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視える転生令嬢は悲劇のヒロイン(!?)なお父様を救う為に魔女様に弟子入りします!!  作者: 彩紋銅
四部

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92/128

92 王宮でお世話になります!

 ◇


「えーと……」


「シンシアちゃん、その方は?」


 朝食の席に、お父様とエリカさんが現れる。

 この宿泊施設は食堂がいくつかあって家族やチームごとに食事を取ることもできる。

 なので今は、束の間の家族の時間だ。

 ……ロイがいないのは寂しいけど。ロイはエリカさんのご実家にいるんだよね〜。


 そうして二人とも席に着くと、疑問を口にした。


「昨日保護した、ゴーレムの方です。名前はパーガトリー君……」


「ああ、昨日の……」


『やけにシンシアに馴れ馴れしくないか?』


 と、オレオール。


 当のパーガトリー君は、周囲などまったく気にせず、ニコニコしながらずっと私を見ている。

 食事を取る機能はあるらしいけど、朝食を食べる気はないらしい。

 紅茶だけ飲んでいる。


「詳しいことは、朝食後にキャロルさんを交えて話し合う予定なので……」


「あ、ごめんなさい、シンシアちゃん。私はこの後、アンダースノウ侯爵邸(実家)に行って、ロイの様子を見に行かないといけなくて……」


「だったら、僕だけで大丈夫だから、エリカはロイに会いに行ってあげてよ。僕たちの分まで可愛がってきて欲しい。後で報告するから」


「そうですよ。お願いしますね!」


 お父様に私も同意する。


「フフ、分かったわ。沢山、ロイを可愛がってくる」


 その後、朝食が終わると、エリカさんはロイの元へと向かった。


 ◇


『え? シンシア、ぼくというものがありながら、そいつと契約してるの?』


 白黒ハチワレ猫の姿の闇の精霊、オレオールが不満そうに言った。


「いや、好きで契約したんじゃないんだって! ほとんど騙し討ちのような感じで……」


『ふ〜ん? ぼくとはずっと仮契約なのに〜?』


 うう、オレオールのジト目が突き刺さる〜。でも猫のジト目って可愛い〜。


「そこは属性的な相性があるから……」


 私の適性魔法属性は光なので、闇の精霊のオレオールと完全に契約してしまうと、光属性魔法が使えなくなる可能性があるんだよね……


 アンディ君も元々は光属性魔法に適性があったみたいだけど、ネロと契約しているせいで闇属性魔法しか使えなくなったらしいし。

 ちなみに、闇属性魔法にも適性があれば、こういったことにはならないそうだ。


「それで、パーガトリー君は一体何者なのですか?」


 と、お父様が話の軌道を戻した。


「ふむ。本人から聞いたのですが、あの遺跡の中にあった巨大ゴーレムの頭脳体のようですね」


「頭脳体?」


「その名の通り、巨大ゴーレムの頭脳に当たる部分ですね。他者とコミュニケーションを円滑に取るために、自立している頭脳体を設定していたみたいです。それがまさか、生体ゴーレムとは……」


 キャロルさんが説明してくれる。


「な、なるほど……」


「目覚めた直後は、バックアップデータの復元がうまくいかず、混乱してしまったようです。本当に、申し訳ないことをした……」


 と、パーガトリー君が謝罪する。


「い、いや、怪我人もいなかったし、大丈夫です……」


 と、お父様。


「それで、どうして私と契約したことになってるんです? 言葉もいつの間にか現代に適応しているし……」


「それは、自分の声が聞こえたのが主人殿だったからです。言語は魔力を通じて、シンシアからインストールしました!」


「ちょ、余計な情報まで、インストールしていないでしょうね!?」


 プライベートの侵害はやめてね!


「流石にそこまではできないし、しない。自分にもプライベートは理解できる」


「それならいいけど……」


「とりあえず、パーガトリー君には本体、頭脳体両方の調査をすることの許可はとっています。

 本体はあの場所のままでもいい……というか、あそこにしか置けませんが。パーガトリー君には王都で本格的な調査をしてもらおうと思っています。

 詳しくはゴーレム専門の、ジャイルズ様に引き継ぎますね」


 と、キャロルさん。


「いいの?」


「ああ。その方が現在を生きる人たちの不安も、軽減されるだろう」


「そうね」


 コイツ、結構いい奴だな?


「ただ条件があり、シンシア嬢と一緒でないと嫌だ、とのことで……」


「あ、じゃあ私も行った方がいいですね」


「よろしいですか?」


「私は構いませんけど、大丈夫ですか? お父様」


「ん〜、こちらは僕だけでも、なんとかなるとは思うし……大丈夫かな? 必要になったら呼ぶね」


「分かりました。それじゃあ……」


 その時、研究室の外が騒がしくなった。


「失礼するぞ、キャロル! おお、君が生体ゴーレム君か!」


 やってきたのはボールドウィン様。チランジア前公爵様だ。


「父上、いきなり失礼ですよ!」


 その子息のジャイルズ・ソリダゴ伯爵様も一緒だ。


「いやいや、生体ゴーレムが本当に存在しているなんて知っては、いてもたってもいられなくてな! 

