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エルフと連携とゴーレム

塔に行った翌日

若干ダルめの身体を引き摺りながら学園に向かう

こちらを見つめる視線もいつもの事で少し慣れつつあった


昨日はあの後帰った後に帰りが遅いとティリファとアルテに叱られてしまった

クラブ活動でギルドと塔に行っていた話をしたら落ち着いてくれたが、事前に連絡くらいしろと更に追加で怒られてしまった

この辺は昔と変わらないな

勝手にいなくなって泣かせて怒られて

不安でいっぱいになってしまったみんなを慰めて宥めてお土産で許しを乞いて、半年しか経っていないというのに随分と昔の事のように感じる

それだけいまの生活が充実しているという事かなと1人考え事に耽りながら歩いていると正面に見知らぬ少女が現れた


「神至 力人さんですね」

「そうだよ」

「お話があります」

そう言ってきた彼女は同じ制服を着た少し耳の長い子だった

エルフか珍しいな、よく見ると制服が所々解れているし、短い金髪もなんだか汚れているように感じる、一言で言ってしまえば見窄らしいという感じなのだが

顔立ちは整っているので少し勿体なく思ってしまう


「あの、私に何か付いてますか?」

少し身体を隠すような仕草をする、ボーッと見つめ過ぎたようだ

「ごめん何でもないよ、それで話って?」

「ご存知だとは思いますが来週の実技試験についてです」

「えっ、何それ知らない」

「えっ?」

鳩が豆鉄砲を食らったようなそんな間抜けた表情をする、たぶん俺もしてる

そんなものがあるなんて聞いてないぞ


2人の間に沈黙が流れる中予鈴がなってしまった

「ごめん遅刻しちゃうからまた後でね、昼休みにでもお話しよう」

それだけ伝えて駆け足で校舎に入る

少し呆けていたが彼女も遅れて走り出した

気に掛けている余裕は無いので自分のクラスまで急いだ


───


クラスに駆け込み扉を開けて一息つく

「ふぅ、セーフか?」

「アウトだバカ」

ゴスッと俺の頭が鈍い音をたてる

正面からアンリに叩かれた様だ


「すんません遅刻しやした」

「何かあったのか?」

「ちょっと別のクラスっぽい子に捕まってて」

「逆ナンか程々にしろよ」

「されてねぇよ」

「いいから早く座れ」

「うぃ」


薄いコントのような事をしてから席に着く

とりあえず1番前でいいか

先客は宮本くんとテルクスさんだ

「神至くんが遅れるなんて珍しいじゃん、不良になったん?」

「ちょっと人に捕まっててね、ていうか見てたでしょさっきのやり取り」

「まぁね〜」

「程々にしてやれよジャス」

クスクスと笑うテルクスさんに呆れたようにため息を着く宮本くんこの2人も結構仲良いよな


「先頭に座って騒ぐな神至、うるさいぞ」

「俺だけかい理不尽だな」

「テルクスはいつもの事だ、それより来週は月末の実技試験が行われる全員知っているな」

「はい、アンリ教官俺は知りません」

「そうか後で誰かに教えてもらえ」

「ひでぇ!」

「このバカは放っておいて内容は例年通りだが今年はクラスが増えたことにより5人でのチーム戦だ対戦クラスも決まっている各々ここで実力を示さなければ以前の話にあった通りこの教室没収だ」

