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爆発と狂気の第二グループ

「あのぅ・・・神至くん、そろそろ」

みんなしばらく無言のまま移動していたが、那美さんから少し困惑したような声が掛けられる


「ん?あっ悪い」

ずっと抱き留めたままだったのが嫌だったのだろう

那美さんを離して少し距離を取る

顔を逸らして少しモジモジしている


「えっと、その、ありがとう」

「俺は別に何もしてないよ」

思った事を素直に話す

納得していないのか、こちらを向いてはくれない小さく頷く那美さん

どうしようかと思っていると深於さんから声がかかる


「神至アンタ中々やるわね」

「何が?」

深於さんが言っている事の意図が分からず聞き返す


「那岐に向かってあんな真正面から那美を抱き寄せて、コイツは俺の女だ!なんて早々できる事じゃないわよ」

「確かにな」

「いやぁ、中々格好良かったプゴ」

「あー、そういう。別にそんなつもりでやったんじゃないんだけどな」

「アンタがどいうつもりでも、那岐にはそう見えたでしょうね、那美もちょっと嬉しかったんじゃない?」

俺と那美さんを揶揄う様にニヤニヤと笑う深於さん

なんだか少し嬉しそうだ、ほかのみんなもなんか面白そうに笑ってるな


「み、深於ちゃん!確かにちょっと嬉しかったけど──ってそうじゃなくて」

揶揄われた事で那美さんの顔が真っ赤になっている

こういう顔よくするよなと思う。別にそれがどうと言うことはないんだが、少し引っかかる物がある


そういえば咄嗟の事だったからか那美さん抱き寄せても身体震えなかったな俺

意識しなければ別に問題ないのか?

