神名と七門と宣戦布告
クルトと派手に暴れた翌日
俺とクルトは模擬戦禁止令を言い渡されていた
2人に止められたあの後
アンリに叱られ、残りの時間全てを正座で反省する事となり、その時にダメ押しとして言われたのが模擬戦禁止だ
正座のおかげで、足が痺れてまともに歩けなかったり、転びまくったりと散々な目にあったが、身体の疲れもあってかここ数日の中では1番よく眠れる日となった
今日は、クルトのヤツが「お前も教える側に回れ」とアンリに連れていかれてしまったため、1人寂しく遊んでいるところだ
遊びというのは幼少の頃に養父から教わったものだ
少し離れた所に魔法を展開して、それを自分に向けて放つ。後の対応は避けてもいいし、打ち消してもいい
魔力制御の訓練にもなるから、暇になったりした時によくやっていた事だ
現状、寝不足なのは相変わらずで、一人ポツンと立っているだけでは眠くなってきてしまう
とはいえここで眠ったところで、怒られるのが目に見えているし、夢にアイツが出てくる以上まともに眠れもしない
どうしたもんかと、考えた結果魔法を使って遊んで時間を潰している訳だ
時間潰しに遊ぶ中、自分にむけて飛んでくる魔法が数百を超えた辺りで黄泉が第一グループを引き連れてこちらに近づいている事に気が付く
展開している弾幕の外から声がかけられる
「力人、遊んでるのなら私を手伝いなさい」
「俺に出来ることなんてないぞ」
言いながら避ける身体は止めない、当たると流石に痛いし
「アンタそれ遊んでるって言うの?」
「そうだけど、何かおかしいか?」
深於さんが俺がやっている遊びについて疑問に思ったようで声を掛けてくる
他のみんなも驚いた様な、呆れたような顔をしている
「自分に魔法を撃ち込みながら避けるのは、どう考えても遊びじゃなくて訓練か拷問だろ」
「プゴォ、ボクもそう思うプゴ」
「アハハ・・・神至くんらしいね」
皆のイマイチな反応に、コレは遊びとは言わないのか。と少し残念に思うが、詳しく話を聞くために一度魔法を消して黄泉たちに近づく
「それで?何すればいいんだよ」
「素直でよろしい。皆の様子を魔眼で見てて欲しいのよ。私の時みたいに」
「あぁ、そう言うことか。分かった」
神名解放にはとてつもなく集中力を要する
それは自分の持つ本来の魔力と、授かった神名に由来する魔力を同時に制御しなければならないからだ
2種類の魔力を同時に制御出来なければ、神名由来の魔力に呑まれて暴走する。若しくは魔力が反発し合い暴発する事で身体が爆散したりする
簡単に言い換えれば、2つの魔力を同時に制御する事それさえ出来れば、神名解放は可能ということだ
黄泉の考えは詰まるところ、魔力制御に於ける魔力の量と揺らぎを俺に監視して欲しいのだろう
そういったのを視るのは得意だからな
「話が早くて助かるわ。私今体調そんな良くないから、何かあってもあなたなら何とか出来るでしょ」
「そりゃあ何とか出来るだろうけど。体調悪いってどうしたんだよ、らしくない」
そう言われてみれば、顔色もどことなく、いつもと比べれば悪いような気もする
「二日酔いよ。悪かったわね、昨日飲みすぎちゃったの」
「はぁ?馬鹿じゃねぇの?」
「ええい、うるさいうるさい!わたしだってヤケ酒くらいするわよ」
「なんでキレてんだよ・・・まあいいや」
地団駄を踏みながら怒る黄泉にため息を吐きつつ、魔眼を展開する
「やるなら早くしろよ?あんまり長時間使うとまた倒れちまう」
「あら?今までそんな事なかったじゃない」
「魔眼しか使ってないんだから、しょうがないだろ」
「ああ、そう言う事ね。分かったわ、ほらひよっ子4人組、昨日みたいに並んでやってみなさい」
理の力で反動を踏み倒していた事を、遠回しに言ったが伝わったみたいだな
にしてもなんでさっきキレてたんだ?