『えぇぇ』

本当に没収されるという話にクラスの心がひとつになる、というか全員が嫌そうに声を上げた

というかクラス単位で没収だと俺もこのクラスに居られなくなるのか、ちょっと勿体ない感じするな

どうしたものかと考えているとアンリが口を開く


「何心配はいらない、今のお前たちなら勝ち筋はある期待しているぞ。私もこの教室から出たくないんでな。ホームルームは以上だ勉強に励め」

最後めちゃくちゃ私情入ってんじゃねぇか

アンリの話はそれで終わり、いつも通りのクラスの雰囲気に戻った

さて午前の授業の前に実技試験について聞いておきたいな


「テルクスさん実技試験について教えて貰っても良いかな?」

「いいよー実技試験は毎月の月末に開催されるの、各クラス毎に対戦クラスを決めてこの前の神至くんの試合みたいな感じで戦うの」

「ルールはあるのかな?」

「ルールはシンプル、自分の全力で戦って勝つ事。いつもなら1人ずつ勝ち抜きで戦うんだけど、クラス数が増えたからなのかグループ戦になるみたい」

クラス数がというよりこれは俺に対する縛りの方が強い気がする・・・そう考えるのは流石に自意識過剰か?

話を聞きつつ少し気になる事を思考する


「武器とか制限はあるのかな」

「うーん今までなかったけど神至くん木剣だけ使わされてるじゃん、今回もそうなる可能性あり」

「そっかありがとう、他に気をつけておいた方がいい事とかあるかな」

「戦うだけだし特に無いよ、強いて言うならウチら1番下のクラスだから舐めて掛かってくるし、反撃すると執拗に攻撃してくるからそれくらいかな」


そういうテルクスさんは少し悔しそうな顔をする

今まで何度かそういう経験があるのだろう、今回はそうならないように俺も頑張らないとかな

「ありがとうテルクスさん色々教えてくれて」

「いいよー、呪い解いてもらったしこれくらいしないとアタシが失礼なやつになっちゃう」

「そんな事ないよ呪いは俺が解きたくてやった事だし恩に着せるつもりもないからね」


それ以上俺の気になることはなかったので話を切り上げ授業の準備をする

登校中の女の子といいテルクスさん話の感じ、相当に重要な試験なのだろうがいまいち乗り気がしない、とは言えこの教室は手放したくないので昨日の塔で考えていた連携の訓練を今日から開始しようかと考えながら午前の授業を終えた


