ウルフビレッジの攻防戦
攻め寄せる3000のゴブリンは、狼獣人たちの集落を取り囲んだ。
集落の中で戦力になりそうな戦士は300前後しかいないが、集落の周りには堀や塀が備えられ、城門を突破するだけでも容易ではなさそうだ。
「ぶっつぶせ!」
ゴブリンナイトが命令を出すと、幼体ゴブリンおおよそ2500が堀へと侵入した。
狼獣人側も弓矢や投石で幼体ゴブリンの妨害を行う。
「は、始まったな」
小生はロビンと共に、崖の上から戦の様子を眺めていた。
「被害は、ゴブリン側250、ウルフ側10というところかな?」
「幼体ゴブリンを捨て駒にするのは、小鬼どものお約束戦術だよな」
「ぶっ潰せー!」
ゴブリンナイトが命令を出すと、ホブゴブリンの部隊およそ500が破城槌や弓矢を持って城門に攻撃を仕掛けた。
ドン、ドンという巨大なハンマーを城門に打ち付ける音が響いてくる。
「こ、こりゃ……苦しいなワーウルフたち」
「いや、あれを見て」
狼獣人の戦士の数人が城門の後ろ側で、紐のようなものに火をつけている。
彼らは頷くと器用にスイングし、外で城門を破ろうとしているホブゴブリンたちに向けて、その黒い球体を投げつけた。
「……? なんだあれは??」
直後に周囲に空気を引き裂くような爆発音が鳴り響いた。
何体ものホブゴブリンが吹き飛ばされ、破城槌も壊れて使い物にならなくなっている。
爆発を辛うじて逃れたホブゴブリンは、怒り狂った様子で叫んだ。
「なめたマねしやがッテ!」
「ぶっ潰す!」
生き残ったホブゴブリンたちは、破城槌のハンマーの部分を持ち出すと、城門に向けて打ち付けた。
再び狼族の戦士たちは、先ほどの爆弾を投げつけて何十というホブゴブリンを吹き飛ばしたが、生き残ったホブゴブリンが作業を引き継いで、城門はどんどん痛めつけられていく。
そして、城門前に無数のホブゴブリンが斃れるなか、遂に城門が突き破られた。
「行くぞー!」
「応戦せよ!」
ホブゴブリンと狼族の戦士たちは、入り乱れて戦いをはじめた。
村の敷地内に突入したホブゴブリンは120前後だが、狼族の戦士は50前後で迎え撃っている。
「すげえな、この勢力差なのに狼族が優勢だよ」
「だけど、さすがの狼族も少しずつ押され始めているね」
狼族は、子供や老人も投石や弓矢で応戦していたけれど、数で勝るゴブリンは堀を越え、柵をよじ登ろうとしている。
そしてその一部が村の中に侵入して、近くにいた狼族の戦士と一戦を交えていた。
「メシだ、おまえら……メシの時間だ!」
ゴブリンナイトが叫ぶと、ゴブリンたちは攻撃を止めて撤収をはじめた。
「城門も破ったから、ここで体勢を立て直すってことか」
「鮮やかな引き際だね」
狼族の戦士たちも深追いはしなかった。
被害は、ゴブリン側の死者重症者は600~700体。狼側の死者負傷者は40~50人といった感じだ。
小生は翼を広げた。
「さて、小生はこれから狼族の長に会ってくるよ」
「え……会って何をするんだ?」
「決まってるじゃないか。降伏勧告だよ」
ロビンは引きつった顔で言った。
「それ、大将自らやることかぁ?」
「まさかと思うことをやるから、相手もびっくりするんだよ」
「ま、まあ……そりゃそうだけどよ」




