ!


「キーリーさんいますか?」


「はい」


「うわっ!?」


 すぐそばから、キーリーさんの声がした。

 振り向くと、ごく自然にそこにキーリーさんがいる。

 なるほど。すぐそばにいても、まったく気づかなかったというか、気にならなかった。

 隠密魔法とは、相手に意識されにくく魔法なのかもしれない。


「私ごと、気配を消す魔法は使えますか?」


「可能です」


「では、それを使ってもらってお父様たちに近づきます。そして何かあれば、いつでも動けるようにしたいです」


「かしこまりました。どちらかのお手をよろしいですか?」


「はい」


 差し出した左手に、キーリーさんが触れる。すると手首に紫色に輝く蔦のような文様が浮かび上がった。


「この文様がある間は、魔法の効果が持続している状態です。

 しかし、音を立てたり、相手が索敵系の特異魔法を使っていると、気付かれてしまう可能性があるので、ご注意を」


「分かりました。行きましょう」


 ◇


「──カプセラ領では、世紀の大発見があったそうですね」


「ええ。もともと、先人たちがあのあたりに何かあると予想していたので、その予測が当たったようですね」


 二人の姿が見えて、声が聞こえる場所まで移動できた。


「それはそれは。しかし、ショーン殿はとても幸せそうだ。羨ましい限りですよ」


「そうですか? でも確かに、愛する妻と子供たちに囲まれているのは、幸せ以外のなにものでもありませんよね。

 アーロン殿も、長年思い合っていた相手と結婚できたのですから、幸せなのでしょう?」


「それは……」


「家のために仕方がなかったとはいえ、お二人の間に割り込んでしまって申し訳ありませんでした。

 貴方も今は、親子水入らずで幸せなのでしょうね」


「そう、ですね……」


 アーロンの顔に影がさす。


「貴方は……俺と同じだと思っていました」


「え……?」


「実家の領地に不幸が起き、身売り同然で誰かに体を差し出した……」


「……」


「同じ地獄にいるのだと思っていました。ですが、貴方は違ったようです。

 だから俺は、貴方が羨ましくて妬ましくて、憎らしい──」


 そう言って、アーロンは自嘲気味に笑った。

 その表情は、今にも泣き出しそうに見えて……


「貴方は──」


 お父様が何かを言おうとした瞬間──


「あるじどの〜〜!!」


「うわっ!?」


 そんな声と共に、パーガトリー君が私に抱きついてきた。

 一体どこから現れた!?


「!!」


「!?」


 パーガトリー君に抱きつかれた勢いのまま、お父様たちの目の前へと転がり出る。


「シンシア!? 大丈夫かい?」


「は、はい……」


「主殿〜、会いたかったです〜」


 パーガトリー君は泣きながら、私にしがみついている。


 な、何事なの!?


「パーガトリーくーん! 待ってくださーい!」


 後から、ジャイルズ様たちが追いかけてくる。


「何があったんです?」


 と、お父様。


「いや、午前中の検査が終わったので、休憩しようとしたらパーガトリー君が一目散にかけだしてね。どうやら、シンシア嬢を見つけて──」


 不安になって、こうなったというところだろうか。


「あ〜、パーガトリー君。そろそろ、シンシアを離してあげてくれるかい?」


「え?」


「……」


 私は、もみくちゃになっていた。


「主殿!? すまない!」


 アーロンの姿は、いつの間にか消えていた。


 ◇


 それから、私はもみくちゃで埃まみれになったので、お風呂に入れられ、身支度を整えられた。


 パーガトリー君もクライド殿下に晩餐に招待されたので、今日の検査は早めに終わらせることにしてその、準備をすることに。

 あと、ジャイルズ様もパーガトリー君のフォローのために、晩餐に参加するらしい。


「パーガトリー君は何があったの? 酷いことされたの?」


 改めて、パーガトリー君とジャイルズ様に何が起きたのかを確認する。


「いえいえ、身体検査と体内の状態を撮影して問診しただけですよ! 血液を少し採取させていただきましたが、その時はなんともなかったんですけどね〜」


「その……主殿の姿を見つけたら、つい……」


「なるほど……」


 大型犬みたいだな、パーガトリー君は。


 その後、お父様が領地へ戻る時間となった。


「それじゃあ、僕は領地に戻るけど、何かあったら連絡するんだよ?」


「はい、お父様」


 お父様を見送り、私は一息つく。なんだか慌ただしかったな……


 さて、あとは、クライド殿下との晩餐だ〜。


 ◇


「ようこそ、シンシア嬢。それに、パーガトリー殿に、ジャイルズ殿も」


「お招きいただき、ありがとうございます」


 声をかけてくださった国王陛下に、ジャイルズ様が挨拶をし、私はカーテシーを、パーガトリー君は紳士の礼を捧げる。


 パーガトリー君は礼服を着ているが、元がいいためかなり様になっている。礼儀作法も完璧だけど、これも私から読み込んだ(インストールした)ものなのだろうか?


