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一緒に食事をしようと誘われました

「シア! 一緒に食堂に行こう!」


長い授業が終わってお昼の時間。私が授業の後片付けをしているとシオンちゃんが声を掛けてくれた。

正直私としても一人で食べるよりもシオンちゃんと食べたいと思っていたので彼女の誘いはありがたかった。


「うん、一緒に食べよっか」


「初めて……初めて友達と一緒に食べれる! 本当にありがとう! 一緒にご飯食べてくれて!」


「そんな泣かなくても……」


今まで一人でお昼を食べてきたのだろうシオンちゃんは一緒にご飯を食べられるという事実に感動の涙を流している。

そんな彼女に私は大袈裟だなぁと苦笑いしながら一緒に食堂に向かおうとした時だった。


きゃーきゃーと廊下の方から何やら歓声のような声が聞こえる。

何事かと私達が不思議に思っていると教室の入り口から見覚えのある白銀の男装令嬢が入ってきた。


「アデリス嬢じゃん……なんでこの教室に」


そこにいたのはアデリス様。彼女は教室に入るがすぐにそのかっこ良さから沢山の女の人に声を掛けられる。

やっぱりというか分かってはいたことだけどアデリス様はモテるんだなと改めて実感する。


「アデリス様……人気だね」


「そりゃアデリス嬢は公爵令嬢だし見た目も美人だし学院内では男女両方からの人気も高いよ。私達とは住む世界の違う人だよねー」


別に嫉妬とかそういった感情ではないと思いたいけどやっぱりアデリス様は私とは違う立場の人で地味な私では彼女と対等ではないのだと思うと悲しくなる。

多分この教室に来たのも他の公爵令嬢や公爵とまではいかなくてもアデリス様に相応しい人と一緒に食べるつもりなんだろう。


私はそんなことを思いながらシオンちゃんと一緒に食堂に行こうとしてーー。


「ちょっとシア! 待ってくれ! 一緒に食堂に行こう!」


「……え?」


アデリス様は教室から出ようとする私に慌てて声を掛ける。


「悪いが今日は……いやこれからずっと私は大好きな婚約者と一緒に食べるつもりなんだ」


アデリス様は沢山の生徒達にそう告げると人混みを駆け抜けて私のところまでやってくる。


「約束しておけば良かったね。毎度の事ながらまさかこんなに人に囲まれることになるとは……」


そういって私の手を繋ぐ。それに対して私は驚いてしまった。

勿論少しだけ期待はしていた。アデリス様が私と一緒に食事をしてくれることを。

でも同時に無理だと確信していた。私みたいな地味な女性よりもっと華やかな女性と食べるのではないかと。


「その……私でいいんですか?」


「不思議な事を聞くんだな。君とじゃなきゃダメだ」


そう言うとアデリス様は私の肩にそっと手を触れて自分の方に抱き寄せた。

それを見てクラスのみんなは驚いていた。当たり前だ普通の令嬢令息ならばともかくアデリス様は公爵令嬢であり、国で一番の領土を保持している。

そんな彼女がまるで私を恋人のように扱っているのだから注目が集まらないわけがない。


「みんな聞いてくれ。私の側にいるシアは私の大事な婚約者だ。なのでみんなにはすまないがこれからは私は彼女と一緒に食事をするよ」


それを聞いて周囲が明らかにざわめき始める。

でもそれは嫉妬とかそういう暗い感情ではなく驚きと祝福だった。


「アデリス様に恋人が!?」


「そっかついに初恋の人と結ばれたんですね!」


沢山の祝福と驚きの声。その声に私はアデリス様の方を見る。


「あの……初恋の人って?」


「この学院に通ってから……いやそれ以前から社交界でもだが何度か告白された事があってな。その度に断っていたんだ初恋の人がいる好きな人がいるから付き合うことは出来ないと」


「……そうなんですね。それでその……初恋の人って誰なんですか?」


本当は分かっている。それが誰のことを言っているのか。

それでも私はどうしても彼女の口から聞きたくて気付いてないように振る舞った。


「勿論シアのことだよ」


「……そうなんですね」


内心では喜びつつも何とかその感情を隠して素っ気ないように返事をする。


「でも……まだ私は婚約者じゃないですよ」


「だとしても言いたかったんだ。君を婚約者だとダメだったかな」


「……言うだけなら別にいいと思いますよ」


もうこれ以上は本当に好きになってしまいそうなのでそれだけ言って視線を逸らした。

そして視線を逸らした先には気まずそうにしているシオンちゃんがいた。


「その……二人が恋人ってのは分かったんだけどさ。それはそうと今日シアは私と食べにいく約束してるから」


シオンちゃんはそう言って私の服の袖をぎゅっと掴んだ。

シオンちゃんにとってアデリス様は身分が上の存在。

それなのに一歩も引かずに彼女は抗議している。


「そうだったのか。だが私だってシアと一緒に食べに行きたいんだ」


「いやいや婚約者ってことは一緒に暮らしてるってことでしょ? だったら毎日一緒に食事をしているだろうしお昼休みぐらい私とシアが食べても問題ないんじゃない?」


二人でどっちが私と一緒に食事をするか話し合っている。

それに対して私は普通にアデリス様が来てから考えていたことというか思っていたことを口にした。


「あの……三人で一緒に食べるとかどうかな?」


私の言葉に二人は驚いたような表情で互いに顔を見合わせていた。

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