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視える転生令嬢は悲劇のヒロイン(!?)なお父様を救う為に魔女様に弟子入りします!!  作者: 彩紋銅
四部

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89 領地・遺跡発見!②

 ◇◆◇


 当日。


「忘れ物はない?」


「大丈夫です!」


「しんしぇあ!」


 お父様とロイが魔女工房に迎えに来たので、馬車に乗り込みカプセラ伯爵領へと出発。

 ロイは、お気に入りのドラゴンのぬいぐるみを、持っていくらしい。

 ……ちょっと、ネロに似てるかも?


 ちなみに、エリカさんは先に現地入りしている。

 師匠は、レオパルドプランタ伯爵領での打ち合わせで、到着が遅れるそうだ。


 せっかくなので、お小遣いとアルバイトで貯めたお金で買った、亜空間収納鞄ディメンション・バッグも持ってきた! 略してディメバッグというらしい。

 長く使いたいから、ハイモデルにしたので、お値段は少々大変なことになっているけど、数年おやつを我慢すれば良いのだ!

 中には、着替えや回復薬などが入っている。中に入れている間は劣化しないらしい。


 そういえば、あと数年したら師匠に借金を返済しなければいけないのだ……

 うん、そういうのは数年後の私に任せよう!


 さて、現地の拠点まで、王都から転移ゲートを利用して、大体二十分ほど。

 拠点には仮設の建物が設営されており、会議室や休憩室などがあるとか。

 宿泊施設は、隣の領地のアンダースノウ侯爵領の方に用意されているらしい。


「もうすぐ着くよ」


「わ〜」


「楽しみ〜」


 そうして、エリカさんと合流。


「お義母様!」


「おか〜さま!」


「大丈夫かい? エリカ」


「三人とも、来てくれてありがとう。私は大丈夫よ、ショーン」


 と言っているが、エリカさんは少し疲れた様子だった。


「お、揃ったね」


「ロイ君はこっちですよ」


「え〜?」


 拠点には、エリカさんのご両親のホレイシオお祖父様とジャネットお婆様もいた。ロイを迎えに来たのだ。

 血は繋がっていないが、私の祖父母でもある。


 ホレイシオお祖父様は、黒髪赤眼のナイスミドル。

 ジャネットお祖母様は、銀髪と黄水晶(シトリン)の瞳のモデル体型の美魔女。靴のヒール込みでお祖父様よりも背が高い。

 二人とも今年で五十歳くらいのはずだけど、とても若く見る。


「シンシア君は、毎日修理をしてるのかね?」


「あ、はい。魔女工房はしばらく休業するので、一昨日までずっと修理していました」


 ホレイシオお祖父様は、アンダースノウ商会の副会長でもある。

 そして、将来は私をそこへ就職させたいらしい。

 アンダースノウ商会は、商品開発はこの国のシェア一位、二位を争う魔動具の商会だけど、修理部門の重鎮が高齢なので優秀な後継者が欲しいらしい。


 よし、借金返済の当てにしよう!