 おっと失礼。私はボールドウィン・チランジア。ソリダゴ商会の会長件オーナーだ」


「私はジャイルズ・ソリダゴ。ソリダゴ商会の副会長兼研究者で、ボールドウィンの息子ですね」


「よろしく。パーガトリーだ」


「パーガトリー君は、巨大ゴーレムの頭脳体でして……」


 キャロルさんが、ボールドウィン様たちにもパーガトリー君について説明する。


「ふむ、キャロル君、パーガトリー君はこれからシンシア嬢と共に、王都に行くのか」


「はい。詳しく体を調べたいので……」


「そうなると、付いていくか、残るか迷うな!」


「父上は、巨大ゴーレムの方の調査を、見学した方がいいんじゃないですか? そちらの方が、お好みでしょう?」


「そうだな! だが、何があるか分からない。シンシア嬢とパーガトリー君は、王宮でしばらくは過ごした方がいいだろう」


「王宮で、ですか?」


 それって、王都の王族が住んでる、あの王宮?


「確かに、僕もエリカもしばらくは王都に帰れないし、魔女様もレオパルドプランタ伯爵領とこちらを行き来していて、余裕がありませんね……」


「ええ。私も王宮に申請を出そうと思っていました。その方が確実ですね」


 と、キャロルさん。


 ええ〜!?


「では、王宮の方には私から言っておこう。ジャイルズはどうする?」


「私もシンシア嬢と、一緒に行きます。その方が、色々スムーズでしょう。

 私は生体ゴーレムの方が気になりますしね! 父上は巨大ゴーレムの方をお願いします」


 というわけで、私とパーガトリー君、ジャイルズ様が一緒に王都に戻ることになった。


 キャロルさんは、ジャイルズ様が同行するならと、残ることにしたようだ。ジャイルズ様に、引き継ぎをしていた。


 オレオールは精霊とのやり取りのときのために、こちらに残るのだけど、かなり不満そうだった。


 すまぬ……


 ◇


「王宮までの護衛は、私が勤めますね!」


 魔法師のキーリーさんが同行してくれるらしい。


「遺跡の方は大丈夫なんですか?」


「チランジア前公爵とアゲートの魔女様の協力で、護衛用ゴーレムが配属されましたので、大丈夫です。騎士達も増員するそうですよ」


 師匠も、向こうで合流したらしい。


 冒険者のマヌエルさんとジェーンさんは、すでに昨日のうちに王都に帰ったそうだ。

 どうやら、売れっ子冒険者らしく、他の依頼が入っているらしい。


 そうして、転移ゲートを利用して馬車で王都に戻ってきた。

 私は魔女工房には戻らず、直接王宮へと向かった。


 ◇


「チランジア前公爵様から、話は伺っております。こちらへどうぞ」


 そう言って、いかにも大臣っぽい男性が私たちを出迎える。

 イケメンなのに、目の下のクマがスゴイ!


 キーリーさんは私の専属護衛になるために、手続きをしに行った。


「兄上、お疲れ様です!」


「ああ、ジャイルズ。お前もいたのか……っと、申し遅れました。ダライアス・チランジアと申します。ジャイルズの兄です」


 ということは、現チランジア侯爵で宰相じゃないですか!


「あ、その、シンシア・カプセラです」


 私は急いで、カーテシーを捧げる。


「畏まらないで結構です。どうせ、あなたも父上の無茶振りに振り回されているのでしょう? お気になさらず。ではこちらに」


 私とパーガトリー君が案内されたのは、客用の一室だった。

 お風呂とトイレ、洗面台は備え付け。

 でも、どれもかしこも、めちゃくちゃ上等なものだ!


「パーガトリー様は、隣の部屋をご用意していますが……」


「いらない。シンシアと同じ部屋がいい」


「……一応部屋はご用意していますので、必要でしたらご利用ください。

 専用の侍女も付けますので、何かあれば彼女たちに頼んでください。それでは!」


 そう言って、ダライアス様はとても()()()()()で、颯爽と去っていった。


 ……忙しかったんだね〜。


「では、私は魔法技術部のゴーレム科で打ち合わせをしますので、お二人は今日はこのまま、お休みください」


 ジャイルズ様も去っていった。

 魔法技術部は、この国で最高峰の魔法技術を研究している場所だ。


 その後、私専属になった侍女さんによって、王宮での生活の説明がされる。

 自室なら、魔動画通信マギ・ヴィジョンなどで、家族や友人と連絡をとっても大丈夫。

 一応、夜二十二時が消灯時間となる。

 何かあれば、ハンドベル型の呼び鈴型の内線通信(インナー・リンク)を鳴らせば侍女の方が来てくれる。

 基本的に、食事は自室で取るらしい。

 などなど……


 そうして、この日は荷物の整理だけで、終わった。

 といっても、着替えを亜空間収納鞄ディメンション・バッグから取り出すだけなんだけど。

 パーガトリー君の方は、王宮の方で着替えを用意してもらった。

 しかし、ちゃんと合うサイズが丁度クリーニング中で無かったらしく、少し丈が短いものになってしまったらしい。

 まあ、顔の良さで誤魔化せるんじゃないか?


 あと、王宮周囲もある程度の範囲なら、護衛をつけて自由に行き来できる。

 どの範囲かといえば、王宮内、図書館、博物館くらいだ。その他は貴族院とかの行政機関だけど、子供が行っても楽しめないので却下。


 明日からは、パーガトリー君は体の検査を受けるわけだけど、私はやる事がないので、そのあたりで時間を潰すしかないかな〜?

 暇なら、魔法の修行でもしたいけど……王宮でできるかな?

 あとで相談してみよう。


 っと、そうだ。

 今日の出来事を、アンディ君にも報告しよう!


 私は魔動画通信(マギ・ヴィジョン)で、アンディ君に連絡をしてみた。







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