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小学二年生、8歳。家族を守るためにただいま奮闘中!!  作者: いなずま


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第2話 つむ、はじめての創造

「作れば……いいの?」


そう言うと、目の前の文字が変わった。


《創造》


その文字だけが、キラキラ光っていてきれい。


なんて書いてあるのか分からない。


……でも、なぜか読める。


「……そうぞう」


そうぞうって、なんだろう。

学校で習ったっけ?うーん……分かんない。


でも、今はそんなことどうでもいい。


お姉ちゃんが倒れてる。


それに、お姉ちゃんをいじめたわるいやつもいる。


「おねぇちゃんを……」


つむはぎゅっと手を握る。


「いじめるの、やっつけたい!」


すると、また目の前に文字が出てきた。


《創造対象を選択してください》


「……?」


また難しいのが出てきた。分かんない。


「やっつけたいの!」


そう言ったら、頭の中に何かが浮かんできた。


「……はんまー?」


強そうな大きなハンマー。


これで、あのわるいやつを叩けば居なくなってくれるかもしれない。


そうしたら、お姉ちゃんをもういじめられない。


「これがいい!」


でも、ハンマーってどうやって作るんだろう。


図工の時間にも作ったことない。


つむは周りをきょろきょろ見る。


「……なにもない」


何かを作るなら前の図工の時間で使ったかみねんどがあったら……。


でもハンマーを作れそうなものなんて、どこにもない。


「つくれないの……?」


困っていると、また文字が出てきた。


《素材が不足しています》


《生産ポイントによる代替が可能です》


《必要生産ポイント:50》


「……せいさん、ぽいんと?」


知らない言葉。


その下にも何か書いてある。


《所持生産ポイント:139》


「ひゃく……さんじゅう……きゅう」


これは読める。


算数で習った。


でも、なんでつむが百三十九も持ってるんだろう。


「……これ、つかえるの?」


《承認》


「じゃあ、つかう!」


《生産ポイントを50消費します》


《残り:89》


数字が減った。


「ごじゅう、なくなっちゃった……」


でもその瞬間、目の前にキラキラした光が集まってきた。


「わぁ……!」


いっぱいの光が集まって、だんだん何かの形になっていく。


つむは涙も忘れて、それを見つめる。


やがて光が消えると――。


「……?」


そこにあったのは、黄色と赤の小さなハンマーだった。


おもちゃ屋さんで見たことがある。


「ぴこぴこはんまー?」


なんで?


もっとこう……すごくて強そうなハンマーを思い浮かべてた気がする。


つむは不思議に思いながら、ピコピコハンマーを持ち上げた。


「……かるい」


これなら、つむでも持てる。


両手でぎゅっと握る。


《生産ポイントを獲得しました》


《獲得:5》


《現在:94》


「あ」


数字が増えた。


「ご、もどってきた」


なんでだろう。


五十なくなったのに、五だけ帰ってきた。


「……まあ、いっか」


今は数字なんてどうでもいい。


つむはピコピコハンマーを持って、わるいやつを見る。


「……っ」


こわい。


やっぱりこわい。


すごく大きい。つむよりずっとずっと大きい。


足も震えてる。


逃げたい。お母さんのところに帰りたい。


でも、ちらっと後ろを見るとお姉ちゃんが倒れてる。


「……だめ」


つむが逃げたら、お姉ちゃんがまたいじめられちゃう。


つむが守らなきゃ。


だってさっきはお姉ちゃんが、つむを守ってくれたから。


「つぎは……」


ピコピコハンマーをぎゅっと握る。


「つむが、おねぇちゃんを守る!」


わるいやつが動いた。


「ひっ……!」


怖くて、一歩だけ後ろに下がる。


でも、止まる。


「……いじめちゃ、だめ!」


つむは走った。


「えええいっ!」


思いっきり、ピコピコハンマーを振った。


ぽこんっ。


「……え?」


かわいい音がした。


その次の瞬間。


ドンッ!!


わるいやつが飛んでいった。


「…………え?」


すごく遠くまで飛んで、地面をころころ転がっていく。


そして、止まった。


「…………」


つむはピコピコハンマーを見る。


もう一度、遠くにいるわるいやつを見る。


またハンマーを見る。


「……ぴこぴこなのに?」


おもちゃじゃないの?


