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1058話 商会の少女-6
「仕事の話はもういいだろう。ところで、これは個人的な確認なのだが……」
「はい?」
「今夜、時間あるか?」
「え? 今夜ですか? はい、特に用事はありませんが……」
少女は少し戸惑ったように言う。
だが、すぐに笑顔になった。
「ひょっとして、お食事のお誘いでしょうか?」
「ああ。まぁそんなところだ」
「とても光栄です! ぜひ、ご一緒させてください!!」
「おう」
俺はうなずく。
少女を誘うのは、何も下心が理由ではない。
彼女はセリアの活躍によって勧誘された、有望な商人だ。
このエウロス子爵領においても、将来的には重要なポジションに就くだろう。
そんな彼女と、今のうちに親しくなっておく。
これは、将来への投資である。
決して下心ではない。
下心ではないのだ。