「ほう、すでに一人で修理をこなせるんだねぇ」


「いえ、師匠……アゲートの魔女様が、私でも直せる物を残してくれていたのです」


 でも最近は、魔法具も直せるようになってきた。


 魔動具は前世世界の家電製品みたいな感じで、魔法具は魔法を使うために使われる専用道具みたいな感じ。

 魔法具の方が、組み込まれている術式が複雑なので、修理も難しいのだ。


「あなた、そろそろ行きましょう。シンシアちゃんもまた、うちに遊びにきてちょうだいね」


「おお、そうだな。ショーン君、エリカをよろしくな」


「はい、もちろんです!」


「え〜? ぼくもここにいたい〜」


「領地でアシュトンが待っていますよ?」


「え? あしゅとんが!?」


 アシュトン君は、エリカさんのお兄様の子供で、ロイより一つ上の五歳。ロイと仲がいい従兄弟君なのだ。


 そうして、ロイ達を見送ると、私たちも本題に入る。

 会議室のような場所に向かうと、すでに今回の調査に選ばれたメンバーが揃っていた。


『あ、シンシア!』


「オレオール! 元気だった?」


 黒猫……いや、今では黒白のハチワレ猫姿のオレオールが飛びついてきた。

 私と()()()をしている闇の精霊だ。


「オレオール君のおかげで、山……というか、遺跡内に住んでいた精霊たちともスムーズに話が進んでね。助かったよ!」


 と、学者風の男性が話しかけてきた。


「え、えーと?」


「おっと、申し遅れました。私は、エドガー・フクシアと申します。精霊についての研究をしている者です」


「シンシア・カプセラです。よろしくお願いします」


 オレオールを抱っこしているので、カーテシーはできなかったが、頭を下げる。


「おや、ちゃんとご挨拶ができるとは、素晴らしいご令嬢だ」


 そう言って、エドガーさんはニコニコと笑っていた。


「まずは、今回内部調査に参加するメンバーを紹介しよう」


 と、エリカさん。


 まずは、先ほどご紹介いただいたエドガー・フクシアさん。

 三十代後半くらいのイケオジ様。精霊とかそれにまつわる魔法・魔術の研究をしているらしい。


 次に、キャロル・ジニアさん。

 エドガーさんよりも年上っぽい。考古学者らしく、北の山脈周辺に古代の遺跡があると当たりをつけていた人らしい。


 騎士のヒューゴさんとルーカスさん。

 国から派遣された護衛。ヒューゴさんの方が先輩。


 冒険者のマヌエルさんとジェーンさん。

 今回の遺跡は地下に伸びるダンジョンに近い構造らしく、ダンジョン探索に慣れたこの二人にも護衛とサポートを頼んだそうだ。

 マヌエルさんは男性で、ジェーンさんは女性だ。

 恋人同士らしい。


 魔法師のキーリーさん。

 魔法師の女性。魔法師は国所属の魔法使いのこと。

 騎士団から護衛が派遣されたので、魔法師団からもサポート要員としてキーリーさんが派遣されたらしい。


 あとは、出資者の方々。


「久しぶりだな、シンシア嬢! 大きくなったな!!」


「ボールドウィン様、お久しぶりです!」


 ボールドウィン・チランジア前公爵。

 七年前、私とお父様が、ルビア伯爵家から離縁するために協力してくださった方の一人だ。

 あれからも、ちょくちょくお世話になっている。


「あれから、七年か。月日が経つのは早いな……」


「しんみりしているところ悪いんですがね、僕たちの紹介もお願いしますよ、父上」


 そう言って、黒縁メガネの頭の良さそうなイケメンが割って入る。


「おお、そうだった。紹介しよう。コイツはジャイルズ・ソリダゴ。うちの次男だ。ソリダゴ商会の副会長もしている。」


「といっても、ソリダゴ伯爵の爵位をもらったんで、家名は違いますけどね。

 ちなみに、ソリダゴ商会の会長兼オーナーは父です」


「よろしくお願いします」


 ん? ということは、元チランジア公爵家の次男ということね?


 ……あ、私の最悪な実母、ヘザーの元婚約者じゃん!


「え、えーと、その節はどうも……」


「ん? どの節?」


「ああ、シンシアはヘザー・ルビア女伯爵とショーン殿の娘だ。だから気まずいのだろう」


 ちょ、ボールドウィン様! もう少しオブラートに包んだ感じで言ってください!!