自分の身体の事なのにあまりよく分からない


頭の片隅に少しだけ自分の変化を感じつつ、先程の事など無かったかの様にみんなで話しながらEクラスが集まるの観客席に向かった




「ごめん戻ってくるのに時間かかった」

「おっ!第一グループのみんな来たぜ、よく勝ったな流石だぜ」

元気よく出迎えてくれたのは朱裂くんだ

第二グループは入れ違いだったなもう居ない


みんなからの言葉を受け取りつつ空いている席に座る

隣は東雲さんと迦倉さんだ

今思えば女性と隣同士に座ると身体が震えるはずなのに無意識的に避けることはしないよな俺


「神至くん。相手が変な動きで宙を舞ったり引っ張られてたアレは何?」

自分の事で少し思考していると東雲さんからの質問が飛んで来る。アレが何なのかよく分からないのもしょうがないか


「アレは重力魔法だよ、任意で重力の強さと方向を操作する魔法でね割と使い勝手が良いんだ」

「重力魔法・・・すごいねキミ。扱いの難しい概念属性まで使えるんだ」

あまり表情の変化の無い東雲さんだが、珍しく少し驚いたように目を見張る


「そうかもな、東雲さんは概念属性興味ある?」

「少し。私は空間属性が使えるようになりたい」

「へぇ、それはなんで?」

「本が沢山集められるから」

「なるほど読書好きなんだな、東雲さんは」

「まぁ、それなりかな」

席に座りながら他愛のない話をする、第二グループの試合が始まるまでの暇つぶしだな

自分の変化を明確に意識しながらも普通に会話をする。俺も成長出来てはいるのか


「リキリキ今回随分と虐めてたね〜、狙ってたの〜?」

東雲さんとの会話が途切れたところで迦倉さんから話題を振られる


「まぁちょっとだけな、試合前に見た要求の意趣返しって感じだ」

「そっか〜私もアレはちょっと気に食わなかったんだよね〜試合でやり返すの真似してみようかな〜」


間延びした話し方にほんわかとしそうになるが、迦倉さんの場合は俺とは違った意味で恐ろしいことになりそうだな


「まぁやるにしても程々にな、変に恨まれても面倒だろ?」

「確かに〜、加減しながらやってみるよ〜」

うーん、あまり信用出来ないけど、本人が言うなら多分大丈夫だろう・・・たぶん


「そろそろ第二グループの試合が始まりますみんな張り切って応援しますよ」

月夜野さんの声でみんなの視線が会場の方に向く

俺も会場の方に目を向けるが中々面白そうな事になりそうだ




───




第二グループはクルトとリンが前衛に出て他3人は後ろで並び待機する形の陣形をとっている

「ウェルズ嬢、例の作戦でいいのだな?」

「ええ任せなさい、全員吹っ飛ばしてあげる」

クルトの発言に勝気な笑みで答えるリン、失敗するなど微塵も考えていないのだろう

何度も練習しアンリ教官からお墨付きも貰った、問題なく成功すれば確実に勝利するのだから


「怖いなあの連中、2人もそう思うだろ?」

「まぁねぇ、初手で全滅されると俺たちの出番無くなるのが困るところだけど、流石に一撃さよならはないんじゃないかな」

「ふ、2人とも広範囲こ、攻撃すごいから私は楽できた方がう、嬉しいかな」

雷の言葉にそれぞれ思った事を素直に答える

片や自分の獲物がいなくなることを心配し、片や自分が戦わなくて済むならそれが良いと


3人とも作戦に納得はしている、相手が防ぐ事が出来れば自分たちの番になるからだ。相手はBクラス、こちらより実力など上と考えるのは自然な事だ


「それではこれよりBクラス対Eクラス、第二グループの試合を開始する。双方準備はいいな?」


『はい!』


全員の返事が帰ってきたとこに頷き開始の合図をおくる


「はじめ!」


号令がかかりBクラスは4人が横1列に並び、1人が後ろにいる陣形に変わる

Eクラスの作戦が漏れていたのだろう

対してそんなこと気にも止めずクルトとリンは準備を始める


「ヒュージ・ウォーターボール」

「ドラゴンブレス!」

クルトが生成した巨大な水球にリンが竜の炎を吹く

竜の息吹は業火と呼べるほどの熱を持ち水球を凄まじい速さで加熱していく


小さくなぁれ(スモールワールド)

続けて水球を維持しながらクルトが詠唱し空間魔法で水球を圧縮する

その間もリンはブレスで加熱し続ける

他の3人は後ろで武器を構えつつ、様子を見るだけだ


熱され圧縮された水球がテニスボール程の大きさになり、実技棟を照らすライトの明かりよりも眩く輝く


「「合体魔法・ウォーターノヴァ!」」

敵に向かって飛んでいく水球。いやこの際爆弾と呼んだ方が正しいだろう


Bクラスの面々は既に防御魔法を展開し攻撃に備えている。範囲攻撃が来るということは知られているが、威力までは伝わっていないのだろうか。1人やたら強固な者を除いて各々の展開する防御魔法の強度にムラがある


