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1022話 エウロス子爵領開拓団-9
「……え? ひぇっ!? え、エウロス子爵様!?」
「お、おお。やっと気づいたか……」
元店主は俺に気づいていなかったらしい。
彼は慌てて頭を下げる。
「あ、あの……その……本日は、お日柄も良く……。その……」
「丁寧な挨拶は不要だ。体力不足なんだから、無理に喋らない方が良いぞ」
「は、はい……」
「どうしても辛ければ、馬車に乗ってもいいからな」
俺はそう告げる。
移動に関して、多くの物資を俺の『ストレージ』に入れてある。
今のところ、容量で困ったことはない。
本来は、開拓に関わる全ての荷物を入れても良かった。
しかし、その場合は開拓団の面々に『ストレージ』の存在を勘付かれるかもしれない。
別に知られて困るものではないが……。
特殊な能力なので、『悠久の風』のメンバー以外には一応秘匿しておきたい。
そこで、ある程度の物資はカモフラージュとして馬車で運ぶことにしたのだ。
詳しい者なら、開拓団の人数の割に荷物が少ないことに気付くだろう。
しかし、そこらの開拓団メンバーなら、この程度の細工でも誤魔化せると思う。




