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視える転生令嬢は悲劇のヒロイン(!?)なお父様を救う為に魔女様に弟子入りします!!  作者: 彩紋銅
四部

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90 巨大な大発見!?

 ◇


 準備ができたので、私たち一行は、カプセラ伯爵領の山の内部から見つかった、遺跡の中へ足を踏み入れた。

 調査済みの部屋には、魔獣除けの効果がある灯りが灯されている。

 少し緑がかった魔導ランプの光は不思議な感じだ。


 遺跡の中は意外にも広く、天井が高い。

 地下にあるので、ジメジメしているのかと思ったけど、意外とそうでもなかった。

 土というか、埃っぽい匂いはするけど不快というほどではない。


 考古学者のキャロルさんが部屋を一つ一つ案内してくれるが、どの部屋も家具などは何もなく、精霊らしきものもいない。

 たまに、小さな虫がカサカサしているけど、まあそのくらい。

 というか、一部屋一部屋が広い。


 本当に、ほぼ調査は済んでいるらしい。


「ここは恐らく武器庫、こちらは武器以外の倉庫ですね」


「何もないのに、よく分かりますね? というかここは、軍事施設なのですか?」


 と、ジャイルズ様。


「ええ、そうです。各部屋についてですが、部屋の広さと現在の軍事施設と照らし合わせて、推測しています。

 あ、こちらは訓練場ですね!」


 奥に進むと、小型の魔獣が潜んでいた部屋もある。

 魔獣除けのランプが、間に合わなかった部屋だ。


 その魔獣は、一言で言うと黒い毛玉のように見えた。


 四十センチほどの黒い毛玉に、トビネズミのような後ろ足と尻尾が生えた奇妙な魔獣だ。

 頭のない一頭身だが、毛玉の奥に緑に微かに輝く二つの目が見える。

 なんというか、可愛らしさよりもぞわぞわした不快感や恐怖心が勝つのは、魔獣だからだろうか?


 ネズミが魔素の影響で変異した魔獣らしく、痺れる系の毒を持っているので討伐対象らしい。


 そいつらは護衛の皆さんが倒してくれた。


 私やお父様はその他の皆さんを守るために、一応、光属性魔法で防御壁を展開していた。


 次の部屋に進む。


「この遺跡って、どれくらい前のものなのですか?」


「恐らく、神代のものでしょう」


 私の問いに、キャロルさんが答えてくれる。


「え? そんな昔なのですか?」


 神様のいた時代にも、そういうものはあったんだな〜。

 そういえば、昔読んだ神話の本には、神様以外にも様々な種族がいると書いてあった気がする。

 そのほとんどは、悪神によって滅ぼされたんだっけ?

 ちょっと、うろ覚えだけど……


「ええ。その昔、この辺りは神々と()()の大規模な戦があったという伝説があります。それを証明する手掛かりになるかもしれません。

 ですからこれは、歴史的発見なのですよ!」


「なるほど〜」


 私とキャロルさんの会話を、皆微笑ましげに聞いている。


 瘴魔は、魔物が進化(?)したものだっけ?

 人の姿をとり、世界を滅ぼすために暗躍しているとか。


 でも、それに水を刺す男が一人。


「おい、まだ歩くのか? 俺は疲れたんだが?」


 カンタロープ侯爵だ。

 なんというか、

 空気の読めない人だな〜。

 いや、気持ちは分からなくはないが、もう少し心に余裕を持つべきだと思うよ?


 というか、まだ歩き始めて十分くらいしか経っていないんだが……


「ええ、もうすぐです。行きましょう」


 キャロルさんは特に気にした風でもなく、一同はさらに奥へと進んだ。


 ◇


 そうして数十分ほど歩くと、目的の部屋の前に到着した。


 その間も、カンタロープ侯爵がうるさかったけど、みんな特に気にしていなかった。彼の護衛のリアムさんは、そんな彼をずっと宥めていた。


 かなり大きな扉で、物々しい雰囲気だ。

 扉のそばに、画面と文字を打ち込むためのボタンが設置されている。


 ……なんか、ファンタジー世界なのにSFっぽい気配があるな。今更だけど。

 いや、国境を囲んでいる結界発生装置も、こんな感じだったか。


「ショーン様、シンシア嬢。分析で扉を開けられますか?」


「やってみます」


 キャロルさんの言葉に、お父様が応える。

 お父様も、私と同じ分析の特異魔法の持ち主だ。

 私の分析とは少し得意な部分が違い、そのものの状態や的確な組み合わせが分かったりするらしい。


 お父様は分析の特異魔法で、扉の状態を視る。


「……へえ、凄いですね。この扉、魔力がまだ生きている」


「え?」


「ただ、かなりの年月使われていないから、()()()()()()()が必要ですね。どうしますか?」


 お父様の言葉に、キャロルさんは「分かりました、お願いします」と言った。


 そしてみんなの方を向いて、言葉を続ける。


「この先は、まだ調査がされていません。魔力調査で危険な魔獣などはいないことは分かっていますが、警戒してください」


 その言葉に、護衛組と冒険者組も警戒心を高める。


 そして、お父様が自分の魔力を流して、扉の魔力を再起動させた。

 すると、扉に青白い光が走り、そのそばにあった画面(パネル)に視たことのない文字を映し出す。


「古代文字ですね。……パスワードが必要のようですが……入力しても?」


「分かるのですか?」


「文字の意味までは分かりませんが、必要な文字の形は分かるので……」


「お願いします!」


 お父様は、パネルに触れて、パスワードを入力していく。

 そういうことも分かるんだ、お父様。

 私にはちょっと無理かも?