 ジャイルズ様も礼服を着用しているし、私ももちろんドレス姿。ドレスは王宮から借りたものだ。


 ちなみに、パーガトリー君の礼服はジャイルズ様から借りたそうだ。


「公の場ではありませんから、堅苦しい挨拶は大丈夫よ。さあ、みなさん座ってちょうだい」


 同席するのは、第一王子クライド殿下と第一王女ステラ殿下、第二王子のリオ殿下。そして、王妃殿下と国王陛下がそこにいた。


 ひぇえ〜。


 言われるがままに席に着く。

 ジャイルズ様が一緒に来てくれて助かったわ。


「ジャイルズ兄様、お久しぶりです」


「王妃殿下もお変わりないようで。クライド殿下達も元気そうだ」


 あ、そういえばジャイルズ様ってローレッタ王妃殿下のお兄さんじゃん!

 兄妹(身内)でも、王妃殿下って呼ぶんだな〜。


 そうして、晩餐が始まった。


「あの、パーガトリー殿はゴーレム、なのですか?」


 クライド殿下が、待ちきれないとばかりに切り込んだ。


「はい」


 パーガトリー君は水を飲みながら答える。

 相変わらず、食事には手をつけていないが、特にみなさん気にしていない。事前に情報がいっているのかも?


「巨大ゴーレムとは一体どんなものなのだ?」


 と、クライド殿下。


「我々は、世界の脅威と戦うために神々によって造られた、兵器です」


「やはり、そうなのか!」


「今でも動くのですか?」


 ステラ殿下も興味津々だ。


「そのようです」


 みなさんの話題はもっぱら生体ゴーレムのパーガトリー君だ。

 クライド様たちの質問には、ジャイルズ様も補足するような形で会話に参加。


 また小さい、リオ殿下は、興味津々の兄姉たちをキョトンとした目で見ていた。

 たしか、今年で三歳だから、私の弟のロイの一つ下だ。

 銀髪と藤色の瞳が可愛らしい。


 私はその間に、豪華な食事を楽しんだ。

 このまま二人が会話をしてくれていれば、私はただ食事を楽しむだけでいいもんね〜。

 うま、うま。


「シンシア嬢、アンドリューの様子はどうかな?」


 パーガトリー君の話題が途切れた頃、陛下が声をかけてきた。

 アンドリューはアンディ君の本名だ。


「は、はい! 魔王国で元気にしています。冒険者の資格も取ったらしく、冒険者としても活躍していますよ」


「そうか」


 あ、明日アンディ君が帰ってくるから、そのこともお伝えしないと!


「それと、週末は大抵こちらに帰ってくるのですが、今週は彼も王宮に泊まってもらっても大丈夫ですか?」


「ああ、かまわんよ。シンシア嬢の隣に部屋を用意しよう」


「あ、同じ部屋で大丈夫ですよ?」


「え? いや、いくら婚約者同士とはいえ、流石に……」


 陛下が困惑している。


 あれ? 婚約者同士なら大丈夫なんじゃなかったっけ?


「そうですか? アンディ君がこちらへ戻ってくるときは、いつも同じ部屋で過ごし、一緒にお風呂に入り、同じベッドで寝ているのですが……」


 ネロと猫姿のオレオールも一緒だけどね。


「ンンっ、その、シンシア嬢とアンドリューは今、何歳だったかな?」


「十二歳です」


「そ、そうか……」


 なぜか陛下が悩み始めたのだが……?


「へぇ。アンドリューとシンシア嬢は、仲が良いのだな!」


「そ、そうね! 仲が良くって、いいわね〜」


 と、王妃様。


「で、でも、そろそろお風呂は別々にした方が……」


「え? 何故ですか母上」


 クライド殿下とステラ殿下が、不思議そうにしている。


「あ、えー、そうだわ。シンシアちゃん、こちらにいる間は何か予定はある?」


 王妃様があからさまに会話をそらした。


「いえ。特には」


「だったら、家庭教師をお呼びするから、お勉強でもしましょう!」


「いいんですか? ありがとうございます!」


「頼んでいる、家庭教師はいらっしゃる?」


「はい。いつもはエラ夫人にお願いしています」


「コットンローズ伯爵夫人ね。良い人選だわ!」


 明日はアンディ君がくるので、家庭教師派遣は来週からとなった。

 これで暇が潰せるな!


 こうして、王族との食事会は無事に終わった。







陛下(子供の頃からの習慣なら、こんな感じなのか? しかし、一緒にお風呂はそろそろマズイのでは……ここは一つ、私が助言するべきか……いやしかし、せっかくアンドリューも立ち直ってきたし……)


甥に助言するべきか悩む陛下であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