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少年エトと魔法の銃 ~未亡人のママさん冒険者と甘く楽しい冒険生活送ります!~  作者: 月ノ宮マクラ


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8/22

008・母娘の家に招かれて

 問・出会った美しい未亡人さんに、今夜は家に泊まるよう誘われたらどうしますか?


 答・泊まる一択です!



 という訳で、僕は母娘の家を訪問した。


 オルガランテの郊外、住宅街の一角に、小さな平屋の家がある。どうやらここらしい。


(へ~?)


 思ったより小さい家。


 いや、母娘で暮らすなら充分だとは思う。


 ただ、亡くなった旦那様が街1番の冒険者だったなら、もっと大きなお屋敷とかに住んでいるのかな、と勝手に想像していたんだ。


 カチャッ


 お母様が玄関の鍵を開け、扉を引く。


「さ、どうぞ」


「あ、お邪魔します」


 と、中へ。


 幼女が僕の横を抜け、家の照明スイッチを入れてくれる。お、明るい。


 光の中に照らされるのは、整理された少ない家具の室内だ。でも、掃除は行き届いていて、とても綺麗で清潔感がある。


 うん、落ち着いて、美しい室内――マルティーナお母様のイメージに近い。


 眺めていると、


「今、お茶を淹れますね」


「あ、お構いなく」


 と、お母様は玄関の近くの小部屋に槍と荷物を降ろし、奥の台所に向かう。


 そして、幼女も荷物を置くと、僕の方へ来て、


「お兄様、こっち」


 キュッ


 と、小さな手で僕の手を握り、引っ張る。


 先導されるまま、台所に面したリビングの椅子に着席した。


 ピョン


 幼女は、隣の椅子に座る。


 目が合うと、「……えへへ」と照れたように笑った。


(うん、可愛い)


 尻尾も左右にプンプン振れている。


 と、お母様がお茶を用意しながら、


「昔は街の中央区にあるもっと大きな家に住んでいたのですが、夫を亡くした後、今のこの家に移り住んだんです」


「そうなんですか?」


「はい、維持費もかかりますし、娘と2人で暮らすには広すぎたので……」


 と、少し哀しげに笑う。


(ああ、そうか)


 税金とか補修代とか、家が大きければより金額が必要だもんね。


 夫が亡くなり、収入も減る。


 うん……世知辛い話だ。


 あと、もしかしたら、亡き旦那様の事を思い出してしまうから、その家で暮らし続けるのも辛かったりしたのかな?


(ま、勝手な想像だけど)


 やがて、お母様がお茶のカップをテーブルに置いてくれる。


「どうぞ」


「あ、ありがとうございます」


 と、一口。


 カップの中身は、紅茶ではなくハーブ茶っぽい。


(うん、美味しい)


 砂糖が入っているのか、程良い甘さもある。


 その甘味と香りに、僕はホッと息を吐く。


 マルティーナお母様も安心したようにはにかみ、レイナちゃんも嬉しそうに笑う。


 そのあと、少し談笑。


 それから僕は、なんと沸かして頂いたお風呂をもらったり、お母様手作りの夕食をご馳走になったりしてしまった。


(至れり尽くせり、だね)


 尚、お風呂上がりのお母様は、凄く美人だった。


 武装を解除し、普段着らしい白いワンピースとなった姿は、何というか普通の綺麗な女の人で、濡れ髪や大人の落ち着いた雰囲気が素敵だった。


 その髪をお団子にし、夕食を作ってくれたんだけど、


(まさに若奥様だ)


 台所に立つ姿に、正直、少しときめく。


 清楚で儚げな人妻だった未亡人さんの魅力を、まざまざと感じさせられたよ。


 そして、


「レイナの勝ちっ」


「わ、負けた~」


 お母様の料理中は、僕が幼女の相手だ。


 指相撲したり、ボードゲームしたり、お絵かきしたり、絵本を読んであげたり、色々と遊んであげた。


 ま、家に泊めてもらえるのだからこれぐらいは、ね?