その集団より少し手前に圧縮された水球爆弾は着弾する


そして


実技棟を飲み込むほど大きく輝き爆発する

ステージ全てを消し飛ばさんとする程の威力で爆発しその音や爆風は観客席にまで届く

破片や爆発の威力は結界で防がれているが、風だけは素通りする。被っていた帽子を飛ばされる者。軽い荷物が吹き飛ぶもの。果ては誰かのカツラまで宙を流されている

爆音が全ての音をかき消し、聞く者全ての音を奪う


これ程のを直接受けようものなら死体など粉微塵も残らないであろう。結界の外であればの話だが


爆発の影響はBクラスとEクラスのステージだけに収まったものの土煙が立ち込め様子を見ることはできないが暫くすると会場を覆っていた土煙が収まりその様子が露になる


Bクラス付近の地面は丸ごと消え去り大きな穴が開いている

この直撃を受けたそのBクラスの面々だが、なんと2人もその場に残っていた

よく見れば先程まで人が立っていた辺りから後ろは爆発の影響を受けていない

魔法防御の障壁で影響を免れたのだろう


Eクラス側はもちろん対策をしていた為誰も欠けていない、全員がその場に立ち相手の様子を伺っていた


「まさか耐えるとは、いやはやコレは面白い」

「そもそも撃たせないのが1番の得策だと思うけどね」

「ペッペッ!口ん中に入った!」

「な、何度か見てるけど、や、やっぱり怖いね」

「おー、耐えてる耐えてる凄いね」

見慣れた破壊痕に驚く者はいない

強いて言うなればあの爆発を耐えきったことに驚いている者の方が多い


1番後ろにいた者は兎も角、前で守っていた男は相当のダメージを受けたはずなのにその場に仁王立ちをしている


吹き飛ばなかっただけでも十分すぎるくらいに強者と言えよう、追撃に出ようと剣静が2振りの刀に手をかけると、立っていた男が腕をくんだまま後ろ向きに倒れる


防ぎ耐え切ったとはいえダメージはあったのだろう。いやこの場合はダメージがない方がおかしい

その光景に周囲の観客から大きな歓声がが巻き起こる

倒れたとはいえあの爆発を耐え抜いたのだ賞賛されない方がおかしい


「防御で精一杯だったっぽいな」

拍子抜けしたように剣から手を離す剣静


「あと一人どうする?クルト」

「すまない、私が貰ってもいいだろうか」

「いいわよ、私もう満足したし好きにすれば?」

「俺もあの状況でまともにやり合えると思えないしいいかな」

「わ、私も、大丈夫で、です」

全員がクルトに相手を譲る

残ったひとりは|何故か()()であると言うのにだ


「クックック、では行かせてもらうとしよう」

爆発の後を避けるように大回りで残った1人に近づいていくクルト

その顔に浮かぶ表情は笑っている、しかしどこか狂気と怒りを孕んでいる


吹き飛ばされた面々は全て獣人か魔族の子

コレは爆発させた本人の勘と言うよりも推測だが、自分を守らせて他には魔法防御の障壁を薄くさせでもしていたのだろう

だからあの立っていた男は人間だから耐えていたし不自然に障壁のムラがあったことにも納得がいく


「あぁ、面白い、実に面白い」

口調とは裏腹に隠しきれない怒りがその言葉に乗っている


爆破痕を抜けクルトが残った男に近づく

その男は何故か棒立ちしたままだ、爆発に対する恐怖によるものか、はたまたま近づいたきた女性に見とれていたからなのか、理由は定かではないものの魔法による攻撃も持っている武器による攻撃も一切行わなかった


そうして棒立ちの男の前でクルトは立ち止まる

「中々の魔法だったな、俺には聞かなかったみたいだが」

自慢げな表情で男は答える

その視線はクルトの胸元、そこにあるふたつの大きなものに釘付けとなっている


不躾な目線を意に返す事なくクルトは無言のままその男に抱き着いた


「おぉ!」

「えっ!?」

「羨ましい・・・」

コレは誰も予想していなかったのだろう

同じグループのみんなも、観客席にいる者も同様に驚いている。その理由は様々ありそうではあるが


抱き着かれた当の本人は完全に鼻の下を伸ばし随分と情けない顔をしている

と言っても見えているのはクルトだけであるが


かなりキツめに抱き着いているため、胸が押し潰され形を変える

まるで逃がさないとでもいうような強さで


男が完全に脱力しながら言葉をかける

「どうしたんだ?急に俺に惚れたか、彼女にはしてやれないけど、遊ぶくらいなら相手してやるぜ。俺はそう言うの得意なんだよ」


出てくる言葉は辟易するような、到底口説いているとは思えないクズの発言だ

それを聞きクルトは初めて言葉を返す

貼り付けた笑みを崩す事は無く、ただ淡々と


「それは面白い、キミは随分と面白い性格をしているようだからね」

「そうだろうとも俺は──は?」


自分を抱き締めている存在の声を聞き、男は一瞬で萎え、顔が青ざめて行く

「なっ、はなせ!」

「そうは行くまい、中々素敵なお誘いであったからね、ひとつ付き合ってもらおうじゃないか」


自分より背は高いとはいえ女の力だ大したことは無いと考えていたのだろう

振りほどこうと身動ぎするが、もう自分の身体は動くことはかなった。いや、正確には動いてはいる、指先や腕や足の関節などは動かせる


しかし振りほどけない

顔も目線も変わっていないのに、気が付けば自分に当てられていたはずの胸は分厚すぎるくらい大きく、金属のように硬い胸板となり己を抱き締めている。身体の方も太く逞しい筋肉に包まれている


