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エピローグ 宝石は、日常の中で輝く
数年後。
辺境は、
“静かな流行地”と呼ばれるようになった。
派手な夜会はない。
けれど、
安心して過ごせる場所。
人が集まり、
布が巡り、
ぬいぐるみが、子どもたちの腕に抱かれる。
私の仕立て屋は、
今日も開いている。
「いらっしゃいませ」
宝石の名を持つ服たちは、
誰かの特別な日も、
何でもない一日も、
等しく支えている。
――私は、今日も針を持つ。
世界を守るためじゃない。
誰かの暮らしを、
少しだけ、良くするために。
それで十分だと、
今は、心から思える。




