013・初めての……
「あふ……」
不意に、レイナちゃんが欠伸をした。
僕とパーティーを組む事が決まって大喜びしてくれた幼女だったけど、さすがにお眠の時間らしい。
(もう10時か)
部屋の時計の針もそれを示している。
お母様も優しく微笑み、
「さ、レイナ、今日はもう寝ましょう」
「ん……でも、エトお兄様とまだ……」
「明日、そのお兄様と冒険に行くのでしょう? しっかり眠っておかないと一緒に行けなくなりますよ」
「!」
幼女はハッとし、尻尾がピンと立つ。
(さすが、お母様)
幼女は「レイナ、寝る」と宣言し、お母様も優しく笑って頷く。
娘ちゃんは、僕を見て、
「ま、また明日ね、お兄様」
「うん、また明日、レイナちゃん。おやすみなさい」
「えへへ……おやすみ」
照れ笑いを浮かべ、1人で自室へと向かった。
その可愛い背中を、マルティーナさんと2人で見送る。
(…………)
何だか急に静かになったようで、リビングに美しいお母様と2人きりになった事を強く意識してしまう。
お互い無言だった。
やがて、彼女の方から口を開く。
「エト君の食事も終わりましたね」
「あ、はい」
「では、食器を流しに置いたら、そのまま客室まで案内します」
「……はい」
僕は頷いた。
昨日、泊まったんだ。もちろん客室の場所は覚えている。
でも、それをわかっているはずのマルティーナさんが『案内する』と言ってくれている。
その意味は――。
(あ……耳、真っ赤)
綺麗な金色の髪から覗く人型の耳は、赤く染まっている。
整った横顔も頬は赤く、瞳はどこか潤み、どことなく緊張しているようにも感じられる。
パタ パタリ
長い毛並みの尻尾も、落ち着きなく左右に揺れる。
大きな乳房が呼吸のたび、服の生地の下で重そうに上下に動く。
ドキン ドキン
僕の鼓動が強くなる。
か、顔が熱い。
と、前を向いたまま、年上の未亡人さんの白い指が僕の手を摘まみ、
「――行きましょう」
少し熱を帯びた声で言う。
僕も「はい」と掠れた声で答え、彼女に引かれるまま、廊下を一緒に歩き出した。
◇◇◇◇◇◇◇
「ん……あっ」
マルティーナさんの唇から、抑え切れぬ嬌声が漏れた。
僕と彼女は今、客室のベッドの上に2人で座りながら、僕の指が彼女の魅惑の果実を揉みしだいていた。
――秘密の約束。
誠実なお母様は、それを守ってくれたのである。
(ゆ、指が沈む……っ)
その感触に、僕は夢中である。
頭の中は沸騰し、これが現実なのか夢なのか、まともに判断できないぐらいになっていた。
ずっしり重く、でも、柔らかく、弾力があり心地好い。
大人びた彼女が目を潤ませ、泣きそうな顔で必死に声を抑えている。
(――可愛い)
胸の奥がギュッとし、愛おしさが溢れてくる。
長い金色の髪が揺れ、僕の腕を撫でながら、甘やかな香りを広げていく。
ムニッ ギュッ
「んん……っ」
(マ、マルティーナさんっ)
お母様の頬は紅潮し、実にいやらしい。
僕の興奮も止まらない。
と、その時、
「エ、エト君」
「は、はい?」
「その、直接、触りますか?」
「……え」
「服の下に……手を入れていいですよ」
「――――」
僕は、青い目を見開いてしまう。
マルティーナさんは恥ずかしげに視線を逸らし、けれど、上着の裾をたくし上げ、僕の手を入れ易くしてくれる。
(え、遠慮なく!)