先程まで地団駄を踏んでいたのが嘘のようにキリッとした態度で指示を出す
何があったか知らないけど、深く追求すると藪蛇になりそうだったので大人しく皆を視る事にする
「「「「神名解放!」」」」
全員が同時に言祝ぐ
第2の名前まで言葉を続けないのは、まだその段階にないからなのだろう
「昨日も言った通り、名前はまだ口にしちゃだめよ。今のあなた達じゃ簡単に呑み込まれて終わりだからね」
流石と言っておくべきか
4人の状態を魔眼もなしに的確に把握している
まぁまだ黄泉とババアが来て2日目だし、そこまで到達する方がおかしいか
思考を1度切り替え目の前の4人に集中する
それぞれの様子を魔眼で観察する
ディル以外は比較的安定してる方だな
那美さんと深於さんの2人は名家の生まれだ、多少なりとも心得くらいはあるのだろう
この2人の中でなら那美さんの方が安定している
闇の魔力と神名由来の光の魔力
相反する魔力を同時に制御しているというのに、前者はほとんど揺らぐことなく問題なさそうだ。後者は少し揺らぎが激しいが、この程度であればすぐに制御出来るだろう
元々魔力制御が尋常でないレベルで高いから、この結果には納得が行く
この調子なら名前も追加で口にしてもいいんじゃないだろうか
深於さんは自身の魔力と神名由来の魔力。そのどちらも水属性であり相反する事はない
ただ、やはり魔力制御が苦手と言うこともあり、揺らぎがどちらも大きい。魔力量だけを見るならトントンと言った具合だ
彼女は戦闘よりも、基礎的な訓練をもっとした方がいいかもしれない
フィークスは自身の魔力が2種類あるのだが、そのどちらも極めて安定している
それこそ那美さん以上にだ
これだけの実力があれば、既に神名解放を十全に扱えるはずだ。なのにそんな素振りは見せない
そして要となる神名由来の魔力。彼が本来持っている赤と白の魔力に沿うようにして、紅い魔力を帯びているのだが、こちらもやはり安定して制御できている
揺らぎが全くないという程ではないけども、他の3人と比べるまでもないくらいに安定している
もしかしたらクルトよりも上手いかもしれない
普段の様子と、この卓越した技術面とのアンバランスさに疑問を覚える
隠し事の多い俺が言えた事ではないが、フィークスもやはり何かしら抱えているのだろう
気になるところではあるが、追求することはしない。変に深堀されるのは俺も嫌だしな
そして問題はディルだ
元々魔力制御が得意で無いことを考慮しても、些か揺らぎが激しすぎる
本来持っている風の魔力と神名由来の火と水の魔力
どちらも激しく揺らめいていて、量も風の方が押し負けている
「ディル、大丈夫そうか?」
「いや、すまん、かなりキツイ」
魔力の揺らぎの中うっすらと見えるディルの肩に手を置く
「少しサポートするから、ゆっくりでいい落ち着いて魔力を制御してくれ」
「悪い、助かる」
慎重に風の魔力を構成してディルの体に流し込む
ディル本人の魔力を上手く回せるようにサポートするために、俺から流し込む魔力量は最小限に留める
流れる魔力が少しずつ安定して行くにつれて、キツそうにしていた呼吸が、段々と落ち着きを取り戻していく
揺らぎはまだ激しくあるものの、始めと比べれば凪いでいる方か
神名の魔力と比べるとディルの魔力量が少し足りていない
けれど時間と共に、少しずつ釣り合いが取れててきている。その事を確認してから、魔力を送るのを止め、ゆっくりと手を離す
パッと見では殆ど変化は見られないものの。よく観察して視れば、ゆっくりと制御でき始めているのが分かる
時間はかかるかもしれないけど、これなら何とかなりそうだな
一段落したところで、魔眼を一度閉じて黄泉の所へ向かう
「やっぱり便利ね。あなたのその眼、助かるわ」
「俺を便利道具扱いすな」
「いいじゃない、それで皆の様子はどうなの?」
「那美さんは次のフェーズに入ってもいいと思う。深於さんとディルはまだダメだ。制御の仕方が甘いあのままだと危険だと思う」