 お父様を見ると、少し気まずそうだ。


「ああ。別に気にしていませんよ。昔のことですし。今は幸せですからね。

 むしろ、今考えると彼女とは結婚しなくて良かったと……

 あ、いや、ショーン殿の前で言うことではないですね。申し訳ない!」


「い、いえ。心当たりありますから……」


 そう言って、ジャイルズ様とお父様は恐縮し合っていた。

 同じ女性に迷惑をかけられた者同士で、妙なシンパシーでも感じているのかもしれない。

 まあ、険悪にならなくて良かった。


「おい、俺たちの紹介はまだなのか?」


 そこへ、偉そうな感じの男性の声が飛んできた。


 見れば、黒い高そうな貴族の礼服を着た男が立っていた。

 側には、護衛らしき男性も。


 護衛の人はまだしも、地下の遺跡に入るのにその服装(上等な服)で大丈夫?

 私だって、トラウザーズの動きやすく、汚れてもいい服を着てるのに。

 あとで、汚れた! クリーニング代を払え! とか言ってこない?

 ちなみに、クリーニング屋はこの国にもあるよ。


「ジョザイア様〜、相手は公爵家の方もいますから〜」


「ふん、俺を待たせるのが悪い」


「失礼しました。では、貴殿のことを教えてくれるだろうか?」


 ボールドウィン様が、畏まった様子で偉そうな男性に自己紹介を促す。

 ちなみに、男性に敬意を表したとかではなく、貴族特有の含みのある言い方ね。もちろん、批判的な意味合いのヤツ。


 そういうのが察することができれば、謝罪するなりするんだけど……


「まあ、いいだろう。俺はジョザイア・カンタロープ。

 カプセラ領の調査に多額の出資をしているので、今回の調査にも同行する!」


 カンタロープ侯爵は、アンダースノウ商会の同業他社の商会、〝ククミス〟の会長だ。

 元は医療用具を作っていたので技術力は悪くないけど、事業を魔動具制作に切り替えた上、パクリ商品も多く出していて、評判が微妙。

 それが現当主になってからだと噂で聞いていたけど……

 なんだか、理由が分かった気がした。


 でも、同業他社の商会って、ライバル会社でしょ?

 一緒に調査していいのだろうか?


 ちらりとエリカさんを見ると、少し困ったような顔をして説明してくれた。


「ジョザイア殿は遺跡の内部調査に参加できる、抽選に当選しましてね。それで今回の調査に参加となったのです。

 おめでとうございます」


 なるほど。当選してしまったのなら仕方がない。


 なお、チランジア公爵家のお二人は出資だけでなく様々な技術協力もしているので、特別枠だ。


「私はリアムと申します。ジョザイア様に直接雇われた護衛です〜」


 と、冒険者風の装いの若い男性が言う。


 今回はこの人数で遺跡の内部に向かうとのこと。


 もちろん私とお父様も。

 エリカさんは現場の指揮を取るので拠点に残るそうだ。

 ボールドウィン様はこの後も打ち合わせがあるので、見送りだけだそう。


「では、お互いの紹介も終わったところで、今後の予定を説明します。キャロル様、お願いします」


「はい。では──」


 考古学者のキャロルさんが、説明を始める。


 すでに内部はあらかた調べてあるので、危険な魔獣などはいないが、小型の魔獣は少し残っているかも。

 瘴気が発生する様子は今の所なく、魔物もいない。精霊とは一応話はついている。


 今回は各部屋の最調査と、まだ開けられていない最奥の部屋の調査をするらしい。

 といっても、最後の部屋以外には、特に何も無かったらしいけど。


「危険はないとは思われますが、絶対とは言えません。決して単独行動や無茶な行為はしないようにお願いします」


『精霊たちも、全員が完全に納得しているわけじゃないからな』


 オレオールも忠告する。


「どうして、最奥の部屋はまだ調査がされていないのですか?」


 と、お父様が質問。


「その部屋だけ、鍵がかけられていました。解除できないことはないのですが、念の為に分析の特異魔法を持つお二人に同行してもらってから、ということになりました」


「なるほど」


「では、一時間後に出発しますから、それまでに準備をお願いします。遺跡内にはトイレがありませんので、携帯トイレの準備もお忘れなく」


 そうして、各々準備をして一時間後、エリカさんに見送られながら、私たちは内部へと向かった。







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