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異世界転生、11回目です。〜プロ勇者は今日も神様の手違いにため息をつく〜  作者: 凪塩 未来


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第3話:12回目の世界、または「プロの愚痴は神をも怯えさせる

こんにちは、小橋零です。おにぎり屋を開店したその瞬間に謎の光に包まれ、気づけば12回目の異世界に飛ばされていました。

大学の単位がどうなっているのか本気で心配になりつつも、神様に対する態度がもはや「クレーマーにキレる一般人」のそれになりつつある今日この頃。今回の魔王は全身アダマンタイトの鎧らしいですが、プロ勇者の怒りを買った時点で勝負ありです。さっさと終わらせて、今度こそ美味しいおにぎりを商売にしてやる――! 第3話、開幕です。

「――というわけで、小橋零くん! 君を再びこの世界に召喚した!」


目の前で、前回の女神とはまた違う、しかし相変わらずやたらと発光している別の女神像がありがたいお言葉を宣っている。

周囲は真っ白な大理石の神殿。窓の外にはファンタジー感あふれる雄大な大地……おい、デジャヴかこれ。さっきまでおにぎりを握っていたはずの俺の視界には、全く同じ構図の神殿が広がっていた。


「……あのさあ」

零はゆっくりと立ち上がり、ポリポリと頭を掻きながら、目の前の女神を冷ややかな目で睨みつけた。

「君たち、神界で『ちょっと新人の勇者が足りないから、そこの適性ありそうなやつ引っ張ってこいよ』みたいな雑なチャットグループでも作ってないか? さっきまで11回目の世界でおにぎり屋の開店初日だったんだけど」


「ひっ……!? な、なぜ我が神界の裏事情を知っている!? いや、待て、君の魂……その尋常ならざる『勇者の元』の含有量は……!?」

女神が神聖タブレットを覗き込み、文字通り目玉を飛び出させてひっくり返った。

「ば、馬鹿な! すでに11回も別の世界を救ってきた『プロのベテラン勇者』ではないか! なぜそんな厄介な猛者が我がデータベースに引っかかるんだ!」


「知るかよ。元凶は最初に俺を拉致したどっかのポンコツ女神のせいだろ。おかげで俺の人生設計はボロボロだ。大学の単位はどうなってんだよ、そろそろ除籍だわ」

「ひえっ、す、すいません……! しかし、我が世界も魔王軍によって滅亡寸前で、どうしても勇者の力が必要なのです……!」


女神が両手を合わせてブルブルと震えている。以前ならここで「やれやれ、仕方ないか」と交渉に入っていたところだが、開店初日のおにぎり屋を理不尽に強制終了させられた零の怒りは、今や沸点を超えていた。


「文句があるなら全自動でおにぎりが量産できる機械と、無限の資金、そして今度こそ絶対に元の世界に帰れる『完全保証付きプレミアムVIP帰還パス』を出せ。あと、魔王は俺が秒で倒してやるから、その後の世界復興の邪魔をするな」

「へ、へいっ! すぐにご用意します! だからそんな殺気立った目で神を見つめないでください! 神が消滅しそうです!」


女神が半泣きでおにぎり製造機と金貨の山を召喚する。

零はため息をつきながらそれを空間収納(いつの間にかデフォルトで覚えていたチート)に放り込み、肩を鳴らした。


「で、今回の魔王はどんなクソ野郎だ? さっさと片付けて、次の世界では今度こそちゃんとした店舗を構えてやる」

「い、今回の魔王はですね、『魔界の絶対君主・狂王ガザルド』といって、全身がアダマンタイトの鎧に包まれた、物理攻撃を一切受け付けない最強の――」

「はいはい、アダマンタイトね。了解」


零は周囲を見回し、神殿の隅にあった「そこそこの大理石の柱(の破片)」をひょいと持ち上げた。

「おいおい、ちょっと待て! それをどうする気だ!」

「どうするも何も、これをぶつけるだけだろ」


プロ勇者・小橋零の12回目の冒険は、怒りのあまり通常よりも三倍速のスピードで幕を開けたのだった。

第3話をお読みいただきありがとうございます!

おにぎり屋の夢をぶち壊された怒りで、神様をガチでビビらせるほど板についてきたプロ勇者・零。いよいよ12回目の世界での無双が始まりますが、アダマンタイトの鎧をも粉砕する彼の怒りのパワーはいったいどこまで暴走するのか。そして、いつになったら元の世界でフツーの生活に戻れるのか。

続きが気になる方は、ぜひブックマークや感想、評価をよろしくお願いします! 次回、第4話もお楽しみに!

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