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異世界転生、11回目です。〜プロ勇者は今日も神様の手違いにため息をつく〜  作者: 凪塩 未来


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外伝第2話:異次元炊飯器の正体、そして「幻の宇宙米」との邂逅

こんにちは、小橋零です。

王都の東門の平原に突如として出現した「謎の異次元炊飯器」。その芳醇すぎるアロマで王都の治安を一時崩壊の危機に陥れた迷惑な代物をシメるため、私は愛用の鉄パイプを片手に、熱血一番弟子のリュシアンヌを引き連れて現地へとやってきました。外伝第2話、開幕です!

王都の東門から歩くこと十五分。

広大な平原の真ん中に、ぽつんと……いや、ドカンとそびえ立っていたのは、銀色に鈍く光り輝く、直径二十メートルはあろうかという超巨大なドーム状の物体だった。

表面には見たこともない幾何学模様の魔導回路が刻まれ、そのてっぺんにある蒸気口からは、周囲一帯を甘美な香りで包み込む真っ白な湯気が「プシューーーッ!」と勢いよく噴き出している。


「こ、これがその異次元炊飯器……! なんという圧倒的な存在感……!」

後ろからついてきたリュシアンヌは、そのあまりのスケールの大きさに足がすくみ、冷や汗をダラダラと流していた。

周囲には、匂いに釣られて集まった王都の野次馬や冒険者たちが「すげえいい匂いがするぞ……」「蓋を開けたら中から何が出てくるんだ……?」と遠巻きに大騒ぎしている。


零はガシガシと頭を掻きながら、その巨大炊飯器の横腹を「コンコン」と鉄パイプで軽く叩いてみた。

『キーン……!』と澄んだ金属音が響き渡り、次の瞬間、炊飯器の前面パネルがパカッと開き、電子音とともに妙に機械的な合成音声が響いた。


『――ピピッ。マルチバース炊飯システム・型式「ゴッド・カマドMK-IX」。炊飯プログラム、全工程を完了。内部の「幻の宇宙神代米・極限深化モード」が最大値に達しました』


「ほう……?」

零が面白そうに眉を上げる。

『警告。開閉権限が確認できません。内部の米が過熱暴走を起こした場合、周囲半径五十キロメートルを「極上おにぎりフィールド」へと変異させ、すべての生命体を強制的に炭水化物欲求の虜にします』


「なんだと……!? そんな迷惑な暴走機能がついてるのかよ!」

リュシアンヌが青ざめて叫ぶと、零はふっと冷ややかな笑みを浮かべた。

「ふん、勝手に暴走されてたまるか。大体、飯ってのはな、腹を空かせた奴が美味いタイミングで蓋を開けてこそ意味があるんだよ。電子音で威張るんじゃねえ」


零は一歩前に踏み出すと、全ステータス・カンストの魔力を右手に集中させ、巨大炊飯器の「メイン電源コード」と思われる太い魔力ケーブルを、掴んでグッと引っ張った。


『エ、エラー! エラー発生! 外部からの強制介入を検知――!』

「うるせえ、おとなしく蒸らしに入りやがれ!」


ガキィーーーンッ!! と、零が軽く拳を握り込んで本体を小突いた瞬間、暴走しかけていた魔導回路のエネルギーがパタリと静まり返り、炊飯器のロックが「カチャリ」と音を立てて解除された。


静寂が戻った平原の真ん中で、零は巨大な蓋の取っ手に手を掛けた。

「さて……中身がどれだけの代物か、見せてもらおうか」


グッと力を込め、零がその重い蓋を豪快に押し上げた。

瞬間――!


ボワァァァァァァッ!!! と、これまでとは比較にならないほど強烈で、かつ気高さあふれる黄金色の光の柱が、空の彼方へと突き抜けた。

周囲にいた野次馬たちは、そのあまりの眩しさと圧倒的な香りに「うわぁぁぁーーっ!?」と次々とその場に尻もちをついた。


光が収まったあと、巨大な釜の底でしっとりと輝いていたのは――一粒一粒が星の欠片のように虹色の光を放つ、かつて見たこともないほど巨大で、かつ美しすぎる「幻の宇宙米」の炊き立ての姿だった。


「こ、これは……!」

リュシアンヌはあまりの美しさに言葉を失い、ただ震えながらその場に膝をついた。

「先日神界で扱った米よりも、さらに数段上の次元にいる……マルチバースの歴史のすべてを凝縮したような、究極の原種米……!」


零はその巨大な釜の縁にひょいと飛び乗り、しゃもじ(※特製の大木で作ったもの)を一回、二回と大きく動かした。

「ふむ……炊き上がりは悪くねえ。せっかくここまで盛大に匂いを撒き散らしたんだ。このまま放置したら野次馬どもが野生化しちまうな」


零はニヤリと不敵に笑うと、背後で呆然としているリュシアンヌに声をかけた。

「おい、リュシアンヌ。ぼおっとしてる暇はないぞ。この巨大炊飯器の米を使って、王都の住民全員分の『特大・宇宙おにぎり祭り』を今から始める!」


「は、はいっ……! 師匠! すぐに手伝います!」

こうして、異次元炊飯器の暴走は零の圧倒的な手際によって見事に鎮圧され、王都を巻き込んだ前代未聞の「外伝・巨大おにぎり炊き出し作戦」へと発展していくのだった!

外伝第2話をお読みいただきありがとうございます!

突如出現した異次元炊飯器の正体は、マルチバースの歴史を凝縮した「幻の宇宙米」を炊き上げる超巨大な釜でした。暴走を物理(いつもの)で解決した零たちは、この大量の米を使って次になにをしでかすのか? 次回、ついに外伝最終話――! すべての物語の結末をお楽しみに!

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