表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
視える転生令嬢は悲劇のヒロイン(!?)なお父様を救う為に魔女様に弟子入りします!!  作者: 彩紋銅
四部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/128

93 ネロ幼女に乗っ取られる【アンディ】

 ◆◇◆


 前回の魔動画通信から二日後の夜。

 シンシアから魔動画通信(マギ・ヴィジョン)で連絡が来た。


 シンシアは、カプセラ伯爵領の、遺跡での出来事を話してくれたんだが……


『──というわけで、大変だったの』


「巨大ゴーレムか……そんなモノが北の山岳地帯に……」


 そういえば、北部の山々にはそういった神話的なものがあったような気がする。

 確か、シンシアのお父さんのご先祖様も昔、あの辺りの調査のために北の山脈付近に領地を与えられたとか。


「それはいいとして、シンシア」


『ん?』


「君に抱きついている、そいつは何?」


 金髪長髪のイケメンが、シンシアに抱きつき、不思議そうな表情(かお)でこちらを見ている。

 服装は貴族の平服だろうか? シャツとベストを着ている。少し丈が短い。サイズが合っていないのか?


 実に腹立たしい。

 僕の婚約者(シンシア)に何をしているんだ、こいつは……


『彼がその巨大ゴーレムの頭脳体? らしいわ。人とコミュニケーションを取るための……ネロの化身みたいな感じ?

 名前はパーガトリー君』


『よろしく』


「それがなぜ、シンシアに抱きついているの?」


『どうやら、私が彼の主人になってしまったみたいでね〜。

 今は王宮に彼の身体検査に来ているのよ。世にも珍しい生体ゴーレムだからね』


「へ〜。そうなんだ、へ〜」


 いや、主人になるとそんなに引っ付くものなのか? 答えになっていないよね? 

 まあ、引っ付く理由は、シンシアも分かっていないのか。

 王宮にいるなら大丈夫だろうけど、それでも心がざわついてしまう。


 だが、今の僕は文句を言える状況ではない。


『あれ? そういえばネロは? まだ寝る時間には早いし、いつもなら乱入してくるのに。

 あ、でもこの前は先に寝てたか』


「それは……」


「アンディ〜、何してるの〜?」


 そこへ、彼女が乱入してくる。


『え? 誰!? 女の子!?』


「……彼女はプニャーレ。ネロの()()()()()を利用して顕現している、ネロ武器の〝守り手〟の一人なんだ……」


 僕はこの二日間に起きた出来事を、シンシアへと説明する……


 ◆


 前回のシンシアとの魔動画通信(マギ・ヴィジョン)の翌日、僕はいつものように仲間と一緒に、冒険者として依頼を受けていた。


 内容は、魔王国近隣にある『スペイシャス』という名のダンジョン内に大発生した魔獣の討伐。


 メンバーは僕とジョニーさん、それとこちらで知り合ったB級冒険者のブルースさんという、いつものメンバーだった。


 そのダンジョンは広いけど、特に危険な魔獣も湧かないので、初心者向けにぴったりの場所だった。

 ただ、十年以上前に起きたある事件によって一時期、立ち入りが制限されていた、いわくつきのダンジョンだ。


 それが最近、ようやく一般の冒険者にも開放されるようになったのだが、長らくヒトが立ち入らなかったためか、魔獣が大量に湧いており、大規模魔獣災害スタンピード防止のため、都度、ギルド直々に討伐依頼が発令されるのだった。


「──と、このエリアはこれで終わりか」


 ブルースさんが、双剣の血を拭ってから、鞘に収める。


「ああ。気配はすでにない。アンディ、仔細ないか?」


「大丈夫です」


 ジョニーさんの問いに、答える。


『なぁ、オレ腹減ってきたんだけど〜』


 と、二頭身のヌイグルミみたいなドラゴンのネロは、相変わらずふてぶてしい。

 いや、最近はさらに拍車がかかっている。


 というのも、ネロは前魔王であるドライエックさんと同じ〝神竜族〟の最も若い個体らしく、同族に日々、甘やかされているのだ。

 心なしか、少し丸くなってきた気もする。

 ネロが食べた物は、完全に魔力に変換されるから、そんなはずはないのに、何故……?


 肉体は武器に加工されてしまっているのにいいの? とも思うが、どうやら魔族にとっての死は、その魂が完全に冥界に送られたときで、魂がまだ生きているのなら、まだ死んだことにはならないらしい。

 つまり、魂がこの世にまだあるのなら、肉体はいずれ復活する場合もあるらしい。


 魔族って凄いなと、改めて思った。


「お前、朝ごはんもたっぷりと食べたじゃないか。ドライエックさんが作ってくれたやつ」


 現在、僕達はドライエックさんの好意で、彼の邸宅に居候させてもらっている。

 もちろん、ブルースさんも。

 そして、なぜかドライエックさんは、僕たちの身の回りの家事を率先して行ってくれるのだ。家事用の使用人もいるのに……


 どうやら、ネロに構いたくて仕方がないらしい。

 完全に、孫にメロメロなおじいちゃんだ。

 彼は現在、魔法・魔術研究所の所長らしいのだが、仕事は大丈夫なのだろうか?


