ゴブリンの兵糧集め
「この森からもヒトのにおいがすル」
「食えそうなものはなんでも探せ」
森に姿を見せたのは、ホブゴブリンをリーダーとしたゴブリン小隊だった。
迎え撃つのは小生をリーダーとしたアレン少年少女隊4人とグラディウスだ。
「いくぞ!」
少年少女たちは、女の子2人が炎球をゴブリンに水塊をホブゴブリンにぶつけた。
「ぎょあ!?」
「な、なんだ!」
次に魔法攻撃をしたのは、アレンともう一人の男の子だ。
アレンは風刃ウインドナイフを放ち、もう一人の男の子も石つぶてを見舞う。
「このガキども、やれ!」
「ギャッヒャー!」
ゴブリン7体が一斉に襲い掛かってきたが、アレン小隊は構わず魔法攻撃を続けた。
次々とゴブリンたちは魔法攻撃を受けて倒れていくが、アレン隊の弾幕を突破して2匹がナイフを振り上げてきた。
「無駄だよー!」
グラディウスは角を光らせると、先頭にいるゴブリンを蹴飛ばして木に叩きつけ、次に向かってきたゴブリンを角で薙ぎ払った。
「この、メスウマ!」
ホブゴブリンはこん棒を振り上げて突進したが、グラディウスは再び角を光らせて地面から無数の岩石を撃ち上げた。
「ごぎゅばら!?」
ホブゴブリンはもろに魔法攻撃を受け、ひるんだ隙にグラディウスは蹴りを見舞った。
「今だよー!」
アレンは木剣をホブゴブリンの頭に打ち下ろし、他の3人は魔法攻撃をホブゴブリン攻撃。
「ぎょあああああああ!?」
ホブゴブリンは断末魔を上げながら崩れるように倒れた。
「……では、浄化しましょう」
「気を引き締めてね」
小生が言うとグラディウスは頷き、ゴブリンたちの前で角を十字に切った。
彼らの肉体は溶けるように蒸発していき、その場には村人から奪ったであろう小銭や旅の小道具が残されている。
「……ん、これ……」
アレンが小道具に手を伸ばすと、そこには商人の身分証が入っていた。
「行商人の身分証か」
「ちょっと待って、持ち主の巡回ルートってここからかなり離れてるよ」
小生もそのルートを見て何とも言えない気持ちになった。
この森から一番近い所でも10キロメートルは離れている。
「かなり広範囲で略奪をしているみたいだね」
見回りを済ませると、小生たちは村へと戻った。
そして2日後。ハチの世話をしていたら、コマドリのロビンがやってきた。
「ユニコーン様、遂に向こうの平原にお貴族様の軍隊が姿を見せたぜ」
「数はどうだった?」
「噂通り騎兵が1000人くらいで歩兵が5000ってところかな。ただ……レベルがそんなに高くないんだよ」
「幾つだったんだい?」
ロビンは苦笑しながら言った。
「騎兵はレベル40から70くらいが多かったな。歩兵は15から60とピンキリだ」
40か……と思いながら、小生はグラディウスやアレンたちのレベルを見た。
グラディウスのレベルは54、風の魔法剣士アレンは29、炎の弓使いベラ24、水の魔導士ロッティ24、地の重戦士ダニエル26。
この前、修行をはじめたばかりの彼らが主力クラスになってしまうとは、貴族の部隊は大丈夫なのだろうか?
【名もなきゴブリンたちの会話】
「おでたち……こんだけクイモンあつめたゼ」
「勝ったド、おでたてはこんなに!」
「おお、すんごいな。たくさん!」
「1、2、4、5、7、9、たくさん!」
「たくさん」
「たくさん……9より多ければ、たくさん!」
えー、筆者から説明します。
コブリンたちは10以上の数を数えられないようですが、例えば5000人分の食料を用意するとなれば、どれほどの量が必要か、大雑把に計算してみましょう。
パン1斤(450グラム)を1日分の食料と考えると、それが5000人分。つまり5000斤が必要ということになります。
450×5000……つまり、2250000グラム。2250キログラム。
2.25トンものパンを毎日欠かさずに作らなければならないということは、それ以上の大麦や水、更にそれを焼くための燃料……つまり薪が必要ということになります。
戦争というものは、古今問わずにお金がかかるものです。




