↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/14

デートはやはり緊張します

「デート……やっぱり緊張するなぁ」


グレナベル領内の市場。沢山の店が並ぶ町の中で私は待ち合わせ場所の前で静かに待つ。

そもそも私達は一緒に暮らしているのだから待ち合わせなどしなくても一緒に屋敷を出れば良いと思うのだがアデリス様が言うには待ち合わせ場所で互いに出会うのがデートの醍醐味というものらしい。


でも確かにこっちの方がデートらしいというのは少しだけ分かる。

例えば今私はこうして実際に待ち合わせ場所で彼女が来るのを今かと待ちながら緊張しているわけだけど。


それは別々に来たからこそ起きたことだった。

きっと一緒に出掛ければ勿論それはそれで楽しかったとは思うけどこんな風に緊張しながら相手が来るのを待つなんてことは無かったと思う。


「すまない。待たせたね」


少しだけ時間が経ってアデリス様がやって来る。

そしてナチュラルに手を繋ぐ。こうやって簡単に手を繋いだり出来るのは才能だなぁと思う。

私からアデリス様に手を繋ぐとなると緊張したり迷惑じゃないかと考えたりして伸ばすことそれ自体に躊躇ってしまうだろうし。


「シアは行きたい所とかある?」


「特には……ただよくよく考えてみればこの町を廻ったことがないので色んな店を巡ってみたいかも知れないです」


「そうだな。私としても屋台の様子を確認したいし今日は色んな店を見てみよう」


私達貴族はその気になれば屋敷から一歩も出ずとも必要な物を手に入れることが出来る。

なので本来ならばこうして買い物など行く必要はない。


勿論服とか装飾品で気に入るものが無ければ市場まで見に行く場合もないわけではないが基本は商人から取り寄せた品を買うのがほとんどだ。


でもそれはやっぱり何だか寂しい。こうして大切な人と一緒に買いたい物など決めず市場を巡ってその中で欲しいものを見つけて買うそういった一時が私は好きだった。


「ここのアクセサリー屋さんに行ってみないか」


しばらく市場を歩いていると一つのお店で立ち止まる。

看板を見るとそこにはアクセサリー屋の文字が書かれている。

でもその店は屋台のよくある一般的なお店という雰囲気ではなく高級感漂うお店になっていた。


勿論私だって令嬢だ。華美な店にだって行ったことはある。

でも行ったことがあるといっても男爵令嬢だった為その回数は多くはない。

なので少しだけ店の見た目に緊張するのも事実だった。


私達はアクセサリー屋の中に入る。中はやはり貴族向けのお店なのか高級感の感じられる店内になっており、沢山の装飾品が飾られていてきらびやかな店内になっていた。


私はその雰囲気に怯えながらぎゅっとアデリス様の腕を掴む。

そんな私に対してアデリス様は怖がることはないとそっと頭を撫でてくれた。


「大丈夫。怖くなんかないよ」


「は、はい」


私はアデリス様にしばらく撫でられながら落ち着くと一緒にお店の中を見て廻る。


「欲しいものはあるか? シアの好きなもの買ってやりたいんだ」


「え? 欲しいもの……」


私としては綺麗なアクセサリーは見ているだけでも楽しいのでそれを購入するつもりは無かった。

なのでアデリス様からアクセサリーを買って良いと言われて驚いてしまう。


でもよくよく考えてみれば折角のデート何かしら思い出の品を買いたいという気持ちはある。

それに綺麗なアクセサリーが展示されているのだ。

当然心惹かれないと言えば嘘になる。私はちょっと嬉しいと思いながらアクセサリーを見ていって一つのネックレスが目に止まった。


それは水色の綺麗なネックレス。凄く落ち着いていて優しい印象のするアクセサリーだった。

その雰囲気を気に入ったのは事実だが、私がそれに興味を示したのはそれだけが理由ではない。

そのネックレスはペアネックレスとなっていてアデリス様とネックレスを付け合いたいなと思ったのだ。


なのでこのネックレスを買おうと思ったのだがそこで私はふとあることに気づいた。

ペアネックレスって重くないかと……勿論アデリス様は私のことを好きだと言ってくれているし婚約だってしてくれているわけだけど。

私としてはまだその返事だって曖昧な状態なわけで、そんな私がいきなりペアネックレスを一緒に付け合おうなんて大胆すぎるというか重すぎて惹かれやしないだろうか。


それによく見るとこのネックレス凄く高かった。

少なくとも男爵令嬢の私では購入を戸惑う程の金額だった。


よしここはもっと安いネックレスを買うことにしよう。

私はそう思って他のネックレスにしようとした瞬間だった。


「このネックレスを買おう」


「ええっ!?」


それは私が欲しがっていたネックレスだった。

きっと私がずっとそのネックレスを見ていたから欲しいのだと伝わってしまったんだ。

普通の人ならそんな些細な素振り見逃すだろうに本当にアデリス様は私のことをよく見てくれる。

それ自体は嬉しい……嬉しいんだけど。


「これ……高いよ?」


「全然高くない。そもそも私は公爵家なんだ。このネックレスを買うぐらいなんてことないからな。それに私が見たかったんだ私が買ったネックレス付ける君の姿を」


アデリス様はそういうとこのネックレスを一つだけ買おうとする。

だけどもそれを慌てて止める。今度は遠慮のためではない自分に素直になる為に。


「ま、待って……このネックレスなんだけど……ペアネックレスもあるみたいで」


「……ペアネックレス?」


「その……お揃いのネックレスを付けたいなって思ってて……ダメでしょうか?」


「全然ダメじゃないよ。お揃いのネックレス買っちゃおうか」


私達は二人で早速ネックレスを買うと試着室で互いにネックレスを付け合う。

なんだか指輪の交換みたいでちょっと緊張する。

アデリス様の首に水色のネックレスが付けられる。

暖かで優しくて綺麗なネックレス。今度は自分の番だとアデリス様がネックレスを手に取って私の首にゆっくりと付けてくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。