第28話:第二回戦の罠!? 神獣をも唸らせる「具材の選択」
こんにちは、小橋零です。
神界の第一回戦、主席料理神レグナスを我が店の塩むすび一撃で秒速気絶させ、見事に勝利をもぎ取りました。これで神界の連中も少しは大人しくなるかと思いきや……そう簡単にはいかないのがお約束らしいです。いよいよ始まる第二回戦、今度はなにやら「とんでもない面倒くさそうな条件」が突きつけられたというお話です。第二章第28話、開幕です!
「――第一回戦、人間界代表『おにぎり処・零』の圧倒的勝利により、勝負の行方は我が方の一方的敗北……ではなく! 次なる第二回戦へと突入するっ!」
気絶していた主席料理神レグナスが、部下の神々に強烈な電気マッサージ(※神界式)で無理やり蘇生させられ、青白い顔のままマイクを握りしめて叫んだ。
競技場の観客席からは、第一回戦の衝撃的な敗北を引きずりながらも、「次こそは神界のプライドを見せろ!」「あの下等な米屋を叩き潰せ!」という野次と期待が入り交じった歓声が飛んでいる。
零は調理台に肘をつき、やれやれといった様子でため息をついた。
「あーあ、負け惜しみも大概にしろっての。で、第二回戦のルールは何だ? さっさと終わらせて帰って昼寝がしたいんだが」
レグナスは悔しそうに歯噛みしながらも、不敵な笑みを浮かべてスクリーンを指し示した。
『ふん、調子に乗るなよ人間! 第一回戦はただのプレーン飯、いわば運が良かっただけだ! 第二回戦の課題は――【神獣を満足させる、究極の具材入りおにぎり】だ!』
そのお題が発表された瞬間、観客席の神々が「おおっ!」とどよめいた。
「神獣だと……? あの、神界の深奥に棲む、通常の食材では一口も口をつけない気高き幻の生き物どもを呼ぶ気か!」
「しかも、ただの具材じゃダメだ。その神獣の好みに完璧に合致した『最高のマリアージュ』を見せなければ、一歩も動かすことすらできんぞ!」
横で聞いていた元・天才美食王リュシアンヌが、顔を真っ青にして絶句した。
「な、なんて無茶な……! 神獣なんて、人間の味覚とは完全に次元が違うんだぞ! 下手に下等な具材を入れようものなら、怒り狂って競技場ごと消し飛ばされかねない……!」
しかし、零は相変わらずのらりくらりと鼻をポリポリと掻いていたふうだった。
「へえ、神獣ねえ。動物ってのは結局のところ、美味いものとそうじゃねえものの違いが一番素直に分かる連中だろ。で、今回相手にする神獣ってのはどいつだ?」
レグナスがニヤリと笑い、調理場の奥の巨大な鉄扉を指さした。
『現れよ! 我が神界が誇る絶対の守護者、万物を食らい尽くす黄金の神狼――「フェンリル・ゴールド」!』
ゴゴゴゴゴ……! と地鳴りのような轟音とともに、鉄扉がゆっくりと開き、中から巨大で、かつ気高さあふれる黄金色の毛並みを持った神狼が、威風堂々と姿を現した。
その圧倒的な神気とプレッシャーに、ルルは「ひゃうっ……!」と小さく悲鳴を上げて零の背中に隠れ、ゼクシードですら「ほう、なかなかの魔力量ですね」とわずかに目を細めた。
フェンリル・ゴールドは、血走った鋭い眼光で競技場をぐるりと見渡し、鼻をクンクンと鳴らした。その表情は明らかに「人間の作る飯など食う価値もない」と言いたげな不遜なものだった。
『さあ、人間! この神狼を満足させるおにぎりを握ってみせよ! 具材のチョイスを一つでも誤れば、お前のその店ごと灰燼に帰すことになると思え!』
神々の意地悪な笑い声が響き渡る中、零はふっと不敵な笑みを浮かべた。
「神獣の好みに合わせる、ねぇ……。なあ、リュシアンヌ、ゼクシード」
「は、はいっ、師匠!」
「なんでしょう、主?」
零は調理台の下から、先ほどからこっそりと仕込んでおいた「秘密のクーラーボックス」を取り出した。中から漂ってきたその香りに、二人は目を見開いた。
「こ、これは……まさか……!?」
「ほう、流石ですね、主。奴らの弱点を完璧に突くつもりですか」
零はニヤリと笑い、包丁をシャキッと構えた。
「ああ。神様のプライドとか高級食材とか知ったこっちゃねえ。野生の牙を剥く奴には、本能のど真ん中をぶっ叩く『最強のガッツリ具材』でいくぞ!」
神界の神獣を相手どった、前代未聞の具材選びバトルが、いま静かに幕を開ける――!
第28話をお読みいただきありがとうございます!
第二回戦の相手はなんと黄金の神狼フェンリル・ゴールド。高慢な神獣を唸らせるために、零が用意した「最強の具材」とはいったい何なのか? 次回の展開にご期待ください!




