列聖の8人
聖人の中でも8人の「色もち」がいる。
彼、彼女たちは同じ魂で巡り巡って聖樹の元に帰る。
聖樹はそれを帰還と呼んでいる。
今現在聖樹の元に帰還しているのは、黒、銀、紫、緑青、空そして白。
父と母は金と銀の聖人だった。まさかである。
色持ちの聖人を楽園の外に出す。しかも子持ち。そんなもの前代未聞だ。
だから、父が亡くなったときに迎えがあったのかとも思う。
色持ちが6人。直近では一番色もちが帰還している。
「白の帰還!!!」
あの後ざわつくホールから連れ出してくれたのは、あの魔法師だった。
「おかえり白!」
優しく幼児だっこをして目の前にニナを掲げ持つのは本当に二年前と、これまでの無愛想な男と同一人物なのか疑問に思う。
「僕の名前を聴いてくれないの?」
****
「否、否否否。不可である。契約は履行された。聖人は帰還する。一人選べ。選べぬなら私が選ぶ。幸運なことに二人いる。どっちだ」****
耳の奥で二年前聞いたあの冷たい声がこだまする。
目の前のにこやかな青年と印象が合わない
「お名前を教えてくれるの?」
助けてとと!どうか!私を!!今だけ!!世界で一番可愛く見せて!!!
亡き父に下世話な願いを祈りつつ、魔法師をじっと見つめた。
「喜んで。僕は黒。ネロ・ネロノワール・ラウルクラフト。君の黒だよ。」
果たして、人生2回目くらいの色仕掛けは成功したらしい。
目線で言うならチーズフォンデュくらいとろとろな目だ
(君の黒だよ?)
色仕掛けに成功したもののニナが一番初めに思ったことは
「気持ち悪いな、、、、」
だった。(父ちゃん星の神殿で泣いてるよきっと)
魔法師・ネロは抱っこされた目線で見れば大変綺麗な顔立ちをしていた。
艶々の黒い髪も一番明るい熱帯の海の色をした目もとても綺麗だった。
だが発言がアウトである。かっこいいけど気持ち悪い。気持ち悪いけどかっこいい。
残念なイケメンという言葉が脳裏に過ぎる。
半目になって嘆息すると、プルプル揺れたネロが、ぎゅっと抱きついてきた。
内臓が飛び出そうなのでアウトである。
美人だから許されるかもしれないが、ニナ的にはアウトだ。
どうせならネーナのふかふかに包まれたい。
ちょっと現実逃避をしていたら、見知らぬ回廊に出ていた。
「ねえ、ネロ様?これからどこにいくの?私のお部屋の方向はこちらではないわ?」
「今からママ・プルプラ、我らが気高い紫に会いにいくんだよ」
「ママ・プルプラ?」
「そう。今いる聖人の中では一番長生きの女性だよ。今年で確か560歳だったかな、、、」
(560歳)
聖人はせいぜい180歳までだ。
2倍以上生きている人
回廊の奥、重厚なマホガニーの大きな扉が見えてきた。細かい彫り物と取っ手が金色だ。
取っ手は綺麗に磨かれている
ネロは扉の前に立つと、扉についている石板に手を当て、
「プルプラ、白を連れてきたよ」
と石板に声をかけた。
石板の周りが光ったと思ったら、扉が消えた。
クリクリの目をさらにクリクリにしたニナに満腹なチェシャ猫みたいなニヤリ顔で
「びっくりした?」
と聞くネロはもしかしたら性格が悪いかもしれない。
入室してすぐ隣の部屋の扉を雑に開けると、
薄紫色の半透明な天蓋の向こうにベッドに上半身を起こした老女がいた。
「骸骨一歩手前」
「骸骨一歩手前」
ニナは思ったことを口にしてしまったのかと思い。小さな手を口に当てた。
その様子がおかしかったのか老女、プルプラは小さく笑った。
「お帰りなさい白。私前のあなたに初めて会った時そう言ったのよ」
ネロがそっとニナをプルプラのベッドに下ろした
あったことがないのに懐かしい人。
ベッドの上のニナをそっと抱き寄せて頬擦りするプルプラにはニナは間違いなくあったことがない。でも懐かしい。祖母というものがこの生ではいなかったけれど、こんなふうなのかもしれない。
ほっぺがヒリヒリするなと思ったら泣いていた。
「びっくりするわよね。突然連れてこられて、オウロとメルの子。名前を許してくれる?」
「ニナです」
「初めましてニナ。私はプルプラ。もう長く生きているのでこちらの意識の方が強くなってしまったから、どうかプルプラと呼んで。もしくはおばあちゃんでもいいわ。あなたを腕に抱く幸運を手に入れられたと思ったら嬉しくて。長く生きることは苦痛と同時にこの上ない喜びももたらしてくれるのよ」
そういったプルプラは本当に嬉しそうにニナの頭を抱きしめた。
ニナは見た。
ゆったりとした締め付けのないドレスを来て、美しい薄紫色の髪の毛をポニーテールにしたプルプラの腕や背筋から聖樹の根っこが生えているのを。
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白 ビアンカ・ヴェルデ(ニナ)
黒 ネロノワール(ネロ)
金 オウロ
銀 メルクリオ
空 チェーロ
真紅 ベリル
緑青 ヴェルデ・マーレ
紫 プルプラ