しばらく待ってみる。


わるいやつは動かない。


「……かった?」


よく分からない。


怖いけど、ちょっとだけ近づいてみる。


「…………」


動かない。


もっと近づく。


ピコピコハンマーを伸ばして――。


つん。


「……おきない?」


もう一回。


つんつん。


やっぱり動かない。


「もう、おねぇちゃんいじめない?」


返事もない。


「……よかったぁ」


ほっとした。


「……あっ!」


お姉ちゃん!


つむは急いで走って戻った。


「おねぇちゃん!」


まだ倒れてる。


「おねぇちゃん、もう大丈夫だよ!」


隣に座って、手を握る。


「わるいの、つむがやっつけたよ!」


でも、お姉ちゃんは起きない。


「……おねぇちゃん?」


いつもなら、すごいねって褒めてくれる。


頭をなでてくれる。ぎゅってしてくれる。


なのに。


「ねぇ……」


手をぎゅっと握る。


「おきてよ……」


返事がない。


「……やだ」


また涙が出てきた。


「やだよぉ……」


お姉ちゃんが起きない。


どうしよう。どうしたら起きてくれるの?


「おねぇちゃん……」


その時手に持っていたピコピコハンマーが目に入った。


「……そうだ」


つむ、さっき作れた。


だったら。


「おねぇちゃんを元気にするのも……作れる?」


目の前に文字が浮かんだ。


《創造対象:回復薬》


「おくすり!」


それなら知ってる。


風邪をひいた時に飲むやつ。


お薬を飲めば、お姉ちゃんも元気になるかもしれない。


「つくる!」


《必要素材が不足しています》


《生産ポイントによる代替が可能です》


《必要生産ポイント:50》


「また、ごじゅう?」


その下を見る。


《現在:94》


さっきより減ってるけど、五十より大きい。


算数はちゃんと分かる。


「たりる!」


《生産ポイントを50消費します》


《残り:44》


また数字が減った。


でも、すぐに光が集まり始める。


「がんばれ……」


キラキラした光が、一つに集まっていく。


「おねぇちゃんのおくすり……」


お願い。ちゃんとできて。


「がんばれ……がんばれ……!」


ぽんっ。


光が消えた。


地面に小さな瓶が落ちる。


「できた!」


つむは急いで拾った。


瓶の中には、キラキラしたお水みたいなものが入っている。


《生産ポイントを獲得しました》


《獲得:5》


《現在:49》


「あ……また、ご」


でも、今はどうでもいい。


「おねぇちゃん!」


つむはお姉ちゃんのそばに座った。


「おくすりできたよ!」


返事はない。


「これ飲んだら、元気になるからね」


お姉ちゃんの身体を起こそうとする。


「んっ……!」


重たい。


でも、がんばる。


「よい……しょっ」


なんとか少しだけ起こして、瓶を口のところまで持っていく。


「おねぇちゃん、おくすりだよ」


少しずつ。


こぼさないように。


「ゆっくりね……」


全部飲ませる。


「……できた」


瓶を置いて、すぐにお姉ちゃんの手を握った。


「これで……だいじょうぶ?」


返事はない。


「……おねぇちゃん」


ぎゅっと握る。


「おきて……」


お願い。


「つむ、いい子にするから……」


涙がぽろぽろ落ちる。


「おねぇちゃん……元気になって……」


その時。


ぴくっ。


「……?」


今——何か動いた。


つむは涙を拭いて、お姉ちゃんの手を見る。


「おねぇちゃん?」


ぴくっ。


今度はちゃんと見えた。


指が動いた。


「……!」


「おねぇちゃん!」


嬉しくなって、そのまま抱きつく。


「おねぇちゃん! おねぇちゃん!」


ぎゅうっと抱きしめる。


「よかったぁ……!」


涙が止まらない。


でも、さっきまでの悲しい涙じゃない。


「よかった……よかったぁ……!」




————


紬は知らない。


ピコピコハンマーを作るために使った五十という数字が、どれだけおかしいのか。


姉に飲ませた薬が、どれだけすごいものなのか。


《創造》が、どんな力なのかも知らない。


そんなこと、今の紬にはどうでもよかった。


「おねぇちゃん……」


大好きな姉がいる。


手も動いた。


「よかったぁ……」


今の紬にとっては、それだけで十分だった。


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