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悪魔との対決!

 アビスホースが角を具現化して突っ込んでくると、小生もまた角で応戦した。

 大地魔法の能力で脚元を強化していなければ、体勢を崩されていただろう。

「……」

「……」

 向こうは勢いに任せて体勢を崩そうと来るが、小生も押し返そうと脚を踏ん張った。

「くらえ」


 アビスホースの周囲には無数の黒い影が現れた。

 それはウマの亡霊のようだ。幾つもの牡馬や牝馬の視線や気配がゆっくりと近づいてくる。


――いいなぁ……

――何でお前だけ

――どうして、お前だけがユニコーンになれた?


 亡霊は様々な場所から現れた。

 右側面。左側面。背後。そして頭上。


――どうしてだろうなぁ?

――きっと親が良かったんだよ

 1頭が言うと、他の馬たち……特に牡馬たちは納得した様子で連呼した。

――そうだな。親だ

――親が凄いから、お前はユニコーンになれた

――コンドコソトレルやククリの血があれば、俺もユニコーンになれた


 小生は小さくため息をついた。

――そう思うかい?

 一同は無言だったが、表情だけでそうだと返答した。

――ならば、輪廻転生……シッポンに!


 角が光りを放つと、周囲にいた亡霊たちは光に包まれたまま姿を消した。


「血が滲むような努力が必要と……言ってやらないのか?」

「それは、自分で察するべきことだ!」

 そう突き放すと、アビスホースは笑った。

「それはそうだ」


 浄化すると、更にアビスホースの周りにウマの亡霊が現れた。

「君の体は……どうなっているんだ?」

「私の身は、哀れな家畜たちの亡霊で満たされている。嘆きは我に……強い力を与えるからな!」


 アビスホースは、角を動かしながら小生を底なし沼へと近づけはじめた。

「人間は勝手だ……人間のエゴで、どれだけ多くの同族が斃れてきたか……」


 アビスホースの全身から真っ黒な力があふれ出した。

 その力はすさまじく周囲の植物を枯らし、僅かに触れただけでも木の葉の新芽さえ腐り切ってしまう。

 それに、臭いがきつすぎる。死体と糞尿とヘドロの悪い所を合わせたような刺激臭が鼻の奥深くまで入り込んでくる! 吐き気がする……


「人間に組みする家畜の王子……死して我が力となれ!」

 集中力が途切れる。ズルズルと底なし沼に追い込まれている。

 いけない。後ろ脚を取られた……!!


 容赦なくアビスホースは、小生を沼へと突き飛ばした。

 後ろ脚が沼にはまると、小生の体は踏ん張ることができなかった。ならば……


 小生は素早く角を動かすと、アビスホースの喉元を貫いた。


――やったか!?


 アビスホースは目を大きく見開くと、何と笑った。


――そこは、最も多くの瘴気が集まる場所だ。


 その直後に、無数の家畜たちの怨霊が蒸気のように噴き出した。

 小生はとっさに目を瞑ったが、焼けるような痛みを感じた。どうやら間に合わなかったらしい。

 喉が焼け、息が十分にできない。

 角からはまるで削られるような、鈍い痛みを感じる。

 とにかく、苦しい……!


「苦しいか……ならば、いま楽にしてやろう!」

 アビスホースの脚が小生の胸を蹴り上げると、小生の体は底なし沼の中へと浸かった。

 小生の体は仰向けのまま沼の中に沈んでいく……!

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