 実際、レイナちゃんも嬉しそうで、


(最初に比べたら、大分、打ち解けたかな?)


 と思う。


 そして、笑う幼女、普通に可愛い。


 尻尾をブンブン振り、まさに懐いてくれる子犬みたいで僕もほっこりしてしまう。


(ん……?)


 ふと気づくと、台所のお母様が僕らを見ていた。


 凄く優しい顔。


 それは、1人の女性としてではなく『母親』としての慈しみの表情だった。


 ドキッ


 その二面性に、少し驚く。


 やがて、食事を頂く。


 パンとサラダとビーフシチューっぽい料理で、異世界版の家庭料理かな、と思う。


 手を合わせ、


「いただきます」


 と言うと、彼女は少し目を見開いた。


 優しく微笑み、「はい、召し上がれ」と応じる。


 パクッ


(うん!)


「とっても美味しいです!」


「そうですか、エト君のお口に合ったようで何よりです」


「滅茶、合ってます!」


 と、食べ続ける。


 マルティーナお母様は「ふふっ」と笑う。


(ん……?)


 ふと見れば、同じように食事をしているレイナちゃんの口元がシチューで汚れていた。


 おやおや。


 僕は布巾を手にし、


「ほら、頬に少しついてるぞ~」


「あ……ん」


「よし、これで綺麗になった」


「あ、ありがとう、お兄様」


「どういたしまして。お母様のシチュー、美味しいもんね。うん、お兄様も気をつけて食べるよ」


「う、うん」


 僕は笑い、幼女もはにかむ。


 そんな僕らを、マルティーナさんはその紫水晶のような瞳で見つめ、そして、何か眩しいものを見るように薄く細められる。


 その表情は嬉しそうで、でも、どこか哀しげで。


(……?)


 不思議に思いながら、食事を続ける。


 そのあとも母娘と談笑しながら、やがて、僕らの楽しい食事の時間は終わった。



 ◇◇◇◇◇◇◇



「お、おやすみなさい、お兄様、お母様」


 夜も更け、幼女は就寝のため、自室に戻っていった。


 マルティーナさんと一緒に「おやすみ」「おやすみなさい、レイナ」と見送る。


 パタン


 扉が閉まる。


 あとには、僕と美しいお母様の2人が残された。


(…………)


 い、いや、何もあるまい。


 そりゃ、僕も男の子だし、多少、ドキドキしちゃうけど……でも、冷静に考えたらね?


 と、お母様が、


「エト君は、まだ起きていますか?」


「あ、はい」


「ふふ、では、もう少し茶飲み話でもしましょうか」


「あ、うん、そうしましょう!」


 甘い笑顔のお誘いを、僕も喜んで了承した。


 新しくハーブ茶を淹れられ、僕の前のテーブルに置かれる。やがて、自分の分も用意して、お母様も席に着く。


 僕を見て、


「今日は、レイナも楽しそうでした」


「え?」


「普段、あの子は人見知りで、私以外の人とあまり喋る事はないのですが……エト君には心を開いたのか、本当に楽しそうにしていました」


「そうなんですか?」


「はい、あの子があんなに笑う姿を見たのは久しぶりです」


「…………」


「エト君は、不思議な子ですね」


「ど、どうも」


 美人のお母様にジッと見つめられる。


 少々、気恥ずかしい……。


 照れる僕に、マルティーナお母様も「ふふっ」と優しく笑う。


 それから姿勢を正し、


「エト君がいなければ、私は夫に続き、大切な娘まで失っていました。レイナを救ってくれた事、本当に感謝をしています」


 と、深く頭を下げられた。


 綺麗な金髪が肩からサラリと流れ、柔らかそうな垂れた獣耳も揺れる。


 突然の行動に、僕は驚く。


 すぐに笑い、


「レイナちゃんも、マルティーナさんも無事でよかったです」


「エト君……」


「それにこちらこそ、お礼に泊めてもらったり、ご飯やお風呂まで頂いて、ありがとうございます」


 と、頭を下げ返した。


 お母様は目を丸くし、パチパチと瞬く。


 すぐに苦笑し、


「本当にエト君は……」


 と、困ったように言う。


 その表情がおかしくて、僕もまた笑う。


 それからマルティーナお母様と一緒になって、しばらく笑い合った。


 やがて、お母様が僕を見つめる。


「エト君は……明日、『魔窟迷宮(ダンジョン)』に行くのでしたね」


「あ、はい。そのつもりです」


「そうですか」


 頷き、彼女は数秒、黙り込む。


(……?)