─昼休み─


「神至飯行こうぜ」

「お腹空いたプゴ、早く行くプゴ」

「OK混まないうちに行こうか」

昼休みになりディルとフィークスが迎えに来るココ最近は毎日2人と食事をしている

2人と食事に行くのは密かに俺の楽しみだ

雑談しながら食事をするのは結構楽しい、冒険者をしていた時はあんな風に和気藹々と会話する事は少なかったからな


3人でいつもの様に食堂へ向かおうとすると、今朝校舎前で会ったエルフの女の子が廊下に立っていた

「こんにちは、あの朝の話の続きをしたいのですがいいですか?」

「そうだったね」

「プゴ?この子と知り合いプゴ?」

「Bクラスの子じゃねえかどこで知り合ったんだ?」

「朝話してた例の子だよ」

「ああ、神至が遅刻した原因か」

「その言い方酷くないプゴ?」


他のクラスという事もあってかディルの当たりが少し強い様に感じる

フィークスの方は他クラスに対してもそこまで当たりが強い様には感じない

本人の性格もあるとは思うが実技試験の時にそれほど一方的にやられているのかもしれない


「とりあえず一緒に食堂行くかい?」

「いいのでしょうか?」

「俺としては話をしたいだけだから別に問題ないんだけどどうかな?」

「俺は神至がいいならいいぞ」

「ボクも問題ないプゴ、ご飯はみんなで食べた方が美味しいプゴ」

「それならご一緒させていただきます」


同級生なのに随分と恭しく言葉を使うなと思ったがそういう性格なのだと割り切り4人で食堂へ向かった


食堂はいつも通りの賑わいだった

各々が好きなメニューを選びフィークスの取った席に集まる、いつも通りの流れに沿いつつエルフっ子もそこに加わっている

全員が揃ったところで昼食を取りながら話を聞く


「それで話って何かな?」

「はい、実技試験についてです」

「来週あるらしいね、聞いたよどんな事するのかも」

「その件でお願いがあって来ました」

他の2人も黙々と食べながら話は聞いているようだ、詳細の内容については話し出さないから少しディルがイラついているようにも見えるが


「今回の実技試験私たちに勝ちを譲って欲しいのです」

エルフっ子の発言にガタッとディルが立ち上がった

急に立ち上がった事で少し視線がこちらに集まる

「何言ってんだお前そんなの通るわけないだろ」


随分と怒っている様子だ

それもそうか今回俺たちは負けたら教室没収になるしBクラスからの当たりも強くなると予想できる

ただ最下級のクラスに対しての要求とは到底思えない

普通にしてたら勝てるだろうにと思ってしまう


俺の考えはともかく周りがヒソヒソ話し出している、悪い方向で注目される前にディルを止める

「ディル、落ち着いて。最後まで話を聞こう」

「プゴ、話を聞くだけならいいんじゃないプゴ?」

「・・・分かった」

俺とフィークスに制止されディルは大人しく席に着く

まだ少し気が立っているようだが今すぐ噛み付いたりはしなさそうだ。その様子を確認してから話の続きを促す


「どうして俺たちに負けて欲しいのかな」

「実は───」

エルフっ子の話によるとBクラスは獣人や魔族その他の亜人とされる子達に対する当たりがかなり強いクラスなのだという

はっきり言って差別が常態化しているとの事

今回Eクラスに負ける事があればそれが尚のこと酷くなると思っての話らしい


話を聞いて思った事はそう多くは無い。それにそれは俺たちが勝った所で変わるものではないというのが俺の結論だ

仮にBクラスが勝てば尚のことその態度は肥大化しこちらに対する当たりも悪化するだろうし、負ければ今後、陰湿な嫌がらせが増えることだろう


それに何より彼女の話では自分で考えて話をしに来たという体をとっているが恐らく誰かに命令されてここに来ているだろう

そうでなければもっと堂々とこちらを見て話すはずだ


話をする間、彼女はこちらを殆ど見ていないし食事も上手く喉を通らない様だ。何より身体が少し震えている怖いのだろう、少なくとも男3人しかもガタイが良い奴ばかりに囲われている、フィークスは・・・ちょっと違うかもしれないが

少し可哀想だなと思ってしまった


「話は分かったよ」

「じゃあ!」

「でもごめんね、俺達も負ける訳には行かないんだ」

「ぁ、そうですよね・・・」

一瞬表情が明るくなったがすぐに陰ってしまう

少し悪い事をした気分になる


「話、聞かせてくれてありがとう、ところで君の名前教えて貰ってもいいかなまだ聞けて無かったからね」

「そうでした、私はティアラ・ユグシルと言います」

表情は暗いままだがそれでも先程よりは明るくなったように感じる


「またなにか相談事とかあったら聞かせてよ」

「はい、機会があれば・・・」

最後まで表情が戻ることは無かったが一先ずは話が終わり解散することとなった


────


ユグシルさんと分かれ3人になりいつも通り早めに実技棟に向かう

「どう思う?さっきの話」

「俺は腹立つな。神至捕まえて話す事がそれかよって感じだ。確かに学園最強って言われてる陽門倒してるけどあれはねぇだろ」

「ボクは不思議に思うプゴ。グループ戦、普通にやればBクラスが勝つプゴ。なのに態々神至くんに言って来るってことは勝てないって思ってるみたいプゴ」

「確かに例年通りの勝ち抜き戦ならまず負ける事は無いと思うけどグループ戦だからね」

フィークスは俺と同じ事を考えていたらしい。確かに勝ち抜きなら負けは無いがそもそも俺が出れなくなる可能性が高い。それを抜きにしてもBクラスが簡単に負けるほど弱いとも考えにくい