 いや頑張ればできる? いや、面倒だからやらないかな。


 そして、入力が終わると、扉に一際強く青白い光の線が走る。

 魔力が流れたようだ。


「では、行きますよ──」


 扉が開く。


 といっても、内部は未調査なので薄暗い。

 そして、他の部屋よりも肌寒かった。


「魔獣の気配はないですね」


『精霊もいないな』


 冒険者のマヌエルさんとオレオールが言った。


「灯をつけてもいいですか?」


「お願いします」


 魔法師のキーリーさんがキャロルさんに許可をもらい、光属性魔法で辺りを照らす。

 光属性魔法の灯りなら、引火することもないね。


 そして──


「──これはっ!?」


「な──!?」


 目の前に、巨大なゴーレムがいた……


 ◇


「これは……」


「ゴーレム、ですね。巨大な……」


 エドガーさんとお父様が、困惑している。

 お父様は、分析の特異魔法で()()()()らしい。


 私の特異魔法()にも、目の前の巨大な人型がゴーレムだと表示されている。


「ゴーレム、ですか……」


「これが……」


 分析によると、大きさは約二十メートル(メトラ)くらい。

 前世の巨大ロボットアニメ宜しく、直立状態で格納されている。


 そんな巨大ロボ……いや、ゴーレムが収まっているので、この部屋もかなり広くて天井が高い。


 学者さん二人とジャイルズ様は大発見に湧いており、お父様と共に、巨大ゴーレムの近くにある装置に向かった。

 分析によると魔動装置は、巨大ゴーレムの調整用の機器らしい。

 他の方々は驚きつつも周囲を警戒している。


「ふむ、ここは格納庫のようですね。神話の中に巨大ゴーレムを使って戦ったという、記述もありますし……」


 そんな伝説があるんだ。

 神話系の話は、五歳の時に少し読んだきりだな〜。


 ……あれ? カンタロープ侯爵がなんか静かだけど、いない? どこに行った?


『──』


「え?」


 その時、何かが聞こえた気がして、私は巨大ゴーレムを見た。

 だが、大人たちが騒いでいる以外の声は聞こえない。


「?」


 気になった私は、特異魔法でさらに周囲を見渡し、最後に巨大ゴーレムに目を止めた。


 ん? 内部になにか──


『主──魔力を──』


「え?」


『魔力を……』


「……魔力?」


 ……なんだ? 魔力を? 流せばいいのだろうか?


 その時の私は、何故か疑問にも思わず、巨大ゴーレムにつながる魔力配線を見つけると、そこから自分の魔力を流した。

 ついでに、巨大ゴーレムに修理箇所があったので、私のもう一つの特異魔法〝修復〟で直せる範囲を修理してみる。


 すると、その巨大ゴーレムの目に光が灯り──起動した。


 ◇


「なっ!? これは……」


「シンシア? 何かしたのかい?」


「──え? あれ? えーと?」


 お父様に言われて、自分のしたことに気づく。


「えーと、その、声? が聞こえて……魔力を欲しがっていたので、私の魔力を巨大ゴーレムに流したのです……何故かそうしないといけないような気がして……」


「起動しているね。シンシア、何かするときは事前に報告しなさい」


 お父様に叱られてしまう。

 でも、正直、いまだに美少女感が抜けていないので、あんまり怖くはないのである。筋トレのおかげで、昔よりムキムキにはなっているけど。


「申し訳ありません〜」


「まあまあ。結果的には良い感じですし!」


 と、キャロル様が宥める。


「おお〜、素晴らしい。このゴーレムは古代の兵器だったみたいだね。見た目通りだけど」


 ゴーレムを製作している商会のジャイルズ様は、大興奮だ。


 確かに巨大なゴーレムは、赤色をメインカラーにクリーム色の差し色が入った甲冑を纏っている騎士のように見える。


『……あ、ああああ!!』


「え?」


「誰の声!?」


 我々の前に、魔法陣が出現し、そこから何者かが現れる。


 長い金髪の……男性?


 首から下は、前世のロボットアニメに出てきそうな、黒い全身スーツを着ている。


「6前qaf誰q@? 何t@起gwe.?」


「え?」


「答5\! 侵入者w@3.uof@、排除r.!!」


 分析によると、古代の言葉らしい。

 えーと、意味は……ダメだ。私に古代語の知識がないから、解析できない!


 でもなんか、敵意は伝わる!


「皆さん、我々の後ろに!」


「防御壁を張ります!」


 護衛の方々が武器を構えて、臨戦態勢に入る。


 お父様が光属性魔法で、防御壁を張る。


『あいつ、あの大きなゴーレムの一部だな』


 と、オレオール。


「え?」


 全身スーツの男性の周囲に、小さな魔法陣が展開され、そこから小型犬サイズのゴーレムが現れる。

 その姿は足がやたら長い蜘蛛のような造形で、動きも蜘蛛そのものだ。


 その蜘蛛型ゴーレムは素早い動きで、私たちに向かってきた──







単位について。

グラム(g)→グラマ(g)

メートル(m)→メトラ(m)

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