「なんで、どうしてだよ!」

「私の性別は可変式でね自由に変えられるのだよ、顔だけは女性のままだが何か問題かね?」

「ふざけんな、こんな気色悪いやつなんてまっぴらごめんだ。離せ、離せクソ野郎!」

「この顔がお気に召さないと・・・なるほどではそのように」

顔も男の物に変えようと少し意識を集中させようとすると抱き着かれた男がさらに声を上げる


「はぁ?キモイのは顔じゃなくて存在だよ!」

「よろしい、『神名解放(コード・オン)』クトゥルフ『限定神化(リリース・ロック)』顔」


男の言葉を聞き、クルトは何かに納得したように或いは覚悟を決めたかのように目を瞑る。

己の神名を解放しその先の力の一端を見せつける




───




客席側まで吹き飛ばされるかと思う程の巨大な爆発

被害自体は爆風だけで済んではいるがその辺も完全にシャットアウトしろよと思ってしまう


おそらくダメージ変換の術式に割くリソースが大きすぎるのだろう

小石の様な物理的に怪我をするような物は弾いているが風だけはそのままこちらまで吹いてくる


「きゃあああ!」

「うぉぉぉ」


爆風が吹き荒んだ後、試合の様子を確認する

周囲の反応を見ていてもコレはかなり想定外と言えよう。Eクラスが戦っているステージ側の様子は爆煙でほとんど見えないが、それでも他のクラスが驚いて完全に手が止まっているのは確認できた


「やるな」

「すごいね、第二グループ。アレ本当にやったんだ」

「う〜、髪ぐちゃぐちゃだよ〜」

両サイドにいる2人、たぶん俺もだがオールバックみたいになっているのだろう髪型がぐちゃぐちゃだ

あ、カツラ舞ってる


学園側としてもこれ程の大技想定もしてなかっただろう教官たちが集まっているところが慌ただしく動いている

暫くして煙が晴れるとステージ中央よりややBクラスよりの地面が完全に抉り取られ消滅していた


アレは流石に今の俺が食らったらひとたまりもないな

それでも尚立ち続けているBクラスの2人には賞賛が送られる

アレはひとりは自分で耐えきった様だがもう1人は完全に無傷だな、他の亜人種の子たちが場外の壁に吹き飛ばされているのを見るにそういう事なのだろう


今残っているのは例の3人の内の1人、名前は知らないから失禁気絶2号だ

本当に亜人種の子に対して理不尽極まりない扱いをするものだ


少しボーッとしながら様子を見ていると

クルトが2号を抱き締めていた、事情を知らない他のクラスや観客から羨ましいがる声が聞こえてきたが、うちのクラスの面々からは同情とも取れるような哀れみの声が聞こえてくる

