戦力強化
騎士リチャード、地の一角獣グラディウス、村長トマム、アレンたち少年少女は、狼族の村にやって来ると驚いていた。
狼族の人々は小生が通ると道を空け、まるで訓練された兵士のように敬礼をしていた。
「お戻りになられるのが遅いと思っていたら……」
「成り行きで、ウルフビレッジも統治することになったんだ」
「そ、そうですか」
狼族の長サーロスは、リチャードたちを見ながら言った。
「我が村の者たちも、カッツバルゲル様の偉大さがわかりました。今度は森の王の臣民として皆様と共に生きて行きたいと思います」
「左様ですか。貴殿らが来てくれるのなら心強い!」
リチャードとサーロスは握手をした。
「ところでカッツ。ゴブリンの浄化や負傷者の手当ては終わったのかい?」
グラディウスが言うと、小生は首を横に振った。
「君に経験値を稼いでほしいから、けが人の手当てだけを行ったよ」
「わかった。じゃあ早速やっておくよ」
「お、俺たちも護衛につきます!」
グラディウスが戦場跡に行こうとすると、アレンたち若い戦士たちも周囲を守るように歩いた。
リチャードは従者たちを見ると言った。
「では、城門の修復をお手伝いしましょう」
「おお、それはありがたい……こちらです」
さて、小生も少し休んだら父さんに報告しようか。そう思っていると、コマドリのロビンが飛んできた。
「カッツ、ビッグニュースだ!」
「どうしたの?」
「ゴブリンどもが総攻撃をかけたとき、家畜にされていたウマやウシが一斉に逃げ出してたみたいなんだ!」
「え、監禁されてたんじゃなかったの!?」
ロビンは嬉しそうに笑っていた。
「それがよ、その手引きをしたのが何と……お前の父上さまだったって話だ」
それから10分ほどで、父コンドコソトレルは、二十数頭の馬と数頭の牛を引き連れてきた。
「お帰り、父さん」
「あまりに退屈だったのでな。私も少し協力させてもらった」
父さんは自分が連れてきた馬に視線を向けた。
「ゴブリンパラディンのウマだけは脱走を拒否したが、他は人間の土地で育った者たちのようだ。森でどのような草が食べられるのかなどはお前やグラディウスが教えてやってくれ」
「任せてよ父さん」
「では、私は調査に戻らせてもらおう」
父さんが飛び立つと、狼族の長が言った。
「カッツバルゲル様。これほどの数のウマがいるのなら、我らウルフビレッジとヒト族の村の間に牧場を作ってみてはいかがでしょう?」
なるほどと思った。
間には川が流れているから、低木や草などもたくさん生えているし、どちらかで問題が起こってもすぐに駆け付けることができる。
「名案かもしれない。戦後処理が終わったら皆で相談してみよう」
そう話しながらも、小生の視線は別のところに向いていた。父さんはテレパシーで別のメッセージを伝えてきていた。




