新たな敵の台頭
ところで、皆さんはあの剣士を覚えているだろうか。
物語序盤でポケットシェルターを手に入れた魔法剣士。彼はツーノッパ諸侯連合軍に参加し、孤立する中で戦場を突破して、無事に王家の城へと戻っていたんだ。
「魔法剣士マックスよ」
「ははっ……!」
玉座に腰かけている国王は言った。
「あの戦場から、我が子を守りきるとは大儀である。ささやかながら褒美を与えよう」
国王が合図をすると扉が開き、王女が入ってきた。
「貴殿に準男爵の地位と……我が娘へ求婚する権利を与える!」
その言葉を聞いた魔法剣士は目を丸々と開いた。
「ま、ま、まことでございますか!?」
「戯け。我がウソなど申すか!」
「あ、あ、有り難き幸せ……」
狂喜しながら平伏する魔法剣士を、国王はつまらなそうな顔で見ていた。どうせこの話をするのなら、もっと大物にしたかったのだろう。
「ただ、我が娘と付き合うにはまだ武功が足りん……わかるな?」
「も、もちろんでございます! 陛下のツーノッパ遠征を邪魔した、あの忌々しいゴブリンどもと狼人間どもを必ずや討ち果たしてご覧に入れます!」
「いいだろう。マックスには800の兵を与えるゆえ、しっかりと掃討せよ」
800という言葉を聞き、マックスはポカンとした。
5000の兵を率いた皇太子ですら返り討ちに遭った魔物たちを、その5分の1以下でやれと言われているのだから当たり前だろう。
「……」
「……」
国王は苛立った様子で言った。
「聞いているのか?」
「は、はは……必ずやご期待に添えるよう努力いたします」
「うむ。期待しているぞ」
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小生は、その様子を水鏡で眺めながら呟いた。
「マックスも今や貴族か。一緒に冒険した仲間として誇らしいよ」
水鏡に映った顔は、自分でも驚くほど怒りに満ちていた。
「だけど、この国王の家来になるのはいただけないな。何せ彼はまだ貴族だった時に、幼いユニコーンを奪おうとして……アビスホースを生み出すきっかけを作ったからね」
何とか気を落ち着かせようと目を瞑ったけれど、ふと別のことが脳裏をよぎった。
ツーノッパでは勢力の大きな貴族が王になるのは珍しくない。しかし、この貴族の家はそれほど大きくはなかったとコマドリのロビンは言っていた。
だとすると…………
「彼は、今の地位を手に入れるために、どれだけのことをしてきたんだろう……?」