 不思議に思う僕に、


「どうか、お気をつけくださいね。『魔窟迷宮』は魔物が多く、とても危険な場所です。多くの冒険者が挑み、そして亡くなりました」


「…………」


 お母様は、僕を心配してくれているらしい。


 でも、


(――僕には『マギ・ブラスター』がある)


 巨大な角熊を倒し、森林狼の群れを一掃できる強力な武器だ。


 例え『魔窟迷宮の魔物』でも、僕が油断しなければ、そうそう後れは取らないだろう。


 その自信がある。


 だけど、


「私の夫も、亡くなった1人です」


「!」


 僕はハッとした。


 未亡人さんの綺麗な瞳は、そんな僕を真っ直ぐ見つめる。


「夫のレオンダークは、アーヴィン王国でも指折りの『魔狩人(まりゅうど)』でした。ですが、その夫も『魔窟迷宮(ダンジョン)の魔物』に殺され、2度と帰らなかったのです」


「…………」


「そして、その魔物――『黄金霊虎(おうごんれいこ)』は今も『魔窟迷宮(ダンジョン)』のどこかに生息しています」


 と、その瞳を伏せる。


(あ……)


 カップを持つ彼女の白い指が少し震えている。


 思い出すのも辛い過去。それでも僕を心配し、忠告してくれたのだろう。


(…………)


 僕は頷き、


「わかりました、気をつけます」


「はい」


 その言葉に、美しい未亡人さんもようやく微笑んでくれた。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 やがて、僕は客室に案内される。


 小さな個室だ。


(ベッドと棚が1つずつ、か)


 眺めていると、お母様がそのベッドに近づく。


「ごめんなさい。長く使っていなかったもので、今、新しいシーツや毛布に替えますね」


 と、古い物を片付けていく。


 でも、1人でやるのは大変そうで、


「あ、手伝います」


「いえ、そんな」


「2人でやった方が楽ですよ。ほら、そのシーツ、貸してください」


「ですが、お客様のエト君に……あっ?」


「え、わぁっ?」


 引っ張る力加減を間違えたのか、お互いバランスを崩し、一緒にベッドに倒れ込む。


 パフッ


 白い埃が舞う。


 マルティーナさんの長い金髪がこぼれ落ち、僕の頬や首を撫でていく。


 甘やかな匂いがする。


 僕が下で、マルティーナお母様が上から覆い被さる態勢だ。


(ん……?)


 右手が柔らかい何かを掴んでいる。


 指を動かすと、


「あん……っ」


 と、お母様の口から悩ましい声が漏れた。え?


 僕は驚き、お母様は真っ赤になりながら、慌てて口元を押さえる。


 よく見れば、僕の右手は、僕の上に倒れ込むマルティーナお母様のたわわに実った重い乳房を、服の上から思いっきり握り締めていた。


(って、わぁああっ?)


「ご、ごめんなさい!」


 慌てて、手を離す。


 お母様も急いで身体を起こし、


「わ、私こそ、すみません。こんなおばさんの胸を押し付けてしまって……」


 と、両手で隠すように胸を押さえてしまう。


 その顔は完熟したトマトのように赤く、目元も潤んで、妙に艶めかしく扇情的だった。


 ゴクッ


 思わず、唾を飲む。


 やばい。


(めっちゃ柔らかかった……)


 熱く、重く、弾力はあるのにどこまでも指が沈んでいく――まさに魔性の感触だった。


 つい思い出すように、右手の指を動かす。


 その動きを見て、マルティーナさんも息を飲む。


(あ、しまった)


 僕は焦る。


 セ、セクハラだ~!