かく言う俺も少し声が漏れてしまう


「うわぁ・・・」

「見た目は綺麗なんだけどね〜クルクル、あれどうなっちゃうの?」

「もうすぐ決着着くと思うよ、アレやるつもりだろうし」

「アレって〜?」

「『神名解放』だよ、アイツの場合その先の『神化』まで使えるからね」

「クルト・・・さん?すごいんだね」

「『神名解放』はそもそも自分に与えられた神様の名前から力を引き出す業、『神化』はその先の姿を自分に下ろす業だからね」

簡単に説明しているとクルトが神化を使い自分の姿を変え始める、と言っても顔だけみたいだが


顔がポコポコと膨れ上がり先程までの美人顔が原型を留めなくなる、少しづつ全体が緑色にその形を変えていく

髪はなくなりつるりとした緑色の頭、目は虹彩のない赤一色の不気味な瞳、鼻と呼べる物はなく少し縦線の穴が2つある、口元には無数の短い触手が現れ神化が完了する


「─────!」

2号が声にならない叫びを上げる

目の前で変化を逃げられず直視してしまったのだ怯えるのも無理はない

顔からは完全に血の気が引き、青を通り越して真っ白になっている

終わったな


「うわぁ・・・」

「なんだアレは!」

「あああぁぁぁ!!」

観客からも遠目ではあるものの見えてしまった人達が驚き叫んでいる人もいる

こちらはまだ距離があるだけマシだろう

目の前で直視したあいつは精神が完全におかしくなっても仕方がないと言える


クルトの『神化』は見る物に恐怖と絶望を与えるものだ。その力を本気で振るえば島1つくらいなら飲み込む程の水魔法を使う事も可能だ

今は封印したままだから使えないが精神操作魔法と狂気魔法という人の心を破壊するだけの恐ろしい魔法すらも使える


まぁ今回は見た目だけだ九相図程ではないにしろそれなりのトラウマくらいで済むだろう

二度と女性と付き合えなくなるだろうが


2号はクルトに抱き締められたまま口から泡を吹いて完全に気を失った


「Eクラスの勝利!」


静まり返った実技棟の中アルケー教官の声が良く通る

何はともあれコレで俺たちEクラスの勝ちは確定した

労いの言葉くらいはかけてもいいかもしれないな


その後暫くして第3グループのみんながステージに降りて行き、それと入れ違いになる様にして第2グループのみんなが帰ってきた


「お疲れ様凄かったなあの爆発、俺まだ耳鳴りしてるぞ」

「本当は一撃で全員屠るつもりだったんだけど耐えられちゃったわ」

「それは仕方の無いことだよウェルズ嬢、無傷だったあの男、他の者に自分を守らせていたようだからね」

クルトは試合が終わったからか既に女性の姿に戻っていた。あの姿で歩き回ってたら至る所でSANチェック祭りが始まるから良かったといえば良かったな


「クルトさん『神名解放』出来たんだね羨ましいよ」

「私に敬称は不要だよ門音嬢、確かに神名も神化もどちらも出来るが、私のあの姿はあまり好まれる物じゃないのでね」

「で、でも凄かったよクルちゃん」

「ありがとうレヒト嬢」


他のみんなと談笑を終えてからクルトは俺の隣に座ってくる

「どうだったかね、私の戦いぶりは」

「『神化』を使うとは思わなかったけど、いいんじゃね?俺がどうこう言うことじゃねぇよ。勝てばそれでいい。ただ」

「ただ?」

「あの爆発、合体魔法のウォーターノヴァだっけ?アレは素直にすごいと思ったよ」


俺の回答が何かおかしかったのか高らかにクルトは笑った

「ハッハッハ、キミからそんな事を私に言ってくるとはね、嬉しいものだ」

「喜ぶなよ気持ち悪い」

「なに、キミも私もあの要求に怒っていたからね、他の皆もだろうが」

「今回本気で潰すつもりだったからな俺も、死なないように加減はしてやったけど」


それを聞いて嘲笑するかのように鼻で笑う

「よく言う、心を折るために少しずつ削るなんてらしくない戦い方をしてたじゃないか」

「それ陽門の試合の時も言われたな」

「私は1度キミの本気を受けているからね重力魔法の()()を使えば一撃で心を折る事も可能だっただろうに酷い事をする物だ」

「『神化』使ったお前にだけは言われたかねぇな」


「ハッハッハ確かに、亜人種に対する扱いがあまりにも目に余るものだったのでね。つい殺したくなってしまったのだよ。なぁに軽く廃人になるだけさ」

「精神操作と狂気魔法は封じてるから良くてトラウマくらいだろイキんな」

「確かにそうか、やはりキミには敵わないな」


少し寂しそうに笑うクルト

心の底までは分からないが何か手に入らない物を求めている様に感じる


「何が」

「色々だよ、私は君のように人を壊し、殺すことはできても、君のように人を救うことはできないなと思ってね」

「なんだそれ、力は所詮力だ。お前のソレだって使い方次第でなんとでもなるだろ」

「所詮は力か・・・なるほどキミが言うのだそうなのだろうね」


腑に落ちた様にそれだけ呟くとそれ以上クルトは何も言わなかった

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