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595話 コウタvsギルマス

 俺は王都冒険者ギルドのギルマスと面談をしている。

 俺を始めとした『悠久の風』の面々の最新個人ランクの他、ナディアの参考ランクも聞き出した。

 今後の活躍に向けてギルマスと固い握手を交わした瞬間――彼の力が一気に強くなった。

 俺の手首が悲鳴を上げている。


(くっ……!)


 痛い!

 いやマジで痛いんだが!?

 さすがは王都のギルマスだ。

 おそらくだが、かつては高ランク冒険者だったのだろう。

 第一線から引いているはずの今でも、なかなかの握力をしていやがる。


(こいつ、いったい何を考えてやがる……?)


 少なくとも友好的な態度ではない。

 期待のAランク冒険者にして、男爵でもあるこの俺に対して無礼極まりない行為であると言えるだろう。

 さすがに俺も黙っていられなかった。


「ギルマス……。お前、何のマネだ?」


「おっと……。これは失礼しました。普通に力を入れたつもりだったのですが……私の予想よりも、エウロス男爵は”貧弱”だったようで……」


 ギルマスが白々しく言う。

 しかも、『貧弱』という言葉を強調して言うあたり、嫌味ったらしいことこの上ない。

 これは明らかな挑発だ。


 俺はハーレムを築くために、他人に対して優しく接することが多い。

 だが、別に聖人君子というわけではない。

 特にギルマスのようなオッサンに対しては容赦しないぞ?

 こいつは俺を怒らせてしまったようだな。

 もう許さん!


「俺が貧弱だと? これでも近接系のジョブも育てているんだぞ? 肉体の鍛錬も欠かさない。見ろ、この筋肉を」


 俺のアピールを受けて、ギルドマスターが失笑する。


「たかが知れていますな。エウロス男爵のメインジョブは『風魔法使い』系統だと聞いています」


「……何が言いたい?」


「パーティメンバーを連れてこなかったのは失策でしたな。Aランク冒険者と言えども、私のような近接系に一度掴まれて仕舞えば終わりです」


「ほう……?」


 つまり、ギルマスは俺に挑もうと言うのか?

 だとすれば、随分と大きく出たものだな。


「試してみるか?」


 俺はそう告げた。

 すると、ギルドマスターの闘気が高まったのが分かった。

 どうやら本気のようだ。

 さて、どうしたものか……。


(正直言って負ける気がしないんだよなぁ……)


 相手は間違いなく熟練した戦士である。

 だが、いかんせん相手が悪いとしか言いようがない。

 そもそもの話、俺は近接系ジョブもかなり育てている。

 ギルマスは低く見積もっているようだが、俺は『経験値ブースト』の効果によって成長も早い。

 魔法の方に得意意識があるのは事実だが、腕力比べでもそうそう遅れを取ることはないのである。

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