「まあ、まあ。依頼は済んだし、少し辺りを探索したら、街に戻って昼食にしましょう! ……少し早いけど」


 とブルースさんが、提案。


『じゃあ、我慢するか〜』


 そう言いながら、ネロは僕の頭の上にしがみつく。

 昔からの定位置だし、重さもないので邪魔にはならないけど、変な帽子をかぶっているように見えるのが難点だ。

 冒険者ギルドでも、変な帽子の子と認識されている……


 そのまま、周辺を調査する。

 場所は、ダンジョンの最下層。といっても、このダンジョンは横には広いが、階層は地下四階までないので、そこまで難易度は高くはない。


 ダンジョンは深くなるほど難易度が上がるらしい。


 このダンジョンは、上質の〝水晶植物〟がまれに咲いていることもあるので、一応それを探す。


 水晶植物とは、透明感のある植物の総称で、様々な薬の原料になる。色によって効果は様々だ。

 特に赤色系のものは効果が高く、かなり高額で買い取ってもらえるそうだ。

 魔王国にしか自生していないらしい。


 いつか、シンシアにも見せたいけど、加工しないで魔王国から持ち出すと、砕けて消えてしまうらしい。

 不思議な植物だ。


『あ、アンディ、あれ!』


「え?」


 少し先の岩の上に咲いている、一輪の鮮やかな赤い花。

 水晶のように透明で、精巧なガラス細工のようだった。


「おお、あれこそは赤の水晶植物! 運が良いですねぇ」


 とブルースさん。


『オレ様がとってきてやるぜ!』


「あ、ネロ!」


 止める間もなく、ネロはその小さな翼でパタパタと飛んでいってしまった。


 そして、その赤い水晶植物をネロが手にした瞬間──


『──!?』


「──え?」


 ネロの姿が、ポンッと軽快な音と白い煙と共に、白髪褐色肌の()()になった。


 ◇


「ああ、これ高額で取引されてる薬用の水晶植物じゃなくて、そのそっくりさんだね」


「そっくりさん?」


 その後、魔王国に戻って冒険者ギルドの素材買取所に行くと、ドワーフの鑑定士の人にそう言われた。


「ええ。正しいやつは、深い赤色です。これみたいな鮮やかな赤色で斑点があるヤツは、毒薬の材料としてレアな素材ですね」


「な、なるほど……」


「マジか。ごめんな、アンディ。オレの早とちりだった」


 とブルースさんが済まなそうに言った。


「いえ、お気になさらず」


「まあ、高額取引されていることには変わりないから、買い取るけどいいかい?」


「あ、はい。でも、毒薬に、なるんですよね?」


「ええ。昔は暗殺や自決用によく使われてましたね。今はもっぱら、魔獣討伐に使われています。ヒトに使うのは当たり前ですが、どの国でも禁止されていますからね」


「なるほど」


 その後、僕たちは買取金を受け取り、ドライエックさんの邸宅へと戻ったのだけど……


「にゃははは! お兄さんたち、おっかえり〜」


「……」


 ネロは()()()姿()のままだった。


「……おかえり、二人とも」


 ジョニーさんが出迎える。

 先にネロ(幼女形態)を連れ帰ってもらったのだが、心なしか疲れているようだった。


「採取した水晶植物は、毒薬になる種類のものでした。一応レアなものだったので、高額で買い取っていただきましたが……」


 ジョニーさんに買取結果を報告。


「そうか。その金は自分のために使え」


「いえ、みなさんで依頼をこなした時に、見つけたものですし……」


「いいんだよ。依頼中に個人で見つけたものは、そいつのものだからな! 婚約者ちゃんに何か買ってあげなよ!」


「ブルースさん……ありがとうございます!」


「さて、問題なのは……」


「ええっと……」


「どうなっているんですかねぇ?」


 僕たちの視線が、銀髪褐色の女の子へと集中する。


「? な〜に?」


 女の子は、その頭の上から生えている、一対のとんがった耳をぴこぴこ揺らしながら、不思議そうにこちらを見る。

 腰のあたりでは、フサフサの尻尾が揺れている。


 その身体的特徴から、恐らく獣人族なのだろう。

 種族は、犬か狼か……

 服装は、半袖のトップスと、膝丈の半ズボンを着ている。色は上下とも白。

 病理服……いや、極東の国の……確か『甚平』という服に近い形状だ。

 魔王国でも、似たような服を見たことがある。

 昔、極東の服が魔王国で流行ったことがあるらしい。


「えーと君は誰?」


「あたち? プニャだよ〜」


「プニャ? ネロは?」


「ネロじゃないよ! ネロの代わりにあたちが出てきたの!」


「ネロの代わり?」


「そう!」


「でも、どうして?」


「それはね〜」


「それは?」


「わかんない!」


「ええ……」


 一同、脱力。


「それじゃあ、ネロはどこに行ったんだ?」


「アンディ、何か分かるか?」


「そうですね……」


 僕と邪竜ネロ──いや、魔剣ネロは現在、契約関係にある。

 なので、お互いの存在は離れていたとしても分かる……けど。


「確かに、彼女の魔力はネロそのもの、なのですが……」


『……うおおおお! やっと声が出せたーー!!』


「わ!?」


「え? ネロ!?」


 その時、僕の影の中から、ネロの声が響いた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