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祝われない誕生日


12歳、今日はすっぽんぽんとのお別れのひ。

楽園で過ごすための聖衣が贈られる日

そして誰も私を祝ってくれない誕生日


この二年でだいぶ背丈が伸びた。つるぺた体型もそろそろ膨らんできている。

心に空洞を抱えながらそれでも、起き出す。

今日から聖衣を着て、聖樹に神聖力を流すのだ。

いつもは人気がない楽園がザワザワしている。

枕元にしれっと置いてあった聖衣に袖を通して

ネーナと手を繋いで、聖樹のある中央ホールに向かう。

二年とちょっとぶりの服だ。

柔らかい素材のふわっとなびくワンピースが可愛い。

下町に住んでいれば絶対に着れないお高い素材。

ホールに近づくほどザワザワとした雑音が大きく響く。

いつもは聖樹と精霊だけのホールにたくさんの空挺が浮かんでいた。

インペリアルイースターエッグの半分を切り取ったような貴族の空挺が数千機

聖樹を囲むように浮かんでいる。


金糸銀糸と宝石で飾り立てた聖衣を纏った貴族出身の聖人たちが、20人ほど聖樹の周りに

並んでいた。

身分の高そうな豪華な衣装の女性から聖樹に流していく。

まずは真紅のドレスの女性


女性が聖樹の幹に触れ目をつぶるとキラキラと葉がゆれた。

だが、「君は真紅じゃないから赤はだめ」聖樹がゆらゆらを枝を揺らすと女性のドレスの色から赤が抜け灰色になった。

ギョッとしたニナが周りを見回すとそれぞれの反応があった。

嘆息する人、苦笑いする人、聖樹を睨みつける人

ニナはあまり説明を受けずにここにいる。隣にいるネーナを見上げると、いつも通りのほんわりした笑顔で、「いつも通り」聖樹のリクエストに答えてあげてください

と言っていた。


同じように列聖の色を着た人が聖樹に触れるとキラキラと光ったあと、ドレスの色が灰色になる。ニナが来ているドレスワンピースは白だ。二年ぶりの洋服、可愛いので気に入っている。

今の所これ一着しかもらっていない。灰色も可愛いかもしれないが、勘弁願いたい。


どんどん順調に、流れていってあと2人ほどでニナの番だ。


「ねーね!」


?ドッドっどと血流が耳の上を通っていく音がする


「ねーね!」

いるはずのないクリスの声がする


「ねーね!」

見つけた

空挺の一つにクリスとマーニャが乗っている。クリスの顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃだ。

空挺の横から、あの魔法師の腕が伸びて、クリスの口を塞いでる。もしかしたらあの魔法師が連れてきてくれたのかもしれない。

クリスもマーニャも元気そうだ。

式典の最中なので、二人に小さくてを振って前を向く。

ほっかり空いた心の穴が少し暖かくなった気がした。


二人に勇気づけられ、聖樹の前に立つ。

ネーナは「聖樹のリクエストに答えろ」と言っていた。

いつも通り、聖樹の声に耳を澄ませる。


「歌って」

「聖典の3章 命の喜び」


男性のような女性のような子供のような老人のようなこの二年ずっと聴いていた聖樹の声が聞こえた。静かなる星のきらめき夜の帳を優しく包む

流るる水 森の息吹すべてのものは結ばれて

光よ 希望よ果てしない愛の中で

私たちは手を取り合い調和の歌を奏でよう


聖樹に教えてもらった聖典をなぞる。

光の粒が言葉に変わり、空挺の合間を縫って光って散っていく

クリスと母にも届くよう、少し大きめの声で伸びやかに歌う。


いつものように歌う


聖樹と若木たちに白い花が咲いた


「おかえり私たちの白ビアンカ・ヴェルデ」

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