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視える転生令嬢は悲劇のヒロイン(!?)なお父様を救う為に魔女様に弟子入りします!!  作者: 彩紋銅
四部

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104/116

104 巨大ゴーレム搭乗!?

 ◆


「シンシアちゃん、お久しぶりねぇ」


 カプセラ伯爵領に着くと、師匠がいた。

 私の魔法の師匠はアゲートの魔女と呼ばれている存在で、長く生きている。

 最近は、お父様の実家であるレオパルドプランタ伯爵領の都市開発で忙しくしており、ようやく落ち着いてきた頃に隣の領地のカプセラ伯爵領で遺跡が見つかり、また忙しくなったのだった。


 だから師匠とは、実に一ヶ月ぶりの再会だったりする。

 その間、師匠のお店である修理屋魔女工房は私と、師匠が使役しているお手伝いゴーレムのピクト君が切り盛りしていた。

 流石に修理が難しいものは、師匠が一時的に帰ってきて直していたけど。


「お久しぶりです、師匠!」


「それで〜、そっちが例の?」


 師匠がパーガトリー君を見る。


 パーガトリー君は、ぺこりと頭を下げた。


「パーガトリー君。遺跡で見つかった巨大ゴーレムの頭脳体、らしいです」


「そうなのね〜。ワタシはアゲートの魔女よろしくね」


「魔女殿ですか。()()()()()()()()。よろしくお願いします」


「師匠は、パーガトリー君や、巨大ゴーレムについて知っているのですか?」


「ん〜、生憎詳しくは知らないね〜。巨大ゴーレムが活動していた時代には、ワタシは一回目の生を終えていたから〜。

 でも、何かあるとは思っていたけど、本当に遺跡が眠っているとは思わなかったわ〜」


「なるほど〜」


 魔女は、死んでも前世の記憶と魔力を持ち越して転生するらしい。


 その後、私たちは仮設拠点に向かった。


 ◇


「やあ、シンシア嬢にパーガトリー君!」


 チランジア前公爵である、ボールドウィン様が出迎えてくれる。


 ジャイルズ様は、パーガトリー君の血液窃盗事件の対応が忙しくて、結局一緒には来られなかった。


「ボールドウィン様、こんにちは」


「こんにちは」


「早速だが、あの巨大ゴーレムに名前をつけた」


「名前、ですか?」


「そう。いつまでも巨大ゴーレムと名乗るのは味気ないからな」


「確かに。それでその名前とは?」


「フフフ。その名とは──『ヴァルガルド』だ!」


「ヴァルガルド!?」


 な、なんか、ロボットアニメに出てきそうな名前だ!


「古代語で『強い砦』という意味になる。どうだ? ぴったりだろう!」


「ぴったりです! 格好いいです!!」


「そうか、そうか。シンシア嬢も気に入ったか。パーガトリー君はどうだい? 名前をつけてもよかったかな?」


「問題ないです。主殿も気に入っているようだから」


「それは良かった。さあ、エリカ女史とショーン殿がお待ちだ」


 会議室に行くと、お父様とエリカさんがいた。

 他にも研究者の方々も。


「シンシアちゃん、パーガトリー君のこと、任せっきりにしてごめなさいね」


「大丈夫です、お母様!」


「それで、パーガトリー君は……」


 お父様がパーガトリー君を見る。


「はい。昨日連絡した通り、不当に血液を抜かれたため、魔力が減ってしまったそうです」


「本来なら、主殿からの魔力供給で補えるのだが、まだ子供だ。

 何か影響があってはいけないので、本体に接続して供給することにした」


「な、なるほど……」


「しかし、液体魔力か……」


 ボールドウィン様が、ジャイルズ様の作った資料を読んでいる。


「現代の……少なくとも我が国と近隣諸国では知られていないものですね。魔王国に確認すれば、何か資料をくれるかもしれませんが」


 と、エリカさん。


「そうだな……っと、マグノリア公子は今、魔王国に留学していたか」


 マグノリア公子は、アンディ君のことだ。


「だったら、ドライエックに連絡してみましょ〜。

 それじゃあ、パーガトリー君を……えー、ヴァルガルドだったかしら? それに接続する前に、この遺跡について分かったことをシンシアちゃんにも教えるわね」


 師匠によると、この遺跡は、隣のレオパルドプランタ伯爵領までつながっており、なんとあのまん丸湖は巨大ゴーレムの発進口だったらしい。


「だからあんなに、人工的なまん丸い形状をしていたのですね」


「そのようだ。しかし、発進口からヴァルガルドを出撃させると、レオパルドプランタ伯爵領に影響が出る恐れがあるから、使用はできないだろうな」


「そうですね」


 各自、連絡事項を伝え終え、遺跡内の格納庫へと向かった。

 メンバーは以前の探査チームとほぼ同じ。

 エリカさんと師匠は、打ち合わせで後から来るらしい。


 ◇


 数日ぶりに見た巨大ゴーレム……いや、ヴァルガルドは、整備されていたらしく、前より綺麗になっていた。


「では、パーガトリー君。接続してくれ」


「はい。では、主殿!」


 パーガトリー君が私の手を取る。


「……えーと? パーガトリー君?」


「行きましょう!」


「え?」


 そして私とパーガトリー君は、青い光に包まれた。


 ◇


「──っ」


『主殿、目を開けてください』


「パーガトリー君? 一体……え?」


 目を開けると、私は不思議な空間にいた。


 丸い……というか、半球の内側にいるような感じ?