「でもわざわざ言いに来るか普通?」

「誰かに言わされてたんじゃないかな」

「そう考えると、そんな気がするプゴ」

「うーん、俺なら正面切ってぶつかるからなそんなこと考えもし無かったな」

「プゴゴ確かにディルくんなら真っ向勝負しそうプゴ」

「だろ?その方が簡単でいいだろ?」

「それは単純バカと言うやつプゴ」

「言ったなコノヤロー」

じゃれつく2人を見ながら考えていた事を伝える


「念の為気には留めておこうか断った事が広まればBクラスのヤツらが何かしてくるかもしれないし」

「そうだな、それは俺も同意見だ」

「プゴ、一応クラスのみんなに伝えておこうプゴ」


実技棟に入りみんなの集合を待ちつつアンリに昼の出来事を報告しておく

またトラブルになられても困るからな


「毎度思うがお前はトラブルを持ち込まないとすまないタチなのか?」

「言っとくが俺は悪くないからな」

ため息を吐きつつ額を抑えるアンリ

ジジイと俺に挟まれるのだ相当にストレスがヤバいと見える、たまには労って何かしてあげたいと思うが今はとりあえず試験の事だ


「まぁいい、Bクラス連中が何かして来るようであれば私に言え学園長に話だけしておいてやる」

「何の解決にもならなそうだな」

「いっその事試験の時は思い切り叩きのめしてやればいい、私個人としてもあのクラスは好かん。担任も含めてな」

「Bクラスの担任って?」

「魔法基礎学の黒井だ」

「へぇ、意外だなあの人うちのクラスにも割といい感じに接して来るのに」

「アレが腹に何抱えてるのかが分からん、そもそもあのクラスがあんな感じになったのは奴のせいだぞ」


アンリの話を聞いて少し考える

担任は人種やクラスで差別するようには見えない

でも裏でそれを助長するような事をしていたら?

担任は生徒全員に甘い顔をして生徒同士が格差を作る様に誘導する。それを狙っているのだとすればアンリが嫌うのも納得が行く


少し警戒した方が良いか?

