敵対勢力vs敵対勢力
ゴブリンパラディンは、3000人前後の手下を引き連れて森の前に陣取った。
「き、騎士団長……準備が整いました」
「よし、お前たち……全軍に、ぶっ潰せと命令を出せ!」
「わかりました!」
ゴブリンナイトたちは、次々と席から立つと自分の部隊へと向かった。
「ぶっ潰すぞ!」
「ぶっ潰しに行くぞ!」
「ぶっ潰せ!」
「おおおおおおおおー!」
ゴブリンパラディンの子供は、不思議そうに言った。
「ねえ、ちちうえー」
「なんだ?」
「どうしてぶっつぶせなの? いけとか、ゴーとかじゃだめなの?」
「そ、それはだな……お父さんのお父さんも、そのまたお父さんも、みんなぶっ潰せと言ってきたからだ」
「ああなるほど……つまり、デントーというわけだね」
「短く言えばそうだ」
「さて」
ゴブリンパラディンが席を立つと、驚いた鳥が木の枝から飛び立った。
「いま、トリさんがびっくりしてたね」
「はははは……鬼冥利に尽きるというものだな」
先ほど飛び立った鳥の正体は、もちろんコマドリのロビンである。
彼は、空から戦いの様子を見た。
「チビゴブリンども、次々とでっかい狼たちにやられてるじゃん。まあ、それもゴブパラ様の策のうちだろうけどな」
狼獣人たちは、次々と幼体ゴブリンを狩り歩いたが、ホブゴブリンの部隊が到着したことで戦況は変わった。
「があ!」
「……!?」
ビッグウルフは苦しそうにうめくと、次々と倒れていった。
どうやら、幼体ゴブリンの体にも瘴気があり、その体を噛んだり食べたりしたビッグウルフの体に毒が回ったのだろう。
「くらえ!」
ホブゴブリンたちは笑いながら、次々と棍棒を狼獣人たちに振り下ろした。
素早い狼獣人たちは、その攻撃を交わしたが、数で勝るゴブリンたちは執拗な攻撃を繰り返し、狼獣たちは敗走していく。
「やっぱり、数の暴力に勝るものなし……か。報告してこよーっと!」
ロビンは迂回しながらカッツたちのいる村を目指した。
村人たちは、東側の堀の建設を急いでいた。
「よし、今日中に中腹くらいまでは進めるぞ」
「おう!」
小生はここでロビンが向かってきていることに気が付いた。
「どうだった?」
「ああ、数で勝るゴブリンたちの方が優勢だな」
ロビンは木に止まると、羽を休めた。
「だけど、ゴブリンたちが驚くのはこの後さ」
「ワーウルフたちの住処は、天然の要塞だからね」
小生はそう言いながら地面を見た。
そこには脚先で書いた、狼獣人たちの村の見取り図がある。
「少し、観戦して来ようかな……ちょうど父さんも来たし」
間もなく小生は、父さんに村の指揮を変わってもらい、ロビンと共にウルフビレッジを目指した。