 狭さはないけど、大人が一人か二人ほど入れる広さ。

 足元と天井には淡く輝く魔法陣が描かれていて、視界に問題はない明るさもある。


『ここは本体の内部──操縦席(コックピット)です』


「コックピット!?」


 ますますロボアニメの世界じゃん! こんなの原作には、まったくないからね!? 

 原作は女性向け、ちょっぴりハードな恋愛漫画だから!!


「人、乗れるんだ……」


『パーガトリーシリーズは、有人で操作する機体ですからね』


「な、なるほど……。でも、椅子も操縦桿もないけど?」


『主殿は体力には自信がありますか?』


「体力?」


『具体的には、個人的に戦闘力があるか、ということなのですが……』


「いや、ないよ!? 普通の貴族令嬢よりは体力に自信はあるけど、戦闘は無理。魔法を使えば、多少の足止めとかはできるけど……」


『では、操縦席は座った状態の方がいいですね。馬に乗ったことはありますか?』


「馬? まあ、一応……」


 アンダースノウ侯爵領にいる、めちゃくちゃ気性の穏やかな馬ならなんとか一人で乗れる。背中でどんなに騒いでもまったく動じないすごい奴だ。他は無理。


「でしたら、このように」


 操縦席内に台のようなものが形成される。

 質感からして、おそらく座る場所だ。ただ形状は馬の鞍のように見える。

 いや、違うな。

 これは、前世にあったバイクシートの方が似ているかも? 

 もっと言うと、ゲームセンターにあったバイクゲームの筐体の方が近い? 


「こ、これは……」


『操縦席です。座ってください。馬の鞍に跨るような感じです

 』


「う、うん……」


 まあ、今回もトラウザーズ(ズボン)姿だから、問題はないけど。


 言われた通りに操縦席に跨ると、今度は操作卓(コンソール)が形成された。

 バイクのハンドルに当たる部分には、球体のようなものが左右それぞれに形成され、私の体格に合った位置に固定される。


『それが操縦桿ですね。それぞれ握ってください』


「操縦桿……。おわ!?」


 丸い球体をそれぞれ掴むと、球体と共に手が沈む。

 同時に生暖かい感触が、手に伝わる。


「これは……」


『操縦桿を握ると、本体を流れる液体魔力に、直接触れた状態になります。

 それを通じて操縦は、主殿の思考を模倣(トレース)することで行われるので、考えるだけで本体を動かせます』


「な、なるほど。……ってあれ? なんか、巨大ゴーレム動かす流れになってるんだけど!? 

 っていうか、パーガトリー君はどこにいるんだ?」


『操縦席の後ろのあたりに収納されています』


「収納……」


『本体はぜひ、最初に主殿に動かして欲しかったのです』


「でも、ボールドウィン様たちに許可を取らないと……。というか、魔力不足は治ったの?」


 っていうか、いきなり消えてエリカさん達心配してるよね……。


『本体に接続されて、魔力も回復しました。

 ……そうですね。外部と会話できるようにしましょう。それと、周りの様子も映しますね』


 パーガトリー君の言葉によって、周りの壁に外の様子が映し出される。


「お、おおお!?」


 三百六十度、全面モニターだ!

 マジでロボットアニメっぽい!!

 ちょっぴりハードな恋愛漫画の原作には、絶対出てこない展開だよ!?


 そして、高所からの映像だから普通に怖い!!


『シンシアちゃん!?』


『シンシア!? どこに行ったんだ!?』


 エリカさんと、お父様の声が聞こえる。


「パーガトリー君、会話できるようにして!」


『どうぞ』


「お父様、お母様!」


『シンシア!?』


「私は今、巨大ゴーレム……いえ、ヴァルガルドの操縦席にいます!」


『な、なんだってーー!?』


「えーと、パーガトリー君が起動できるかどうか確認したいそうなんですが、いかがでしょうか?」


『ええ!?』


『準備をしますので、少々お待ちを!』


 キャロルさん達の声もする。


『──よし、準備はいい。歩いてみてくれたまえ』


 数分後、ボールドウィン様から許可が出た。


「分かりました」


 といっても、どうすればいいのか。

 パーガトリー君は私の思考を模倣して動くと言っていたけど……。


 ひとまず、ヴァルガルドが歩くイメージをしてみよう。


「……」


 私は意識を集中し、イメージを膨らませるが……。

 まあ、簡単に動くわけがない。


 私は、ボールドウィン様たちを横目で見る。


 めっちゃ期待した目で、こちらを見てる〜。


 ぐぬぬ、そんなキラキラした目で見られると、期待を裏切れないじゃないかー!


 とはいえ、ヴァルガルドに思考を模倣させるやり方なんて……。


 あ、魔力流せばいいのか!


 私は魔法を使うのと同じように、両手から魔力を流す。

 すると、なんというか不思議な感覚になった。


 言葉で表現するのは難しいけど、一体化というかリンクしたというか、そんな感じがする。


 その感覚を頼りに私は、ヴァルガルドを歩かせてみる。


 そうして──巨大ゴーレム・ヴァルガルドは、ゆっくりとはじめの一歩を()()()()()


『大変だー!』


 と同時に、格納庫内にオレオールが飛び込んで来る。


「オレオール?」


『ウワーー!? 巨大ゴーレムが、動いてるーー!?』


「あ、大丈夫よ、オレオール! 私が動かしてるの!」


『シンシアか!? 何が大丈夫なのかは分からないけど、すごいな!!』


『それより、何があった?』


 と、ボールドウィン様。


『精霊たちが、ここへ向かってきている!!』


「なんだって!?」







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