閑話 : 一目惚れ
わたしとウィンセント様の出会い?それはもう童話のようにロマンチックだったわ。あの日のわたしは…… 今日はわたしの入学式!なんて楽しみなの!!朝の陽を浴びながら思った。男爵令嬢なんて貴族の端くれみたいな家だけど、愛があって優しい両親に囲まれて幸せに過ごしていた。そんなわたしを愛情たっぷりに育ててくれた両親に親孝行するために、とびっきり素敵な恋愛をして、いっぱいお友達を作って、魔術の成績だってとびっきり優秀になっちゃうんだから!ドキドキで寝付けなくて夜更かししちゃってちょっとぼんやりするけど入学式のきらめきがわたしの頭を覚ましてくれるに違いないわ!!浮き足だって会場に入ったらきらめきに当てられちゃってもっと体調が悪くなっちゃったの。そんなところに現れたわたしの王子様。ふらっとしたわたしを難なく支えてくれたかっこいい人。キラキラどころか後光がさしてた。それにわたしを全身で支えてくれる優しさに、服越しに感じる逞しさ。この人がどんな家柄のひとでも構わない。この人と幸せになりたい!そう思ったの。そこからはもう持ち前の自己肯定感で突っ走った。可愛い可愛い言われて育ったし、周りからの評判も悪くないし。きっと王子様もわたしを好きになってくれるわ。でも、自分磨きをして困ることなんてないから、生徒会にも入ろうって思ったの。…え?脈絡が無さすぎる?そんなことないわ。ウィンセント様の学園生活を影で支えられるのよ。素敵な向上心でしょう?そしたら歓迎会でで運命の出会いをしたの!!王子様と一緒にいた綺麗な人が歓迎会に来てた。挨拶すると、なんと本物の王子様だった。どうりでキラキラしてるわけね。本物の王子様が王子様について教えてくれたわ。ウィンセント・クラレス様って言うそうなの。ウィンセント様…本当に素敵な方。本物の王子様が食事を一緒に取ったらどうかって言ってくれたから、クラレス様とランチを食べたの。素敵な時間だったわ。そっけないけれどわたしにちゃんと向き合ってくれてる。おまけに名前で呼ぶことに応じてくれたの。なんて優しいひと。一筋縄ではいかないところも魅力的だわ。で、その後は魔術適性の検査があったでしょう?殿下もウィンセント様もとっても派手な魔術だったじゃない?魔力量の多さってすごいわよね。エライザもそうなのかしら。やだ謙遜なんてしないでよ。それで次にわたしの番がくるでしょう?そしならねわなんとウィンセント様と同じ適性だったの。氷よ氷。王子様と同じ魔術適性なんて、こんな奇跡あり得るのね。感謝祭とかクリスマスとか2人で氷の彫像を作ったり出きるのかしら。ふふふ、考えただけでもふわふわしてくるわ。あ、ちなみにエライザは何属性なの?え、土属性?ってことは地面を盛り上げさせたりできるの?!すごぉい!!落とし穴も作れちゃうわね。エライザが掘った?作った?穴にわたしが薄い氷を張って、土を被せたら完成!すごいわ。これで嫌みを言ってくる人たちも、ギャフンと言わせられるわね。ふふふ。あ、そうそう、ウィンセント様の話だった。次の日はお休みだったでしょう?だから、特にウィンセント様に会ったりはしなかったんだけれど、ウィンセント様の似顔絵を家で描いていたわ。でもウィンセント様の美しさは筆舌に尽くしがたいってやつね。実物のほうがうんと素敵。…え?わたしの絵心…?やぁだ、エライザったら、失礼ちゃうわね。わたしこれでも絵は得意なのよ。家に飾ってある家族の肖像画だって、わたしが描いたんだから。今度エライザも描いてあげるわね。…ええ、任せておいて。腕によりをかけるわ。それでね、その次の日から講義が始まったでしょう?まだ、エライザと知り合ってなかったからひとりぼっちで不安だったの。でも教室に入ったら殿下とウィンセント様がいたの。最前列でキラキラしていたわ。思わず声をかけちゃった。そしたらね、そしたらね、なんと一緒に講義を受けないかって殿下が提案してくださったの。だから、3人で横並びで講義を受けたわ。初めての魔術に関する講義ももちろん面白かったし、ウィンセント様の横顔も美しかったわ。一石二鳥ってこういうことよね。…え?後ろで見てたの?やぁだ、恥ずかしいわ。エライザったら、そういうのは気付いてても言わないものよ。…まぁ嘘をつくのはよくないけど。むぅ、エライザったらいじわるよ。でも、そういうところも好きよ。えへへへ。それでね、講義が終わったらウィンセント様がわたしに果物の持ち込みはやめた方がいいって。わたしね、張りきって香水を付けすぎた自覚はあったのよ。でも、それを直接言うなんて驚いちゃって、思わず逃げてしまったわ。わたしだって乙女だもの、恥ずかしいものは恥ずかしいもの。...え、それも見てたの?エライザったらぁ。それからはね、逃げちゃった手前声をかけずらくてしばらくはウィンセント様のお顔を見れなかったわ。ちょっと指摘されただけで癇癪を起こす女だと思われてるんじゃないかって思って。まぁ、ウィンセント様はそんなお方ではなかったけど。生徒会終わりに急にウィンセント様に大切な話があるって呼び出されたの。大切な話よ!おまけに裏庭の噴水。告白だわ。ウィンセント様にわたしの思いが通じたのだわ。…直近で避けていたのに?それはそれ、これはこれよ。こんなシチュエーション告白以外ないわ。そう思ってたのに、いざ言ってみたら香水の件を謝りたいのですって。なんて律儀な人なのかしら。惚れ直してしまうわ。おまけにお詫びと言ってくれたお菓子のなんと美味しいこと。わたし初めてこんなに美味しいお菓子を食べたわ。こんどエライザにもあげるわ。それを口実にウィンセント様とお話しできるもの。あーウィンセント様、早く会いたいわ。
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「ね、エライザ。ウィンセント様とわたしの出会いって運命的でしょう?」
「はいはい。わかりましたから、アイナはもう少し順序立てて話す方法をお勉強しましょうね。」
「は~い!!」