「なるほどね、あの子はどうなの?体格がおっきい子」
「フィークスは・・・そうだな、本人と相談してくれ、多分大丈夫だと思う」
「何よそれ、煮え切らない答えね」
納得がいかないと言うより、ハッキリしない答えに不満なのだろう。少し怪訝そうな顔をしながらこちらを見てくる
フィークスは明らかに実力を隠している
それはずっと分かっていた事だ
でも、それがどんな事情があっての事なのか、分からないうちに迂闊にどうこう言うことはできない
本人が話してくれるのが1番なんだけど。隠しきれないと判断するまでは、きっと黙っているつもりなのだろう
「本人次第って事だ、制御自体は問題ないから。黄泉の判断に任せる」
「ふーん。よく分かんないけど、あなたがそう言うなら信じるわ」
ひとまず納得はしてくれたようだ
俺の話を聞いて黄泉が次の指示を出しに動く
4人とも解放状態を維持したまま話を聞いているが、見ている限り全員が少し辛そうにしている
やはり負担が大きいのだろう
俺には知り得ぬ感覚ではあるので、皆が何を感じているかは分からない。けど大変な事であるのは間違いないだろう
黄泉の指示を受けて、那美さんとフィークスが次のフェーズに進もうとしていると
ゾロゾロと、呼ばれてもいない5人組の集団がこちらにやって来る
Sクラスの七門連中か、ホント絡んでくるの好きだよなぁ・・・
様子を伺うために皆の所へ向かう
俺が近づく中、訓練の様子を見て察したであろう陽門のヤツが口を開く
「熱心な事だね、無駄な努力ご苦労さま」
それに対して真っ先に反応を返したのは黄泉だ
「あら?いきなり来て随分な物言いじゃない」
「おや?コレはコレは、現在指名手配中の黄泉さんじゃないか、部外者が何の用ですか?」
「外部講師よ、ほら」
首から下げている入校許可証をヒラヒラと見せる
と言うか指名手配?何して────あぁ、陽門の家ぶっ壊した件か
そんな事になってるとはつゆ知らず、普通に呼んでいたがまずったか?
「犯罪者が教育なんて、笑わせますね」
「うふふ、陽門の家を崩壊させた件なら問題ないわよ。実家に連絡でもとったらどう?あっ、もうないんだったわね」
売り言葉に買い言葉、どちらも魔眼を使わずとも可視化されるほどに魔力が漏れ出ている
「コイツら絡みに来るの好きだな」
「きっと暇なんだプゴ」
「神至か、アレ止めなくていいのか?ヤバそうだけど」
「七門のいざこざに巻き込まれたくないから、見るだけにしたいとこだけど。手が出そうになるなら止めないとだよなぁ」
「アレ止めるの危なくないプゴ?」
「まぁ、軽い打撲で済めばいい方だと思うぞ」
アイツら2人がとは思ったものの口には出さなかった
いつの間にか解放状態を解いていたディルとフィークスが、俺の後ろに隠れるように回り込んでいる
流石にあそこに割って入る勇気は出ないよなぁ・・・
黄泉と那美さん、それから深於さんは正面切って5人と向かい合っている。黄泉が先頭に立っているおかげか今日は深於さんも大人しくしているみたいだった
俺たちが話している間も、喧嘩腰の話し合いは続いているようで、段々と両者の口調が強くなっていく
「Sランク冒険者ともあろう人が、こんな掃き溜めみたいな連中の世話をするなんて。プライドないんですか」
「吐瀉物を下水で煮込んだ様な性格のヤツに言われたくはないわ、那美が婚約者だった時も好き勝手してたらしいじゃない」
「英雄色を好むと言いますからね、僕はモテるんですよ」
「アンタが英雄?笑わせないで、英雄なら力人の方がよっぽどいい男じゃない」
罵倒のボキャブラリーが豊富だなぁ、と眺めていると何故かこちらに飛び火してくる
「おい待て、なんで俺を巻き込んだ」
「こんなインチキ野郎が英雄?そんな訳無いじゃないですか」
陽門のヤツ、敬語は崩していないものの。その額には青筋が浮かんでいる。結構キレてんな
そして2人とも俺の発言を完全に無視している
・・・酷くないか?
