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【連載版】推しの氷結公爵に事務能力で雇われたので、今日も平静を装って尊死しています  作者: 江合 花果
第四章 ゲーム本編開始

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笑顔で確認(ノエル視点)

【ノエル視点】


 王都に着いたのは、夕方頃だった。


 タウンハウスに荷物を運び込みながら、ライアスが言った。


「今日はゆっくり休め。明日は王宮に挨拶に行く」


「かしこまりました」


「ノエルも同行してくれ」


 ノエルは少し止まった。


(何で自分も)


 疑問は浮かんだが、ライアスの顔を見ると特に深い理由があるわけでもなさそうだった。


「わかりました」


 まあいいか、と思いながら答えた。



 ヴェイル戦のゴタゴタも有耶無耶のうちに片付いたし、王都での新生活も始まる。

 頑張るぞ、と気分良く鼻歌を歌いながらベッドに入った。

 久しぶりに、よく眠れた。



 翌日。


 王宮、アルベルトの執務室。


 人払いをされたその部屋で、ノエルは笑顔を保っていた。

 滝のような汗をかきながら。


「で」


 アルベルトが笑顔で言った。


「不可思議な魔道具で、過去の伝記などに記されていた魔人を倒したノエルさん」


「は、はひ」


(おのれ、ライアスゥゥゥ)


 ノエルは脳内でライアスを全力で呪った。


(話は終わったと思っていたのに、ちゃっかりアルベルトに報告しておるとは)


(涼しい顔して夢のお告げ説を聞き流したふりしておったな)


(許さん)


「流石に色々見逃せないんだよね」


 アルベルトが、穏やかな笑顔で続けた。

 その笑顔が非常に良い笑顔だったので、余計に怖かった。


「ちょっと君のことを整理させてもらうね」


「はい」


「まずは、君は謎に優秀な事務能力でベルナード領の財政改善に大きく寄与した」


「はい」


「それを知ったライアスにスカウトされて、ヴァルトハイン領の事務改善に携わった」


「はい」


「ヴァルトハイン領の業務改善やボトルネックの洗い出し、不心得者の洗い出しなども行った」


「はい」


「その上、領内の戦後被害を受けている未亡人や傷病者、孤児などの職場構築や孤児院の設立を実施した」


「はい」


「これは君に直接関係があるかは分からないけど」アルベルトが続けた。「先の戦争では、君の送った人形が発光した後、ライアスの魔力が膨れ上がり、敵軍を殲滅した」


「はい」


「そして王都に来てからは雑居街の廃墟で謎の魔道具を取得」


「はい」


「その魔道具を使って、過去の記録に残っている伝説上の存在とされる魔人らしき者を撃破した」


「はい」


「この魔道具と魔人の存在を知ったのは、夢でお告げがあったから」


 一拍置いた。


「そういうことで良いかな」


(うわあ、すごく良い笑顔で聞いてくるじゃないか、この王子)


 流れ落ちる汗を感じながら、ノエルは笑顔を保った。


「概ね、その内容で合っております」


「そうなんだね、やっぱり君は凄いね」


 どういう意味かは測りかねたが、アルベルトは穏やかに言った。


 アルベルトがライアスを見た。


「ライアス、君も魔人を確認したんだろ」


「ああ。ついでに魔道具の性能も見た」


「なるほどね」


 アルベルトが再びノエルを見た。


「ノエル嬢、一つ確認をしたいんだけど」


「はい」


「君って、聖女なの?」


(またそれかい!!)


 ノエルは笑顔のまま、脳内で全力でそう叫んだ。

 アルベルトの笑顔は、相変わらず非常に良い笑顔だった。


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