アンリが元々好き嫌いの激しい性格というのを鑑みても理不尽な理由で嫌う事はまずない、何かしら理由はある

例えば差別され弱ったところを手篭めにし自分の良いように扱っているのだとしたら・・・


思考に深くの入り込んでいたからかクラスのみんなが集まって来ていた、とりあえずまた後で考えるか

アンリに一応の礼を伝え今日の実技内容について伝える

「アンリ今日実技から連携の訓練したいんだけど」

「分かった試験のグループ分けもあるちょうどいいな、割り振りは私の方で決めるので良いか?」

「ああ、頼む」


全員が集合したところで今日の実技内容を通達する

「今日から連携を中心に実技を行うグループは私の方で決めるが文句はないな?」

『はい』


全員で返事をする

アンリによって分けられたグループは全部で3つ

俺、那美さん、深於さん、ディル、フィークスの第1グループ

クルト、レヒトさん、不知火くん、ウェルズさん宮本くんの第2グループ

月夜野さん、迦倉さん、テルクスさん、朱裂くん、東雲さんの第3グループ


能力的に考えても第1グループに強い人間が偏っているように感じる

まぁ考えあっての事だとは思うが確実に勝つために手段を選んでいない感じがする


「今回の試験では各グループ毎に戦う、勝ち抜きではない。一グループ毎に戦い全体で勝率の多いクラスの勝ちとなる」

「グループ分けの決め手とかあるのでしょうか?」

「全体の仲や実力の近いもので選んでいる。ただ第1グループについては負ける事は許さんいいな」

俺に向かって言ってるだろ


グループが決まった事でそれぞれに分かれ訓練を始める

「早速だけど連携の訓練やって行こうか」

「どんな事をするんだ?」

「まずは自分の出来ることを全体に共有することなんだけど、ここのみんなは昨日一緒に塔に潜っているからそこのすり合わせは必要無いと思うんだ」

「そうプゴね、なら早速連携訓練するプゴ」

フィークスの言葉に頷き土魔法でゴーレムを5体生成する


「あんた、なんでも出来るわね」

「ある程度はね、塔に一人で籠ってたからこれくらいはね」

「・・・今また非常識な発言を聞いた気がするわ」

「あはは、神至くんだからね」

「気にしてもしょうがないし始めようぜ」

「頑張るプゴ〜」

みんなからの俺の評価がとても気になるところではあるが聞いたところでどんな言葉が帰ってくるか・・・


ディルの号令で全員が武器を構える

前衛はディルとフィークス

中衛は那美さんと深於さん

そして後衛で俺が待機する


「よし、行くよ!」

俺の声でゴーレムが動き出す

見た目は無骨な岩の塊で動きこそもっさりしているが硬度と破壊力はそこそこある、一応みんなの実力の範囲の強さには設定してあるから何とかなるはず


ゴーレムが動き出したのを確認してからディルが駆け出し少し遅れてフィークスも後を追う。


「どぉりゃあ!」

走りながら構えていた大剣を切り上げゴーレムにぶつける

金属を打ち付けた様な音が鳴り響く

「硬ぇ!」

叩きつけた大剣が弾かれた事でディルが後ろに飛び距離を取る

「これ倒せるようになってるよな!」

「もちろん、ディルなら切れるはずだよ」


「プゴ!」

続いてフィークスがゴーレムとぶつかる

盾とゴーレムが接触する事でこちらも金属を擦り付ける様な音が大きく響く

思ったより余裕がありそうだな流石だ


攻撃系の指示はまだ出していないがこの分なら大丈夫そうだ

攻撃する指示を静かに出し様子を見守る

指示を受けたゴーレムが腕を振り上げ接敵しているフィークス目掛けて振り下ろす


「っ!はぁっ!」

器用なものだ盾でゴーレムの身体を抑えつつ槍で腕の攻撃を止めるとは

その後少し膠着状態が続くがフィークスがゴーレムを振り払い少し距離を取る

「攻撃が重いプゴ」


「私達も行くわよ那美」

「うん、援護任せて!」

前衛の様子を見てから中衛2人も動き出す


深於さんはいつものメリケンサックに水魔法を纏わせながら高速で接近

那美さんは後ろでウォーターボールを展開しながら弓を引き絞り待機

うん特に指示は出してないけどいい動きだね


深於さんは高速で移動しながら2人が抑えているゴーレム以外の一体に向かう

深於さんが接触する直前に那美さんが魔法でゴーレムに少しダメージを与え接近を止めさせる

ゴーレムが動きを止めたのを確認した後水魔法を込めたメリケンサックで殴打し始める

・・・やっぱり絵面が酷いなあれ


パッと見華奢な身体の少女なのに高速で殴打を叩き込み続ける。殴打の速さと音が掘削機のソレと遜色無いのが本当に恐ろしい


那美さんは援護しつつ他のゴーレムに牽制しながら矢を放つ、的確にウォーターボールを撃ち込みゴーレムを少しづつ削っていく



