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異世界転生、11回目です。〜プロ勇者は今日も神様の手違いにため息をつく〜  作者: 凪塩 未来


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外伝第1話:神界の余波、そして王都に舞い込む「新たな難題」

こんにちは、小橋零です。

神界で開催された究極のお米コンテストで全勝を飾り、『真・絶対不可侵の権利』と全次元の食材永久無料を手に入れてから数週間。我が『おにぎり処・零』は、相変わらず王都の一等地で最高の香りを漂わせながら大繁盛……といきたいところですが、平和な日常というのはどうしてこうもすぐにおかしな方向へ転がり始めるのでしょうか。本編は第二章で完結しましたが、物語の裏側を描く「外伝」全3話の幕開けです!

朝の光が王都の石畳を優しく照らし出す頃、『おにぎり処・零』の厨房ではすでに香ばしい竈(かまど)の火がパチパチと心地よい音を立てていた。

「ほら、リュシアンヌ、薪のくべ方が少し強いぞ。米が驚くだろ」

「はっ、申し訳ありません、師匠!」


元・天才美食王からすっかり「零の熱血一番弟子」へとジョブチェンジしたリュシアンヌが、煤だらけの顔で汗を拭いながら深々と頭を下げる。その横では、看板娘のルルが『黄金こまち』と先日神界から持ち帰った特殊なブレンド米の計量を正確に行い、元・次元の魔神であるゼクシードが優雅な手つきで紅茶ならぬ特製焙じ茶を淹れていた。


店主である零は、カウンターの端に腰掛け、のんびりと麦茶をすすりながら、数日前に神界から送られてきた「絶対不可侵の金色の証明書」をぼんやりと眺めていた。

「ふう……あのとき神界の連中を全員気絶させてからこっち、やけに静かだと思ったが……やっぱり平穏ってのは長く続かないもんだな」


零がそう独り言をつぶやいた瞬間だった。

ガタッ! と店の正面の扉が荒々しく開き、朝一番の静寂を切り裂くように、あの近衛騎士団長のガルドが息を切らして飛び込んできた。その銀の鎧はところどころ埃まみれで、いつもはキリッとした顔立ちが焦燥感で歪んでいる。


「お、おい、零殿……! 大変だ……! 王都の東門のあたりで、とんでもない事態が起きておるのだ!」


(朝から元気だな、このおっさんは……)と内心で苦笑いしながら、零はゆっくりと立ち上がった。

「おいおい、朝っぱらから大声出すなよ。まさか、またどっかの魔王でも落ちてきたのか? それなら裏庭の敷石にするから手短に頼むわ」


「魔王ではない! もっとこう……不可解で、かつ胃袋を強烈に刺激する『異変』なのだ!」

ガルドはハァハァと息を荒げながら、カウンターに両手をついた。

「今朝早く、王都の東門の外に広がる平原のど真ん中に、突如として『巨大な謎の球体』が出現したのだ! 我が騎士団の魔力レーダーで分析したところ、どうやらそれはただの魔道具ではなく……マルチバースのどこかから流れ着いた、『異次元の巨大炊飯器』らしいのだ!」


「……は?」

零の眉間にかすかなシワが寄った。

「異次元の巨大炊飯器? なんだそりゃ。家電の不法投棄か?」


「それがな、ただの炊飯器ではないのだ! その球体からは、かつて零殿が神界で放ったものに匹敵する、いや、それをも凌駕するほどの『究極の米の炊き上がりを予感させる芳醇なアロマ』が周囲十キロにわたって漂っておるのだ! 王都の住民たちはその匂いに魅せられて、すでに東門の前に大行列を作ってしまい、朝の治安が完全に崩壊しかけておる!」


ガルドの必死な訴えを聞きながら、ルルが目を丸くして言った。

「お米の匂いで治安が崩壊するなんて、そんなことってあるんですか……?」

「あるんだよ、うちの店を見りゃ分かるだろ」と、ゼクシードが苦笑いを浮かべながらカップを置いた。


零はポケットに手を突っ込み、やれやれと首を横に振った。

「なるほどな……。神界での戦いの余波で、どこかの次元の宇宙船か何かと、俺の『おにぎりオーラ』が共鳴して、変な代物がこっちの世界に引き寄せちまったってわけか」


「まさにその通りだと思われる! 零殿、頼む! あの炊飯器の蓋を開けられるのは、全次元の米を極めたあなた殿しかいない! 王都の平和と、市民たちの飢えた胃袋を守るために、現地へ向かってくれ!」


ガルドの必死すぎる頼みに、零は大きく溜息をついた。せっかくの朝のコーヒー(麦茶)タイムが台無しである。

「しゃあねえなぁ……。他人の家の敷地に勝手にデカい炊飯器を置きやがって。どれだけ美味い飯が炊ける代物か、ちょっとシメてやらねえとな」


零が空間収納から「いつものそこそこの鉄パイプ(予備)」を取り出すと、リュシアンヌが目を輝かせて「師匠! 私も弟子として同行し、その異次元炊飯器の構造を勉強させていただきます!」と手を挙げた。

「おう、行くぞ。ルル、店はしばらく留守番頼むな」

「はいっ! 気をつけてください、零さん!」


こうして、王都の東門を揺るがす「謎の異次元炊飯器」の調査と、前代未聞のグルメトラブル解決に向けた外伝第一幕が、いま静かに動き出したのだった。

外伝第1話をお読みいただきありがとうございます!

本編が完結してもなお、なぜか「米」にまつわる事件に巻き込まれる零たち。王都の東門に出現した謎の異次元炊飯器の正体とは一体……? 次回、ついにその中身が明らかになります!

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