マックスェ……
勇者マックスは、動揺した様子で叫んだ。
「ば、バカな……どうなっているんだ!?」
王国軍は各地で略奪をしたことが逆効果となったようだ。
完全に散り散りになっていた王国軍の各部隊は、機動力のある騎馬民族に1部隊ずつ各個に撃破されていた。
「何でもいい、早く部隊をここに集めるように早馬を飛ばせ!」
「は、はい!」
騎士の1人が本陣から出ようとしたとき、その体に矢が刺さり、馬から崩れ落ちた。
もうすでに、騎馬民族が王国軍の本陣まで迫っていたのだ。
「くそ……こうなったら、俺様の武勇を示してやる!」
マックスは大剣を構えると騎馬民族を睨みつけた。
恐らくマックスは、この戦いが最期の戦場となるだろう。彼の生涯で築き上げたレベルは114。その武勇を持ってどんな華を咲かせるのか、送り込んだ翼に見届けさせることにした。
騎馬民族が押し寄せてくると、まずは前衛の長槍兵が逃げ出した。
次に、後方の弓兵が逃げ、3番目に旗を持っていた兵が逃げ、4番目に側近と思しき騎士まで馬を駆って逃げていく。
「くっ……勇者とまで言われた俺様が……こんな最期かよ」
本陣の中に騎兵が突入して来たが、誰の雄叫びや悲鳴も聞こえてこなかった。恐らく、主だった兵士たちは皆逃げてしまったのだろう。
騎馬民族は邪魔されることなくマックスの待つ場所まで乗り込んできた。
「大将自らシンガリか……やれ!」
騎兵2人が突進してきたが、マックスは軽やかに避けて2人を打ち倒した。伊達にレベル110を超えているわけではない。
「やるな……ならば、これならどうだ!?」
今度は騎兵3人である。
マックスは最初の1人に大剣を振り下ろすと刀身は折れたが、構わず短剣を投げつけて2人目、更に近くに落ちていた砂を投げつけて3人目の目を潰し、素手で引きずりおろした。
「貴様……腕が立つな!」
マックスが振り返ると、たらこ唇で顎の割れた男は言った。
「こんなしょうもない軍の将などやめてうちに来い。末永く重用してやるぞ!」
「……俺を雇ってくれるのか」
「ああ!」
マックスは歯がゆそうに言った。
「あいにくだが、俺は姫の願いを聞き届けるためにここにいる……そういう願いは」
「姫? お前は王族の娘が欲しいのか」
騎馬民族の将が聞き返すと、マックスは「あ、ああ……」と答えた。
「こんな無茶な願い事ばかりするような姫などを貰ったら、命が幾つあっても足りんぞ。そんなことくらいなら我が娘を娶れ。こう見えても私も王だ」
「そ、それは……本当なのですか!?」
マックスの言葉が敬語になると、その騎馬民族の王も豪快な笑みを見せた。
「ああ、本当だとも。来い…!」
「は、はい!!」
そうか。武勇を示すことで相手の王様に気に入ってもらえることもあるもんね。
おめでとうマックス。このまま頑張れば君にも王様の道が開けるかもしれないよ!
そう呟いていたら、いつの間にか隣にいたコマドリのロビンが言った。
「この王様の姫は、お父さん似だからマックスの好みに合うかなぁ……?」