 触ったのは事故だけど、今のは駄目だろう。


 築いた信頼が一気に崩れていくのを感じ、僕は青褪めてしまう。


 だけど、



「……触りたい、ですか?」



(え?)


 彼女を見る。


 お母様は赤い顔のまま僕を見つめ、


「こ、こんな年上のおばさんの胸でも……もっと触りたいと思えますか?」


「――――」


 その質問に、僕は硬直。


 やがて数秒後、無言のまま、


 コクン


 正直に頷いた。


 自身の大きな乳房を隠していた腕を、彼女はゆっくりと下していく。


 ユサッ


 拍子に、重く胸が揺れる。


(え……本当にいいの?)


 戸惑いながら、本能のまま手を伸ばす。


 だけど、彼女は逃げず、かすかに美貌を斜め横に外しながら、ジッとしていた。


 ムニッ


 指が触れる。


「っ」


 マルティーナさんは息を詰め、でも、動かない。


 や、柔らかい……っ。


 僕の指も勝手に動く。


 美しい未亡人さんの豊満な乳房は、僕の指で何度も形を変え、その度に彼女の唇から熱い吐息がこぼれた。


 ……どれくらい、そうしていたのか?


 やがて、


「ん……ふっ、き、今日は、ここまでです」


 と、彼女が言った。


(え?)


 興奮冷めやらぬ僕は、その顔を見る。


 妙齢の美女は潤んだ瞳で僕を見つめ、その白い指が僕の両手を上から軽く触り、ゆっくりと自分の胸から引き剝がしていく。


 ああ、指先が名残惜しい。


 求める僕の視線に、彼女は嬉しそうに笑いながら、


「続きは、明日です」


「明日?」


「はい。明日、無事に『魔窟迷宮』から生きて戻ってくれたなら、また続きをしましょう」


「!」


「私とエト君の、秘密の約束です」


 彼女は、そう甘く囁く。


(マルティーナさん……)


 そうか。


 それは魔窟迷宮で夫を亡くした未亡人の、精一杯の僕への優しさと気遣いだった。


 本能を、理性と愛情が上回る。


「わかりました。絶対、帰ってきます」


「はい」


 彼女は、優しく頷く。


 そこに浮かぶのは『母』の優しさと『女』の情欲が宿った、美しくも甘やかな笑みだった。



 ◇◇◇◇◇◇◇



「い、いってらっしゃい、お兄様」


 翌朝、僕は母娘の家を出た。


 美しい獣人の母娘は、玄関の外まで出て、僕を見送ってくれている。


 幼女の隣には、マルティーナさんが立っている。


(…………)


 穏やかな微笑み。


 昨日の夜のアレ、夢じゃないよね?


 あのあと、慣れない環境だからか、お母様との蜜月の時間のせいか、なかなか寝付けなくてしばらく困ったよ。


 両手の感触、今も覚えてるしさ。


 自分の両手を見て、軽く握る。


 その時、


(――あ)


 その仕草を、マルティーナお母様に見られていた。


 固まる僕の前で、彼女の白い頬が薄く桃色に染まっていき、その笑みが甘やかに深まっていく。


 僕らは数秒、見つめ合う。


 そして、未亡人さんの紅い唇が開き、


「――約束、です」


「!」


「どうか無事に帰って来てくださいね」


「……っ、はい!」


 僕は大きく頷いた。


 レイナちゃんは「?」と母親を見上げ、マルティーナさんは誤魔化すように微笑み、そんな娘の頭を撫でてやる。


 幼女は気持ち良さそうに目を細め、尻尾をプンプン左右に揺らした。


 そんな母娘の姿に、


(うん、絶対、生きて戻るぞ!)


 と、強く思う。


 そして、見送る母娘に背を向け、僕は街の通りを歩き出す。



 ――さぁ、異世界初の『魔窟迷宮(ダンジョン)』に挑戦だ!

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― 新着の感想 ―
早速やりかけるエト君・・・事故とはいえ早すぎるよ(汗) そして「黄金霊虎」という今作のラスボス候補が出ましたな。
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