あっちは問題無さそうだし俺もそろそろ動くかな

全員の様子を見れるこの位置からならそれなりにサポートが出来るがまずは一体排除するか


『ダークランス』

魔法で槍を生成し高速回転させまだ誰とも接敵していないゴーレムに撃ち込む

射出されたダークランスは頭部を撃ち抜き大きな穴を空けてただの土塊に戻る

・・・あれ?思ったより弱かったな


全員が一瞬手を止めこちらを信じられないような目で見てくるがすぐに目の前のゴーレムに向き直る

「見せつけてくれるな神至!『ウィンドランス』」

ディルが風の槍を生成しゴーレムの左肩に撃ち込み槍が刺さった所が崩れる

「これならどうだ!」

崩れた所に大剣を突き立てそのまま破壊した

「腕1本!あとは本体!」

ディルはあの調子なら問題なく倒せそうだな


フィークスの方はというと槍に炎を纏わせ突進の構えを取っていた

「プゴォ!」

盾を身体の横に添えながら槍を前に出す形で突進する

体格を活かした良い攻撃だ

ゴーレムもタダではやられるつもりは無いのだろう大きく腕を振りかぶりフィークスの槍に向かって拳を振るう


槍と拳が接触し大きな金属音を響かせる

だがそれも一瞬だ、ゴーレムの腕が砕け土塊が飛び散り、その勢いのまま胴体諸共打ち砕く

「やったプゴ!」


フィークスは倒しきったか思ったよりゴーレムの魔法耐性が低かったな、物理防御が高すぎる割にそういう所の設定が甘かったか次はそこも意識して作るか


残り2体、どうするかな?

「オラオラオラオラ!いい加減砕けなさい!」

・・・見なかったことにしようかな

ゴーレムには攻撃指示を出したはずなのにそれすらさせない殴打のラッシュ

腕を振りあげようとした瞬間それを殴って止める

隙が生まれそこにさらにラッシュを叩き込む

もうほぼ全身ヒビだらけだ砕け散るのも時間の問題だろう

全く名家のお嬢様とは思えない荒々しさだ


対する那美さんはゴーレムを近づかせる事なくその場に留め続けている

魔術操作の精度が高すぎる放たれたウォーターボールは的確に脚を穿ち少しずつ削っていく


普通の矢ではダメージが通らないのにすぐに気付いたのだろう魔法を展開しつつ矢の先にさらに水魔法を付与しさらに撃ち込む

俺と同等かそれ以上の魔術操作の精度かコレは末恐ろしいな


魔獣戦では見れなかったレベルの戦闘技術

魔法が今まで使えなかっただけでこれだけの能力があればSクラスなとうに超えているだろう。いかに呪いが足枷になっていたのか察するにあまりある

全く七門の名家は一体どんな教育して───あぁ黄泉の事考えれば妥当か、まだ可愛い方だな


それから数分と経たずに全員がゴーレムを打ち砕く

うん、いい感じだな

各々がそれぞれ出来ることをしっかり行っている

ただこれだと連携と言うよりは個人戦に近いな


「みんなお疲れ様、どうだった?」

「硬かったなでも勝てないレベルじゃない」

「物理耐久と攻撃力は中々だけど魔法耐久が低めだったプゴ」

「そうね、魔法拳の連打で砕けるからなんとでもなるわね」

「それは深於ちゃんだけだと思うの、でも確かに戦い易くはあったかな」


みんなの感想を元に次の練習に向けて構成を考え直さないと、とりあえず魔法耐久は上げるのは前提としてあとは機動力かな、その前にゴーレム相手だと一対一になるから俺とやり合ってもらうか

「とりあえず休憩にしよう、それとさっきの感じだと連携の訓練にはならないから次は俺とみんなでやろうか」

「マジかぁ」

「プゴォ」

「本気で言ってんの?」

「流石に危なくないかな?」

「ちょっと危ないかもだけど、大丈夫危なくなったら本気出すよ」

「それはそれで怖えな」

「もしボク達が神至に本気出させれば何か奢ってもらうのはどうプゴ?」

「なるほど報酬か良いね」

せっかくやるんだそれくらいあった方がみんなのやる気になるか


「いいわね、もし本気出させたらなんでも1つ言う事聞いてもらうわよ」

「いいのかなそれ」

「いいよ、その代わり本気出せなかったら、そうだね訓練内容2倍でどうかな?」

「よし乗った!全員で神至倒してやろうぜ!」

「プゴ!そうとなったらちゃんと休みながらみんなで作戦考えるプゴ」

「そうね、神至どっか行ってなさい」

「ひどいな、でも分かった楽しみにしてるよ」

「ごめんね神至くん」

「大丈夫、期待してるから頑張って作戦立ててね、それじゃ」

このくらいでやる気が出るなら安いもんだな

休憩がてら作戦会議が終わるまでの間他のグループの様子でも見てくるかな


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