「力人がインチキ?どうしてそう思うのかしら?」
「たかが冒険者風情が、陽門の人間である僕に勝てるなんて有り得ない、何かしたに決まってるじゃないですか。その程度も想像できないんですか?」
「はぁ、呆れた相手の力量も測れないなんて。陽門も堕ちたものね」
「なんだと!?」
罵倒のラリーが続く度に黄泉の言葉の切れ味が増している
うーん、ここらで止めておかないと暴れだしそうだな
「黄泉、落ち着け小物相手にキレんなよ」
「お前!俺に向かって小物だと!?」
おっと、止めたつもりが火に油だったか
「中々いいアシストよ力人、やっておしまい」
「やらねぇから、止めたつもりなんだけど」
「そう?今のは完全にコイツを煽ってるようにしか聞こえなかったけど」
まだ話が通じる方に声を掛けたつもりが、どっちもダメだった感じかこれ
「おい!僕を無視するな!」
「はぁぁ、で?何の用だ。実技中だろ訓練でもしたらどうだ?」
「はっ、僕らみたいなエリートにそんなものは必要ない」
「俺に負けたのに、よくそんな余裕があるなお前」
投げやりな俺の態度と言葉に、陽門が更にヒートアップする
「アレはインチキだ!俺には分かる!」
「ただの実力だ、俺がそんな事する必要が無い程度にお前弱いだろ」
「キサマァ!」
どこかで似たようなやり取りをした記憶がなくも無いが、怒りに任せて俺に向かって来る陽門の前に、大きな男が立ち塞がる
「那岐、そこまでにしておけ。俺たちは話をしに来たんだそうだろう?」
「どけ!アイツを殺らなきゃ気が済まない」
「落ち着け、今でなくても試験の時に力を示せばいい。そうだろう?」
とても理性的に、駄々を捏ねる子供を窘めるように話す男。コイツこの間、前に出てきたヤツか
しばらく問答を続けた後に、陽門が落ち着きを取り戻した事で大男がこちらに向き直る
間近で見るとやっぱりデカイな
身長はフィークスよりも大きい、ガタイがよく筋肉質な為、威圧感は中々の者だ
顔立ちはガタイに似合わず、男子にしては可愛らしいと表現するのが正しいだろうか
そんな割と失礼な事を考えていると俺に向けて声をかけてくる
「悪いな神至、あまり刺激してらんでくれると助かる」
「別にいいさ、俺は気にしてない。ただ売られた喧嘩は買うぞ。これでも冒険者なんでな」
「そういう質ということか」
「そう言う事だ」
理解に苦しむと言う様な顔をしていたが、すぐに戻り済ました表情をする
「自己紹介がまだだったな、俺は土門、土門 夜波だ。那岐の事は知っているだろうから省くが他も同じ七門の者だ」
土門が名乗りを上げた事で他も続いて名乗り始める
先んじて出てきたのは身長の小さい女子
色々と小さいが何も言うまい
特徴的なのは赤い髪をツインテールにしている事で深於さんとよく口論になるイメージだ
「火門 加具埋よ覚えておきなさい」
勝気な態度というよりは自信に満ち溢れていると言うのが正しいのだろう、敵視とまでは行かないが以前と違い真っ直ぐとこちらを見据えているように見える
続いて出てきたのは金髪の・・・なんて言ったらいいのだろうか、チャラいというか遊び慣れているような感じの男
身長は俺より少し高いくらいで、全体的に線が細い体をしている。髪は肩くらいの長さだろうか緩めに縛った髪をひとつにまとめている
「雷門 透、君のことはよく知らないけど、仲良くはなれそうにないね」
いきなり失礼な物言いだなと思ったが、口の悪さでは俺の方に軍配が上がる為特に返す言葉はない
最後に出てきたのは俺より少し身長の低い女の子だ
さっきの火門と違ってデカイ、まぁデカイ
緑色の髪をボブカットというのだろうか、そんな感じの髪型にしていて、大人しめな雰囲気だ
「風門 譜です。・・・えっと、終わりです」
発言と大人しめな雰囲気に似合わず、完全に俺を敵視している
憎むような、恨むような。肌を刺すような視線を感じる
俺が一体何をしたって言うんだ
面識がなかった相手に、ここまで敵視されるような憶えはないしそこまで思考を割くこともしない
そんな事より随分と唐突な自己紹介で訳が分からない
名前を知れた分には良いと思っておくべきか?