手を入れた。
うわ、肌が熱い。
彼女の肌はまるで火傷しそうに熱く、けれど滑らかで最高の触り心地だった。
「んっ」
彼女が息を詰める。
たわわに実った果実は先端が硬く尖っている。
甘い吐息が漏れ、耳まで幸せだ。
…………。
僕らは無我夢中で戯れ合い、気がつけば、20分以上が経過していた。
と、
「き、今日はこれぐらいで」
彼女が息も絶え絶えに言う。
(う……)
もっと続けたい、という欲望はあるけれど、無理矢理はいけない。
理性を総動員し、
「は、い」
と、頷いた。
我慢する僕にお母様は優しく笑い、髪を撫でてくれる。
でも、瞳の奥には残り火が宿っている。
(ふぅ、落ち着け、僕)
僕も必死に自分の感情を鎮火させて……あ、そうだ、忘れてたっけ。
ふと、思い出し、
ゴソゴソ
と、ベッドの上から鞄の中の荷物を漁る。
お母様は乱れた服のまま「?」と首をかしげ、長い金髪が肩からこぼれ落ちていく。
「マルティーナさん」
「はい」
「あの、これ、よかったら」
「え?」
僕は彼女の手に、小さな『宝石』たちを落とした。
それを見て、お母様は目を丸くする。
僕は笑って、
「お土産です」
と、伝えた。
実は『輝石甲虫』の『宝石の外皮』を買取に出した時、小さくて加工できないクズ宝石が何個か出てきたんだよね。
買取額も端金だったし、折角だからもらっておいたんだ。
僕は言う。
「僕の初成果だし、よかったら、マルティーナさんにあげたいなって」
「……私に?」
「その、記念というか」
「…………」
「あ、いらなかったら売ってください。多分、レイナちゃんのおやつ代ぐらいにはなると思いますから」
と、照れたように言い募る。
(ちょっと、唐突だったかな?)
でも、マルティーナさんには色々お世話になったし、その優しさが素直に嬉しかったからさ。
だから、何か恩返しがしたかったんだよ。
ま、ただの思いつきなんだけど……。
彼女の紫色の瞳は、自分の手のひらの煌めく小石たちを見つめている。
何も言わず、
「…………」
ただ白い指が大事そうに宝石を握る。
その表情は泣きそうで、まるで何かを耐えるように身体を震わせていた。
(……マルティーナさん?)
僕は、その美貌を覗き込む。
その瞬間、彼女の瞳の残り火が急に燃え上がり、
「――エト君っ」
(えっ?)
急にマルティーナお母様に抱き着かれ、その白い手で頭の後ろを掴まれると、そのまま唇を強引に合わせられてしまう。
(お、お母様っ!?)
こ、これ……僕、今、キスされて……っ!?
驚き固まる僕だったけれど、彼女はなんと舌まで絡めてくる。
(お、大人のキス~っ)
ドサッ
そのまま、僕の身体はベッドの上に押し倒された。
(ん、んん……)
気持ち良さに背筋が震える。
やがて、プハッと息継ぎをするように唇が離れ、マルティーナさんは僕に馬乗りになったまま、僕の顔を見下ろしてくる。
熱に浮かされたような表情だ。
荒く、熱い呼吸がお互いの口から漏れる。
「エト君は……」
「…………」
「エト君は、女を知っていますか?」
「!」
僕は青い目を瞠る。
その反応だけで、彼女は察したようだ。
どこか嬉しそうに、でも申し訳なさそうに笑いながら、自分の上着を脱ぎ捨ててしまう。
タプン
重く白い果実が揺れ、まろびでた。
「こんな、年増の女で良ければ……私が教えてあげましょうか?」
「……っ」
「…………」
「は、はい」
正直者の僕は、素直に頷いた。
途端、年上の美しい未亡人さんは『女』の表情で、甘く満たされたような笑顔になった。
その手で、僕の服を脱がされる。
そして上体を倒し、もう1度キスされた。
重く柔らかな弾力が、僕の胸の上で押し潰されているのがわかる。
ドキドキドキ
お互いの鼓動が激しい。
顔が離れ、
(あ……狼だ)
その欲情した美貌を見て、マルティーナさんは狼人族であり、そして、『狼』という生き物は肉食なのを思い出した。
「エト、君……」
金色の長い髪が僕の肌の上を甘く流れ、その白い指が愛しげに僕の頬を撫でていく。
淫靡な微笑みが、再び近づき、
(ん……)
「あ、む」
肉を貪るような、激しい口付けをされる。
ギシッ
ベッドの軋む音が室内に大きく響く。
そして……。
…………。
この夜、マルティーナお母様の熟れた肉体によって、僕は人生初めての『女』というモノを教えられたのだ――。




