第6話:13回目の世界、ついに「プロの貫禄」を見せつける
こんにちは、小橋零です。
気づけば13回目の異世界に召喚されていました。もはや驚きもしませんし、女神のセリフを聞くだけで「はいはい、いつものね」と相槌が打てるレベルです。今回の神様は「無敵の店舗経営権」と「神級農園パスポート」という、おにぎり屋を営むために生まれてきたようなチートをくれました。神様、分かってるじゃないですか。というわけで、今回こそは絶対に商売を軌道に乗せてやる――! 第6話、開幕です。
「――というわけで、小橋零くん! 君を再びこの世界に召喚した!」
真っ白な大理石の神殿。窓の外に広がる見事なまでの浮遊大陸。そして頭上で眩しく光る女神像。
何度目かのデジャヴを味わいながら、零はあぐらをかいたまま大きな欠伸をした。
「あー、はいはい。もう手順は分かってるんで、セリフは飛ばしてくれていいですよ。で、今回はどこのどいつを倒せばいいんですか? ゴリラ系? インテリ系? それとも最近流行りのマルチバース系?」
「なっ……!? なぜ我が神託のセリフを先読みするのだ! しかも君、その霊圧は……まさか!」
女神が慌てて神聖タブレットをフリックし、絶句した。
「じゅ、13回目ぇっ!? しかも過去に12回も魔王を単騎で討伐した伝説のプロ異世界転生者だと……!?」
「そうですけど、何か? こっちは開店初日におにぎり屋を強制終了させられたり、祝賀会の最中に追い出されたりと、こちとらスケジュールがめちゃくちゃなんですよ。さっさとチートスキルと帰還パス出してくれませんかね」
零のあまりにも板についた態度に、女神は完全に気圧されていた。神聖なる召喚の儀式が、すっかりベテランの事務手続きのようになっている。
「い、いや、しかし……今回は過去のどの世界よりも難易度が高く、邪神の眷属が五柱も同時に――」
「五柱だろうと十柱だろうと関係ないでしょ。どうせそこらの枝か大理石の破片を投げれば終わるんでしょ?」
「投げるな! 邪神の眷属をそこらの雑貨扱いで処理するな!」
女神が頭を抱えて絶叫する。しかし、零の目はすでに「いかに早く仕事を終わらせて今度こそ定食屋を開くか」という一点にしか向けられていなかった。
「で、チートスキルは何がもらえるんですか? さすがに13回目ともなると、そろそろポイント制とかにしてほしいんだけど」
「わ、分かった! 今回は特別に、どんな場所でも絶対に潰れない『無敵の店舗経営権』と、極上の食材が自動で仕入れられる『神級農園パスポート』を進呈しよう! だから頼むから、我が世界を救ってくれ!」
女神が差し出した光り輝く契約書に、零は迷わずサインをした。
「よし、話が早い。んじゃ、さっそく行ってきますか。秒で終わらせて物件探すぞ」
光の粒子が零の体を包み込み、13回目の異世界ライフが幕を開けたのだった。
第6話をお読みいただきありがとうございます!
13回目に突入しても相変わらずマイペースなプロ勇者・零。今回はついに欲しかった「店舗経営用チート」を手に入れましたが、果たして今度こそ平穏におにぎりを握ることができるのでしょうか。それとも、またしても予想外のトラブルが彼を待ち受けているのか。
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