「自己紹介どうも、俺も名乗った方がいいか?」
「いや、大丈夫だ」
「そうか、で?話があるんだろ?まさか自己紹介だけって事は無いよな?」
「もちろんだ、我々は宣戦布告をしに来たんだ」
「へぇ」
堂々と宣戦布告を口にした土門に少し口角が釣り上がる
「今月の実技試験についてだ。我々Sクラスは、お前たちEクラスを叩きのめす。それを伝えに来た」
「なるほどな、理由はあるんだろう?」
「ああ、説明しておこう。我々は今回の試験に於ける要求で生徒のトレードを要求する。こちらに引き抜きたいのは那美と深於の2名だ」
「七門全員を揃えたいと、そういう事か」
「話が早くて助かる」
言葉の通りに受け取れば聞こえはいいのだろう
しかし、それが目的でない事くらい容易に想像が着く
本命は那美さんただ一人なのだろう
立案者はおそらく陽門だな、一度手放した那美さんをもう一度手元に戻すための要求。その体裁を整える為に深於さんもトレードに加えているのだろう
仮にこの要求が通ったとすれば、七門全員がSクラスに所属する事になる
名家の出からすれば、その方が聞こえも通りも良いのだろう
と言うかトレードって何だよ。カードゲームじゃないんだから交換移籍にしろよせめて
内心文句を垂れつつ宣戦布告は受ける
「別に俺がクラスを取りまとめてる訳じゃないんだが、そうだな。受けて立つ掛かってこいよ。Sクラス連中に負けるほどウチのクラスは弱くないぞ」
要求がどうであれ、勝つつもりだ
Eクラスの面々はそれだけの力を持っていると信じている
アンリの拷問・・・じゃなかった。訓練に耐えれているんだ、コイツらなんてトトンと追い抜くくらい容易だろう
「その発言後悔するなよ、クラス対抗はお前一人でどうにかなる問題じゃないからな」
「聞こえてなかったみたいだから、もう一度言ってやるよ。俺たちEクラスはSクラス程度の連中に負ける事はない」
俺の言葉に少しムッとした表情を見せる土門
「・・・この場にいる5人が聞き届けた。後悔するなよ」
「へいへい、話は聞いたんだ。さっさと帰れ、訓練の邪魔だ」
文句ありげな表情を5人全員がするものの、食ってかかるような事はしてこない。あくまでもクラス対抗のグループ戦
負ける事など微塵も考えていないのだろう
そのまま陽門が集団を引き連れて帰っていく
「何だったんだ?一体」
謎の宣戦布告に首を捻っていると何故か感謝される
「よく言ったわ、流石神至ね」
「ありがとう神至くん」
感謝されるような事あったか?
「力人の口の悪さも、こういう時は役に立つわよねぇ」
「どういう事だよ」
「無自覚だったの?アンタ口悪く話して、アイツらのヘイトを全部自分に集めてたじゃない」
全然意識してなかったなそんな事
傍から見れば、守っているようにでも見えたのか?
「全くそんな事考えてなかったな」
「まぁ、力人のお陰で邪魔者も居なくなったことだし、続きするわよ〜」
「おい、流すなよ」
俺にそんな気が無いことなど分かっているかのように話を流す黄泉
他のメンバーにも声は届いていないようで各々やる気を口に出し始める
「うん、負けないくらい強くなる!」
「じゃあ私も頑張らないとね、那美だけにいい格好はさせられないもの」
「神至!もっかいサポートしてくれ!もう少しでコツが掴めそうなんだ頼む!」
「頑張るプゴォ!」
皆俺の扱い酷くないか?
とまぁ闖入者のせいで訓練が一時中断されてしまったが、おかげで全員のやる気が上がった様子
少しばかり気に入らないものの、感謝しておくとするか
その後、訓練を再開し再び魔眼を展開しながら様子を視る
一朝一夕でどうにかなるものではないが少しずつ、確実に成長を見せるみんなに、こちらも応えたくなる
俺に出来ることなんてたかが知れてるけど、少しでも皆の力になれるようにサポートに徹する
結局その日は誰も覚醒までは至らなかったけど。やりきった様な、充足感を覚える顔をする面々が多かった




